第十話 母娘は迫害されている少女勇者について話をする。
作業室を出た後、お母様に呼び出された。
「ねぇ、エリスちゃん? これ見て?」
お母様はそう言いながら水晶玉を出した。
そこにはボロボロの少女が写り出していた。
「お母様? これ、何かあったのかしら?」
「そうね、一応彼女も勇者らしいけど属性のせいだと思うわ。」
「属性?」
「そう、彼女の属性はどうやら『闇』みたいねぇ。」
『闇』は確か人間達の中ではタブーだったわね。
それと同時に迫害対象でもある・・・何とも胸糞悪いわ。
「それにこれだけではないのよ、どうやらこの子・・・明日には処刑されるみたいよ?」
処刑・・・うっ、嫌な記憶が······。
流石にお母様も私の顔色を見て納得したのか謝ってきた。
「あっ、ごめんなさい······嫌な物でも思い出しちゃった?」
当然、お母様は私の前世での仕打ちを聞いていたため心配していた。
「いいえ、大丈夫です。」
「そう、無理はしないでね?」
無理はしませんよ······少し胸糞悪くなっただけだから。
「······と言うわけで処刑される前にこの子を救出します。
その次いでに断頭台をぶっ壊しましょう。」
「うーん、その子を助けるのは良いのだけれどお母様? 私、人間が嫌いなんだけど?
断頭台をぶっ壊すのは楽しそうだけど色々と面倒な目に遭うわ。」
ふふふとニコニコと微笑みながらお母様は胸を叩き、「大丈夫、大丈夫。」と言った。
どうしてここまで自信満々なんだろう? 私、勇者とか人間が嫌いなんだけど、そこはどうしてくれるのだろうか?
「ふふふ、闇の勇者ちゃんは人間から猫耳娘になってもらいます。」
はっ? 何を言っているのかな?
「ははは、お母様······気のせいかしら? なんか変な言葉が聞こえたのだけど? 何かしら?」
「だーかーらー、闇の勇者ちゃんは猫耳娘になって貰うの!」
「へー、そうなんだー。」
「そうなのよー。」
そうかそうか、猫耳娘ですか······それなら問題有りませんね。
「ってな訳有るかああああああああああ!!」
「きゃあああ! エリスちゃんが怒った!!」
怒りで我を忘れた私はお母様に向かってシュトゥルムを振り回しながら襲い掛かった。
だが、微笑んでる表情を変えることなく避けながら逃げ出した。
そこからはセバスチャン率いる従者隊によって止められ、お母様と私は正座をさせられセバスチャンに説教を食らったのだった。