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陛下のお言葉で、やっとパーティーが満を持して始まりました。
「待ってください!」
やはり!!やはりですね!
ええ、今この瞬間が最後の断罪イベントだと私は存じておりますとも!マリナさんは、私をちらっとみて、ふっと笑いました。
それが見えていたらしい生徒の方が「なんて健気な…!」とぼそっと呟かれました。
素晴らしいです!完璧!完璧な舞台ですよ、殿下!生徒達は私に「最後の仕上げにかかりますわ、お姉さま!」というジェスチャーとしての笑顔だと勘違いしています!もう!完璧よ!
私は若干興奮しながら、殿下にこっそりとウィンクしました。殿下は真っ赤になって「ウィンク…!!くっ!小悪魔め!」とおっしゃられました。
あなた、そんなにウィンクに耐性ない方でしたっけ?私、一瞬、これで大丈夫なのか心配になりましたよ……。ですが、殿下はハイスペック。そう、たとえポジティブ系俺様バカだとしても。
マリナさんは陛下達の前に立ち、殿下の横に立ってゲーム通りの口上を述べています
「陛下!どうしても言いたいことがあるんです!私、ここにきて少ししか経っていませんし、本当はこんなこと言いたくはないのですが国のため……いいえ、ディミトリ殿下のために言わせてください!」
「……うむ、言ってみるといい」
「実は……、私、ここにきてから、ずっとブリジット様にいじめられているんです!」
「それはなんと……。とにかく、詳細を言ってみなさい」
はい、と頷いたマリナさんは言いました。
私が服を引き裂いただの、こけさせただの、陰湿で粘着的な手口で呼び出されあれこれと罵声を浴びせられただの、ワインをかけてきただのと言い続けています。
たしかにゲームのストーリーではやっていることですね、ええ。
「それに、ブリジット様はここで絶対的な権力を持ってらっしゃる方。みんなを扇動して、私を悪者にして、学園中からの嫌われ者にしたんです!いじめられても、私のような矮小な小娘にはどうにもできません……。声をあげたって消されてしまう。
ですが、陛下!陛下ならば、そんなことはありません!私は別に、彼女を貶めたいわけではありません!ですが、私につけた心の傷……、それについて謝ってほしいのです!
謝られたところで傷は治りませんし、されたところでどうともなりません。ですが、謝ってほしいんです。私をいじめたことを……」
器用にもマリナさんは泣き始め、陛下と王妃様は困惑した顔をして、殿下と私を交互に見られています。
そりゃ、急にあれこれ言われて泣かれたらびっくりですよね。
ですが、ご安心を。これを破壊する素晴らしいファイナルウェポンこと、殿下がいらっしゃいます。
さあ!ここからですよ、殿下!私たちのコンビネーション見せてやりましょう!
「ふふ……、ふは、ふはははは!!!!!!!!ふはははははははははははははは!!うわーっはっはっはっはっはっはっはっ!!!!!ふっ!ふふふふ……!くっ!ふは!くくくっ……!ふははははははは!!!あーっはっはっはっはっはっ!!!!!!」
あ、これは素で出た高笑いですね。楽しいんですか?なんでそんな高笑いをしたんです?
確かに、ああも素晴らしい演技力で有る事無い事バッチリ言えば、知っている我々からすればお笑いものですが。そこまで笑わなくとも、良いのでは……。
マリナさんはおろか、他の方もめちゃくちゃ驚いてますよ、殿下。
「ふはは……!くっ……!いや、すまない。陛下、ならびに王妃様!少しばかり、場を汚すことを許してください」
「うむ。どうせお前のそういうのは、今に始まったことじゃないからな。うむ……、父は、もうそういうことにはノータッチだから好きにしなさい」
「あなた……」
「すまない、ごめんなさい、申し訳ない。続けるがいい、ディミトリよ!」
「はい!許していただけると思っていました。まあ、許されずとも、俺はいいたい事を言う素直な男ですがね!」
「ディ、ディミトリ殿下……??」
「ふはははは!貴様の口はよく回るな、マリナ嬢!だが、それも此度の年度では良きスパイスであった。礼として、賛美を与えよう!実に良い狂言っぷりであった!楽しませてもらったぞ?
なにを驚いた顔をしている。喜ぶがいい、俺からの賛美だ。これ以上の礼はないぞ?ほら、笑って見せよ!お前の笑顔が見てみたい」
「え……?」
「まあ、しかし、なんだ。我が最愛の太陽たる俺のブリジットが貴様をいじめたと?
ふはははははははははははははは!!!!!!!!!そうだろうな!!!!!!!
なにせ貴様のような矮小な女にとって、俺のブリジットは存在自体がいじめのようなもの!!己と比較して絶望した事だろう!スタイル!顔!足の長さ!顔の小ささ!髪の毛の美しさ!声の麗しさ!素晴らしい美肌!頭の良さ!育ちの良さ!大胆不敵で豪胆な性格!!なにを比べ、どれを比べても雲泥の差!
これを思えば、貴様がブリジットがいじめたと思うのも不思議ではない話。むしろ仕方なきこと……。俺は、大いに同情しよう!ブリジットの存在は、貴様にとってとてつもないいじめであったであろう!うんうん!同情しかない!
まあ、同じように俺の存在もいじめのようなもの……。いや、むしろ、いじめというよりも災害レベルだがな!ふははははははははは!!!さすが俺!!人智を超えよるわ!ふはははははははは!!!!!!
今のうちに俺の存在によって、災害のような目にあったものは申し出るがいい!保険適用外だが、菓子を贈呈してやろう。俺、自らの手でな!!!!泣いて喜び、地に頭を擦り付けて礼を言うがいい!俺が許す!」
殿下、話がずれていますよ……!しっかりしてください。
なぜか、男子生徒が一瞬考えましたよ!どんな目にあったかはなんとなく察しますが、手をあげたら高笑いと共にマカロン一個だけしかもらえませんから、やめておきなさい。
「おっと、話がずれた。しかし、貴様の言い分をよく聞いていると、あることないこと全てないまぜにして語っているようだな?確かに俺はブリジットと常には一緒にいない。だが、俺はブリジットのことをよく知っている。いや、裸は知らないのだが」
「殿下!!」
「ふははははははははははは!!!!悪かった!
して、そんなブリジットが貴様のごとき矮小で歯牙にかけてやるほどのものでもない、小虫のような娘をいじめると思うか?あり得ぬ。俺のブリジットは、己自らの手でそのような行いもせず、ましてや、他人を使うなどと言う面倒な労力まで貴様のためだけに使うものか。
自分を高く評価しすぎたな、マリナ嬢。己の価値がそこまであると思っているのならば、片腹痛いわ!!
いいか。俺とブリジットは、百獣の王たる獅子だ。対して、貴様は野を駆け回る小鼠。たかだか、小鼠風情に獅子が爪と牙を出すものか。驕るのも大概にしろよ!!」
轟!と吠えるように声を張り上げる殿下に、マリナさんは一歩後ろへ下がり、尻餅をつきました。
わかりますよ、ちょっとそういう風に威圧的で真面目になると、殿下はまさに獅子のごとき王ですからね。
思わず尻もちをついてしまうのも、しょうがない話です。とりあえず、淑女としてどんな時でもきちんと足を閉じることだけは、注意していただきたいですね。
「ブリジットと己が同じ土俵、そして高さにいると思うなどと、ブリジット、ましてやその婚約者たる俺への不敬である!不遜すぎて驚くわ!」
「でも、ディミトリくん……!」
「ふはははははははは!!!!!小鼠が獅子に口答えとは!!!愚かな!愚かすぎるぞ、マリナ嬢!!
とにかくだ。ブリジットの存在自体が貴様へのいじめであることは、俺も認めよう。これに関しては貴様に非はない。そう思うだけならばな。
だが、貴様は己もブリジットと同じ高みにいると思いこんだ。これは大いに不敬である。王たる俺の横にいるにふさわしいブリジットが、貴様と同位置にいると思うということは、そのブリジットの横に立つ俺と同じ位置にいると思い込むも同意である。
貴様はなんだ、マリナ嬢?わからぬか?ならば、俺が答えを言ってやろう。この俺自らが正解を指し示してやるのだ、心して拝聴せよ。
いいか?貴様はただの臣民、ただの民草だ。貴族だの平民だの、俺の前では、皆、同じ人間。ただの俺の守べき国民だ……。
わかっていないような顔をしているな。いいだろう、教えてやろう!今!ここで!!
王とは、貴様が見上げるべき存在!そうであれば、民草と同列なわけがなかろうが、たわけめ!実に不愉快だ。不敬、不遜、不埒である。して、貴様、俺にいうことがあるのではないか?ん???」
「私は、ただ……」
「ふははははははははははははは!!!!!!!!!未だ口答えか、元気があってよろしい!俺は元気な者は好きだぞ?だがな、不敬者の元気よさは虫酸が走る。
いいか?今までのことは一つ置いておいて、言っておかねばならぬことがある。
貴様、俺を時折ディミトリくんだのと呼んでいたな?しかも、不敬にもこの拝すべき俺に対して、敬語もなにもなくタメ口をきいていたなあ?あの時、俺は貴様を学園側から生徒会長として頼むと言われていた。故に、貴様に対して、生徒会長として接してやっていたのだが。
本来ならば、すぐにでも処罰するべき案件だ。だが、俺は慈悲深いからな、生徒会長としての俺にその口のききかたをしているのだということにしておいている。しかし、貴様の先ほどからの言葉をわざわざ遮ってやっていたが、未だに己の立場をわきまえていないようだな?俺はもう卒業した身。すでに俺は生徒会長ではなく、次期王たる王子である。その俺に向かって、あの時のような不敬な振る舞いをしてみろ。
今すぐ国外追放待った無し、荒野へと放り込んでくれる」
「っ……!そんな、なんで!」
「俺の話を聞いていたか、マリナ嬢。貴様、頭が少しばかり残念なようだな。まあ、わかってはいたが。さて、俺は慈悲深いが、それでも忍耐の切れ目というものはある。して、マリナ嬢、貴様、死にたいようだがどうなんだ?ん?嫌だというような顔だなあ。ま、そうだろう。誰しも死にたいなんぞ思わぬものだ。
しかしなあ、思い出してみればこのような不敬の数々でああも媚びを売って……。俺に取り入ろうと?ふはははははははは!!!!まさに愚策よな。貴様、自分の顔貌を見てみよ。ブリジットに勝てる要素など、一つもありはせぬではないか。ふはははははは!!!!!」
「ひどい……!」
彼女はワッと顔を覆って泣いてしまいました。
やりすぎです、殿下。
マノス殿下の優しさが染み入るようにと考えてのことでしょうが、本気の怒気を発せられて、さらにはひどいことを言えば、普通なら失禁物ですよ!
彼女の神経が図太くてよかったですね……!
「俺への不敬罪として、即刻牢屋へ入れてやろう。喜べ、俺が手ずから入れてやる」と殿下はマリナさんに近づき、腕をひっつかんで立たせました。殿下の顔から表情が消えているためというより、本気でキレてる顔をしているので、マリナさんはガタガタと震えています。
そうですね、殿下のそのマジギレ顔で震えない人はそうそういませんから……。
実際のところは完璧なる振りで、ものすごく面白がってらっしゃるだけなです。マジギレはしてません。
カタカタと震えるマリナさんに向かって、にっこりと笑いかけ、頭に手をかけ、ストンと座らせました。
それはもう綺麗にストンと……。
今のマリナさんの格好から言えば、忠誠を誓う騎士のような格好です。
皆さんが心配そうに見守る中、殿下はすうっと息を吸いました。
「大義であった!!!!!!!」
「は?」
「いや、なにも言わなくていい!!本当ならば、最後まで演技をするべきであっただろうが、ここまで尽くしてくれた者を牢屋に入れるなど、振りでも俺はできぬ!!」
「え?なんのこと?は??」
「もう、演技はいいのだ、マリナ嬢!貴殿の働き、実に見事であった。我らが憂慮していた、婚約者同士の絆のなさは払拭された!見よ!この風景を!我らが求めし平和な姿を!今まで関心のなかった婚約者同士が仲良くなり、今まで相手をどうでもいいと思っていた者も、むしろ嫌いあっていたような者達をも貴殿の捨て身の演技によって、お互いに確かなる絆を生むことができた!
実に大義であった。皆、もうわかっている。話してしまったのだ……。
さあ、皆の者!!この者に拍手を!!!!!」
そういうと、わあっと生徒たちから拍手が上がりました。
おかげで、マリナさんの抗議の言葉はかき消され、私は思わずと言ったように彼女の元へ駆け寄り、ハグをしました。すると、さらに拍手は大きくなりました。
おかげで、きっちりとナイフを突き立てながら脅すことができました。マリナさんはすっかり血の気を失って、真っ白な顔になり、大人しくなっています。完璧です!!
殿下が片手を上げ、拍手を止め、陛下と王妃様の前に膝をつき、頭を下げました。
「陛下、王妃。私とブリジットはこの学園に入学してから、常に思っていたのです。なぜ貴族の婚約者というものは、互いに関心がなく争ってしまうのか。それはなんと悲しいことだ……!であれば、私とブリジットのように確かな絆を作るべきなのではないかと。
これから夫婦になることが決まっている者同士、仲良くした方が得でありますし、己一人が暴走することもなくなります。これは私達にとっても大事なこと……。
そう思っている矢先に彼女が入学してきました。しめたものです。私は、もちろん彼女に我が太陽たるブリジットを紹介しました。すると、彼女は私のようにブリジットへと入れ込みました。まあ、俺の太陽たるブリジットなのだから、入れ込んでしまうのも当たり前の話であるが!ふははははははは!!!!
おっと、失礼。
それで、私は考えました。これを利用しない手はないと。お姉さまといい、ブリジットを敬愛する彼女に頼んだのです。自分を悪者にして、婚約者のいる生徒達の絆を確かなものにしてくれないかと。
正直、快諾されるとは思いませんでした。そこまで、ブリジットのことを好きだとは思っていなかったのです。予想以上に彼女はよくやってくれました。先ほど、陛下達にあのようなこというほどに!
ですので、陛下。私は、彼女に報いてやりたいのです……。今まで辛い思いをしていたのだから、幸せになるべきなのです!!!」
「おお!確かにそうである……!しかし、なんと健気な……。どのような報酬が良い。なんでもとらせよう」
「陛下、並びに王妃様。私の話に少しばかり耳を傾けていただきたく……。あそこにおられるは、我が学園に留学してきたマノス殿下です。彼はマリナ嬢の演技に騙されることなく、真に彼女のことを見抜いていました」
「あ!これ、私の好きな恋愛物だな?よしよし、存分に話すといい!」
陛下……。
こんなにちょろくて大丈夫なんでしょうか、この陛下は…。
いえ、私が心配する立場ではありません。それをするのは、横の王妃様。それに、王妃様はきちんとした真面目で厳しい方。陛下のようにちょろくは……。
ちょろくは……。
ああ!ダメです!王妃様も恋バナ大好き人間でした!!!確実に、二人とも興味津々です!
「自ら悪者のように、己を偽り演技してきたマリナ嬢の風当たりは強いものでした。時折、ブリジットに、辛いと泣きついてしまうほどです。様々な婚約者の男性に近づいては、女性たちから軽蔑と嫌悪の目を向けられる……。
そんな彼女の小さな異変に、マノス殿下は気づきました。はじめはちっとも関心がなかったのに、その異変を感じてからは、だんだんと彼女を目で追うように……。そして、気がついたのです!彼女が時折中庭でひっそりと泣いていることに!彼は、彼女に近づきました。
「大丈夫かい?」と。殿下のことを知らないマリナ嬢は「ええ」とうなずきました。ここから、彼らの出会いは、本格的に始まったのです!
傷つき、泣きそうになった時、マリナ嬢はマノス殿下を頼り、また、マノス殿下も彼女を守った。こうして、彼らは確かな絆を育んでいったのです」
「うむうむ!」
「それで、彼女とマノス皇太子の結婚を認めろと言いたいのね!」
「その通り!!ですが、彼は王子。そして、彼女はたかが伯爵令嬢。しかも、他国同士。結ばれるのは難しいこと……。彼らは、このままこの恋は胸に秘め、違いに結婚せずにいようと誓い合いました。
しかし!!ここに、その誓いを破れるようにできる方がいます!それが陛下!あなたです!
私は、ここに提案しましょう!陛下!そして、マノス殿下のお父上たるミロ陛下にも!マリナ嬢とマノス殿下の婚姻を機に、しっかりとした強固なる同盟関係を結ぶことを!!」
「良い!!!私は認めよう!!なんならその式の費用は私達が持とう!!どうだね、ミロ殿!!!こんな健気な話、そうそうないぞ!」
「同盟の強化は構わないのだが、私としては元平民で伯爵程度の令嬢を正妻にするのは……」
「ミロ殿、正妻は抜きにして、結婚についてはどう思っているのだ?」
「別段構わん。結婚だけならばな」
「ならばこうしよう。私達、王家が特別に彼女のために結納金からなにまで用意する。われら王家からの輿入れという風にするというのはどうだ?」
「ふむ……」
とミロ陛下は悩まれました。
そこに行くのが息子のマノス殿下です。頑張れ!まだ、彼女はおとなしいですから、ばっちりですよ。もう GO!しかありませんよ、GO!しか!
「父上!不敬を承知で言わせていただきたい!」
「なんだ」
「私にはいまだに婚約者はいませんし、我が国から探そうと思っても、そう良いご令嬢はいらっしゃらない。さらに、今現在、我が国は前の戦争で金があまりありません。そこに結納金付きで、しかも式の費用まであちらが持ってくださる。後々の同盟関係を考えれば、彼女を正妻に置いておいても、なんら不足はないと思えます」
「ふむ……」
「実質、あちらからの輿入れという風になるのでしょう?では、よろしいではありませんか。伯爵だの、平民だのは後でなんとでも矯正できます。私個人としても、彼女のことを愛しています。なので、父上、お許しを願いたく」
そう深々と頭を下げるマノス殿下に、ミロ陛下はふっと笑われたかと思うと「お前も一人前になったものだ……」とおっしゃり「いいだろう!正妻としてもらいうけよう!そして、この婚姻を機にお互い同盟をさらに強固なものにしよう!」ともおっしゃいました。
その声で、会場からは大きな拍手がわき起こり、二人の王は互いに握手をし、また、次の王たる殿下達も握手をかわしました。
拍手のやみ始めた中で、マノス殿下はバッとマリナさんを抱きしめ「必ず君を大事にするから、お嫁にきてくれるね?」と囁きました。
私と殿下は「大丈夫だろうか、うなずくだろうか」とハラハラしていると、真っ白だった彼女の頬が桜に染まり、こっくりとうなずくではありませんか!!!!!!
私と殿下は思わず、互いにグッと握手をしました。完全勝利です!大団円です!!!!
抱き合う二人に、また暖かい拍手が起こりました。
こうしてこのゲームのストーリーは、まったく違う形でエンディングを迎えたのでした。
さて、ここからは、少しだけおまけの話。
私と殿下はパーティーが終わって、二人だけで控え室に一旦戻りました。
なんだかんだで、やはりとても緊張していたのでしょう。私たちは一気に背中あたりがドッと疲れ、ソファーにだらしなく体を預けました。
そこにクロードがお茶を持ってやってきました。なんと気の利く方なのでしょうか!
私と殿下は紅茶でうまく行ったことへの祝杯をあげました。
「ほほ、うまくいったようですな」
「うむ!して、クロードよ、貴様よくもまあ色々なことを知っているなあ。さすが、我が父の影だったものだ!」
「恐れ入ります」
「えっ!殿下、ご存知だったんですか?!」
「ふははははは!!!当たり前よな!幼い頃より知っている!ああ、そうだ、クロード。貴様、今年が更新年だったな。学園はやめて王宮にこないか?お前の紅茶が気に入っているのでな。どうだ?」
「では、よろしくお願いいたします」
「ふはははは!!!うむ、しっかと頼まれた!」
え、そんなあっさり??そんなあっさりいいんですか、引き抜かれちゃって!!!
「式の時に淹れる紅茶はおまかせを……」ですと?いえ、ありがたいんですが……。そう思っていると、私の耳元で「頭の中にある知識の向こう側をみたいので」とクロードは囁きました。
なるほど主人公の活躍を近くでみたいと……。ならば仕方ないでしょう、そのあっさり感も!
わかると頷いていると、部屋のドアが開き、マノス殿下がやってきました。そして、殿下と私に握手をして「ありがとう!本当にありがとう!正直、こんなにあっさり大団円になるとは思わなかった!」と矢継ぎ早に言いました。
殿下は「ええい、鬱陶しい!」と手を振り払った後、高笑いをしながら「俺がいて大団円にならないわけがないだろうが!」とおっしゃいました。
すごい自信です。さすがポジティブ系俺様バカ……。いえ、なんでもありません。
ブンブンと殿下と一緒に手を振り回されていると、どやどやと攻略者とその婚約者である6人がやってきました。
「ブリジット様〜〜!」
「わっ、アンナ様、どうしたんですか?え?カトリーヌ様まで?本当にどうしたんですか?」
「そりゃあ、なにもかも上手くいったからじゃないですかね?……私も!エイ!」
「きゃっ!カミーユ様まで…。ですが、本当に何事もなく、よかったです」
それに三人は「本当に!」と言った後に、私を押しつぶすかのように、ぎゅう!と抱きしめてきました。ちょっと、グエって言ってしまう程度に強く。
私達がぎゅうぎゅう抱き合っている間、男性陣も色々と話をしています。
「これで綺麗さっぱりだな!あー、これが終わったら一緒に全身マッサージしに行こ」
「へえ、楽しそうだな!」
「う、うるせえ!俺は別にアンナも疲れてるかもな、なんてそんなんじゃなくて、俺が行きたいだけであってだな……!」
「誰も、アンナ嬢とは言ってませんよ、ジャン。むしろ、あの一言だけでアンナ嬢がでてくるとは……。いや、これ以上はいうまい」
「あ……」
「仲良きことは美しきかな!楽しんでくるがいい!ふはははははは!!」
「え、いや、ええとですね!あのな、俺は別に……!」
「よいよい、わかっている!照れ隠しだろう!素直に「はい、楽しんできます」と言えばよいぞ?」
「ぐっ……!楽しんできます!!!」
「ふはははははははは!!!!そういえば、ミシェルは卒業してすぐに結婚するそうだな?別にって感じだったのに、これはこれは……。いやあ、実にマリナ嬢は良い働きをしたようだな」
「確かにマリナ嬢のおかげですね、こう思いきれたのも。感謝です。殿下とブリジット様に招待状をお送りしますので、よろしくお願いしますね」
「うむ、任された。で、お前はどうなのだ、エミール?」
「え、俺?俺はいつでもいいんだがな、あいつがドレスがどうのってよ。しゃあねえから待ってるの。待つのも男の甲斐性だろ?」
「ふははははははは!!!そうよな!まあ、ミシェル以外の二人はせいぜい頑張るがいい。俺は、まだ色々と手続きだのがあるし、マノス殿とマリナ嬢のこともあるしな。ま、噂でも聞いて、あれこれ考えておくがいい」
こっそり聞き耳を立てていた私は、三人に「幸せになってくださいね!結婚しても、きっと集まりましょうね!」と言い、三人共「もちろんです」と大きくうなずかれました。友情は続くのですね!
私が感動していると、マノス殿下が「そろそろ戻らねば、父上にどやされる」と言って帰っていったのを皮切りに、他の6人も帰って行きました。
静かになった部屋で紅茶を持ってきてくれたクロードは「ここからが、本当の物語ですなあ」とほのぼのと笑いながら私たちを見ました。
私と殿下はお互いに見合った後、にへらと笑いました。
そうですね、私のこれからのなんの知識もない物語は、それでも生きている限り続きます。それは確かに先行きがわからないという不安もありますが、大丈夫です。
なにせ、私には、この愛すべきバカ王子がいるのですから。
この後の『裏側の話』は、私の裏話的なアレではないのでご安心ください。
それは活動報告でやりますから……。
さて、誰の裏側の話なのでしょう。それとも……、いやあこれ以上は言えませんね。ワクワクしながら、次へ行ってくださいな!




