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公爵家の長女は妹への愛が止まらない!?  作者: 彩多 花音
第一章 第2の人生を生きる時間
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1. 前世の私は漫画家だったことを思い出す時間

第1章の第1話になります。

ポカポカした春の日差しが温かい中、エヴァラント公爵家の公爵令嬢ジュリアーナは自室にいた。

いつものように私は侍女のマリーナと話していた。

「マリーナに絵を描いてあげるね。」

そう言うと私は黙々と絵を描きだした。私はよくこうして使用人たちに絵を描いている。でも、4歳なので絵はお世辞にも上手いとは言えなかった。そんないつもと変わらない毎日。でも今日は違った。いつもは庭園の花の絵を描いたりしているのだが、きょうは初めて人物画を描くことにした。いつものように何とも言えない絵を描いていたのだが、目を描こうとした時だった。

「目は書くのが難しいんだよな。はぁ。」

なぜかぽろっと口から言葉に出た。その言葉をつぶやいた瞬間、突然頭の中にいろいろな漫画のキャラクターが現れた。

「お嬢様。どうされました?」

マリーナが手が止まった私に声をかけてきた。その言葉が、

「先生。どうしましたか?」

と私には聞こえた。その言葉で全てを思い出した。前世の田中美咲の記憶を。

「ゴン」という鈍い音とともにジュリアーナは机に思いっきり頭をぶつけ気を失った。


目が覚めるとジュリアーナはベッドの上にいた。周りの人はジュリアーナが目を覚ましたことにほっとしている様子だ。寝ている間寝言をずっと言っていたらしい。寝言で何を言っていたかお母様に聞いた私は恥ずかしすぎてベッドにもぐりこんだ。なぜなら私は寝言で「もうちょっと待って!あとちょっとで漫画完成するから!ほんとにあとちょっとだよ。ちょっと。」と言っていたからだ。この言葉は担当の人によく言っていた言葉だった。


しばらくしてお母様とお父様は屋敷の執事長であるローリーに仕事が溜まっていますからと言われ渋々部屋を出た。その後マリーナが紅茶を入れてくれた。やっと私は落ち着けた気がした。そして絵を描いている途中なのに気絶してごめんなさいと謝った。マリーナはお嬢様が目を覚ましてくれたから大丈夫と言ってくれた。本当にマリーナは優しい。私はこんなに優しい人が侍女で良かったと思いおもわずマリーナに抱き着いた。マリーナは驚いた顔をしたが優しく私の頭をなでてくれた。その後私はマリーナに考えたいことがあるから一人にさせてほしいとお願いしマリーナに部屋を出てもらった。


私はノートに前世の記憶をまとめることにした。名前は田中美咲たなかみさき。年齢は28でOLをしながら漫画家をやっていた。ペンネームはたさきかなみとして少女漫画雑誌の「ストロベリー」で毎月数ページだけ描いていた少し売れた漫画家だった。実家は田舎で両親は小学校の先生だった。死ぬまで恋をしたことがなく、生涯独身だった。前世の最後はOLの仕事と漫画家の締め切りが重なり徹夜状態だった夜だった。家に食材がなくカップラーメンでも買いに行こうと、部屋を出てアパートの階段を降りようとした時だった。私は足を踏み外し階段から勢いよく転がり落ちた。下の階に住む1人暮らしのおばぁちゃんが音を聞いて私のところに来た。おばぁちゃんが大丈夫かいと声をかけてくれたが、徹夜続きの私は眠くて目を閉じてしまった。そのまま私は死んだ。こう振り返ると私は日々時間がなく、時間に追われる生活を過ごしていた。見た目もパッとせず、寂しい人生だった。実家の両親は優しかったけど、先生ということもあり学生の間はずっと勉強をしていた。でも今は公爵令嬢だ。時間はたっぷりある。自分で言うのもあれだけど、私はかわいい。せっかくだから私はのびのび生きる。


「前世は売れた漫画家だった。でも今は公爵令嬢ジュリアーナ・エヴァラントとして時間にとらわれずにのびのび生きる!!」


そう宣言した。その宣言は屋敷中に響いていた。

読んでいただきありがとうございます。

コメントよければよろしくお願いします。


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