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幕間 闇の勇者

バージバル王国、エトラ大聖堂・広間


「やったぞ! 成功した!」


「これで我々はあの忌まわしい魔族共を倒せる!」


「ああ、エトラ神よ・・・感謝致します!」


目を開けると大きな広間に居た。

そして、周りには知らないおじさん達が喜びの声を上げていた。


なんだろう? この人達・・・ここは何処なの? 確か、あたしは・・・教室で友達と楽しく会話していて、先生が授業を始める時に周りが魔方陣? みたいな物があたしを中心に広がって、そこから余り覚えてない。


でも、此処何処だろう?

友人は? 先生は? クラスの皆は? 何処に行ったの? 嫌だ・・・怖い、早く帰りたい。


「あの・・・此処、何処ですか?」


そう聞くと、老人が満面な笑みを浮かべて、敬礼をしてきた。


「あなた様は神エトラ様によって呼び出された勇者様です。

おそらく、エトラ様は悟られたのでしょう。

このままではバージバル王国は滅びると······その危機を避けるためにエトラ様はあなた様を召喚したのでしょう。

それとわしの名はエレント、教皇をやっております。」


よく分からない。

この人が何を言っているのか······分からない。


多分だけど、このおじさんの目を見て分かった。

狂信者だ······神は絶対だと思っている。

多分、他の人達もそうだろう。


その後、王城に案内され、さっき居た広間よりも更に大きい大広間に案内された。

どうやら此処は玉座の間らしい。


すると教皇の老人は敬礼をするようにと頼まれ、踞った。


「面を上げよ」


金髪の王らしき人物にそう言われ顔を上げた。


王らしき人物は金ピカの玉座に座っていて、その隣には金髪の王妃らしき人物が座っている。

間違いない国王と王妃だな。

そして、国王の右には金髪の王子様が居て、王妃の左には金髪の王女様が居た。


そして、宰相や大臣、その他の上層部の貴族などの人物を紹介された。


すると教皇が水晶らしき丸い物体を持ってきて、あたしに「あなたの勇者としての素質を調べます。その水晶に手を置くと観測できます。」と言われ、手を置くよう指示されそれに従って手を水晶に置くと水晶が妖しく紫色に光って、徐々に光を失った。


「これは······馬鹿な。」


何が起きたのだろう? 教皇の顔が青くなったと思ったら憎悪と侮蔑に満ちた目をあたしに向けた。


何、何なの?

怖い、帰りたい、こんな場所に居たくない。

そうあたしは恐怖を覚えて、逃げようとしたが。


「その愚か者を捕らえよ。」


そう聞こえ、近くに居た騎士達に取り押さえられて、振りほどこうとするが、女であるあたしには無力で、そのまま無力化された。


「教皇殿どうしたのだ?」


国王はそう教皇に聞くと、教皇はあたしの方を見るなり、ニヤリと嗤い玉座の間に居る者達に対し、大きく宣告した。


「お聞きください! こやつは国王夫婦とその王女王子の命を奪おうとする魔王の手下です! その証拠にこやつの属性は「闇」、魔王の巫女でもあります!」


それを聞いてあたしは「違う!」を叫ぶが誰も信じてもらえない。

周りは「そうなのか? 確かにその感じがするな。特にあの黒髪は」や「聞いたことがございますぞ、魔王の巫女はかつて黒髪で闇属性の力を使えるとか、そんな話を聞いたことがございます。」など誰もあたしの言い分を聞いてくれる人は何処にも居なかった。

唯一人を除けば。


「お待ちください!」


そう異義を唱えたのは、王女様だった。


「どういたしましたか? エリナ殿下?」


「どうしたも何も、黒髪だからとか闇属性だからと言うだけでそのような仕打ちをするなんて酷いと思います! 彼女に慈悲をお与えください!」


おそらく、余り信用しているわけではないが、エリナ王女はこの人達の中でもまともな人物なのだろう。


多分、年齢はあたしと同じくらいだろう。

なんで、あたしなんかの為に?

もしかしたら、帰してくれるのだろうか?


しかし、その希望も教皇によって打ち砕かれた。


「しかしですね、たった今エトラ様からこやつを拷問をした後、処刑せよとの神託を頂きました。」


処······刑······? 死ぬ······の?



「処刑!? まだ、若いのに······せめて、元の世界に帰して上げてください!」


「エリナ!! 無礼であろう!!」


「エリナ、あなたがそんな子とは思わなかったわ。」


「エリナ、貴様はどれ程、俺様や父上と母上を失望させる気だ?」


「ッ!!」


国王、王妃、王子は威圧を掛けながらエリナ王女を死んだ親の仇を見るような目で睨んでいた。


「だけどッ!!」


「もう良い、エリナ、貴様には失望した。」


そして、国王はあたしとエリナ王女に判決を言い渡した。


「エリナ、貴様は王女としての身分を剥奪し、そこの愚か者諸共、処刑する!」


そんな、実の娘なのに······それが、親のすることなの?

エリナ王女······あたしを庇ったばかりに······あたしのせいだ。


そうして、あたしとエリナ王女は地下の牢へと連行された。

エリナ:バージバル王国の王女で、エリスやフレイヤほどではないが、美しい美貌を持った金髪碧眼の少女、また、闇の勇者の少女を心配しており、教皇が処刑を提案する時に異義を唱えたが、闇の勇者と共に地下牢へと連行された。

また、彼女は勇者召喚には反対であり、魔族との和解を目指していたが周りの圧力に耐えられずに勇者召喚を了承してしまった。

おそらく、バージバル王国では一番の良心な人物

しかし、何でどうしようもない親からこんな優しい子が産まれたのだろうか?


エレント:バージバル王国教会の教皇をしており、エトラ神という神を信仰している狂信者。


国王:どうしようもない狸親父、以下差別主義者


王妃:どうしようもない母親、国王と同じで差別主義者で美女である。


王子:金髪イケメン王子だが、上記の王と王妃と同じ差別主義者。


闇の勇者:授業が始まる時に召還された女子高生で、長い黒髪が特徴の美少女で、彼女が通っていた高校では人気者だったらしい。

属性は「闇」で、バージバル王国では禁忌とされており、差別の対象でもある。


エトラ:闇の勇者の少女を召喚した神で大体こいつが悪い。

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