12
「なんてことをするんだ、ブリジット嬢!」
「……ヒック、うぅ……、ひどい、ひどいわ!私がなにをしたっていうんですか?」
「自分の胸に聞いてみなさい」
「ブリジット嬢!!君という人は……!行こう、マリナ。ここにいては辛いだろう?」
「……私も行こう」
「殿下……!」
「ブリジット、帰るんだ」
「……はい」
イ、イベントめえええ〜〜〜〜!!!!!呪ってやるぅうう〜〜〜!!!!!
心の中は嵐がビュウびゅうと吹き荒れていましたが、勤めて冷静に堂々と会場から出て行きました。
さて、なにが起こったのかわからないみなさんのためにご説明しましょう、なにが起こったかを!!
ことはパーティーで貴族たちが帰った後の生徒だけでの時間になった瞬間のことでした。温まった場内は、あれこれと、生徒たちはそれぞれ楽しくおしゃべりに飲み食いを楽しんでいました。
おかげで、どんな人にも話しかけやすい雰囲気が出来上がっていました。私は殿下に失礼して、会場の皆さんへの挨拶回りを始めました。
これがいけませんでした。殿下を連れて行くべきでした。一緒に行こうかと言われた時に、遠慮せずにお願いすればよかったのです!
くそー、イベントめ〜〜!
一旦、落ち着きましょう。そう、クールだ。クール……!
そんなわけで、殿下と離れて、私は挨拶回りに出たのですが、その時に、マリナさんが私に話しかけてこられたのです。
私は思いましたね「あ、これ、イベントだわ」って。
立ってる位置も完璧でしたし、手には赤ワインを持っていました。
絶対に引っかけないようにしよう、何を言われても怒らないようにしようと心にグッと誓いました。
大抵は怒らない性格をしている方ですし、短気ではなく気の長い方です。それに、結構、人のいい性格をしていると思いますし、大抵の事は受け流せる方だと自負しています。だから、大丈夫だと思っていました。
ここで、誰かを呼べば良かったのでしょうが、呼びませんでした。
向こうから、マリナさんが来たためにやってきた、カトリーヌ様、アンナ様、カミーユ様に大丈夫と微笑み「なんの御用でしょう?」と敵意のなさそうな笑顔でそう言いました。
ですが、あちらは確実になにか悪意のある顔をなさいました。
私は、再度「怒らない、怒らない。なにが起こっても、なにを言われても、冷静に、そうクールに……!」と自分に言い聞かせました。
「私、どうしてあなたにいじめられなきゃいけないんですか?」
「は?」
「だって、ディミトリ王子に近づいても、友人さんの3人に近づいても仲良くなりたいだけなのに、この間、あなたと仲良しの3人組に脅されましたし、最近、殿下にも冷たくされます」
「それで、どうして私のところに?」
「裏で全部糸を引いてるのはわかってるんです!仲良くしたいだけなのが、悪いんですか?」
「仲良くしたいだけならば、構いません。ですが、マリナさんの仲良くしようという行為は強引ですし、あまりにもベタベタしすぎています。それは、婚約者のいる貴族女性にとって嬉しくない行為です。それに、あなたも淑女なのでしょう?我々、淑女たるもの、あまりにも男性と親しくなりすぎるというのは……」
「それはあなたが、独り占めしたいだけでしょう」
「独り占めですって?」
「なによ、悪役のくせに、生意気なのよ……」
そうマリナさんは言いました。
私は思わず「悪役?あなた、悪役令嬢とでも言いたいの、この私を」とゲームの単語であろう『悪役令嬢』を口に出してしまいました。普通であれば、ここでは?だの、スルーだのをするはずですが、彼女は違いました。
彼女は正真正銘の転生した人間だったのです。
私の『悪役令嬢』という単語を聞いた途端、彼女はニイッと口を歪ませました。
その瞬間、とてもしまったなという思いがしました。一応、気をつけてはいたのですが、私もなんだかんだで疲れていましたし、気も立っていたので滑ってしまったのでしょう。
「あなた、悪役令嬢って言ったよね?」
「ええ、それがなにか?」
「知ってる?そんな言葉ね、現実じゃ言わないの。ゲームの中だけの言葉なんだよ?ねえ、あなた、転生者でしょう?」
「なんのことです」
「ふふ、焦ってる!でも、だからかあ!だから、あなたとディミトリくんのキャラが全然違ったんだあ!」
「……。あなた、なんなんです」
「私、転生したの。それでね、んふふ、逆ハーするんだあ。いいでしょ?あなたには絶対にできないもんね、なんせ悪役令嬢だもん。それにしても、なんでまだ嫌われもしてないの?そろそろ、なんかやらかして嫌われなよ。あ!でも、そうすると自分が困っちゃうんだっけ?だって、死んじゃうもんね、いやだよね?わかるよ。でも、大丈夫!私、それはやめてって言ってあげるから!」
「いい加減にしてください。そもそも、どうして、自分が好かれてる前提で話すんです」
「だって、私、ヒロインだもん。絶対に正しい選択肢を選べば、好かれるもん。現にマノスくんなんて「国に帰ったら、絶対に私のこと、王とお妃に相談してくれる」って言ってるし、他のみんなだって順調に進んでるもん」
彼女はしたり顔でニコニコと語っていたのですが、急に怖い顔をして「でも、ディミトリくんだけなのよ、順調じゃないのは!」と低く唸りました。
「選択肢通りにやってるのに、全然ダメ!あなたがなんかしたからでしょ?あんなにキャラを変えるほどのこと、なにしたのさ」
「なにって、ただ、お側にいただけ……」
「側にいてなにか吹き込んだんでしょ?自分がかわいいから」
「違います」
「正直言ってさ、あんなキャラにしちゃって、改悪も改悪。悪すぎだよ。でも、私の前だと元のディミトリくんに戻ってるんだよねえ。これってさ、あなたじゃダメってことなんじゃないかな?」
「なにをおっしゃいますの?殿下はご自分に対して、正直になっておられるんです。それが一番良いお姿ではありませんか」
「なに言ってんの?ゲームだよ、ここ。正直になってるとか、そういうのどうでもいいんだよね?私はさ、このゲームのそのままが好きなわけ。あなた1人のおかげで、すっごい変わってるの。ねえ、どうしてくれるの」
「どうと言われても困ります。私は、ただ殿下に幸せに、健やかに暮らして欲しいだけ。むしろ、あなたはどうして欲しいのです」
「そりゃ、普通にあなたが悪役令嬢らしく振舞うことだよね。だって、全部悪いのはあなただもん」
「どうして私が悪いのです。人間であれば、他人の痛みを理解し、寄り添うべきでしょう。結果がアレだとしても」
「じゃあ、私のディミトリくん返してよ!私が彼の心を癒してあげるし、絶対私の方がふさわしいもん。あなたなんて、自分がかわいいだけで、ディミトリくんに嘘ついて優しくしてるだけでしょ?」
「ふさわしいとは、戯言を……。私が自分かわいさに優しくしているですって?ええ、そうかもしれませんね。ですが、あんなに傷つく必要はないでしょう。幼少期というのは大事な時期です。その優しくいつくしまなきゃいけない時期に、どうして放っておく事ができましょうか!」
「やっぱり、自分かわいさなんだ!自分可愛さで言った言葉に嬉しがって、あんたが好きだって、婚約してるディミトリくんがかわいそう!」
ここで私はカッときました。
かわいそうですって?殿下が、かわいそう?あの人を上から目線で同情して、憐れむだなんて、なんて不敬で不遜な言葉なのでしょうか。
確かに、性格はアレでしょうが、彼を憐れみ、同情する部分なんてありません。それは、きっと彼女が自分を一番偉いと奢っているからでしょう。
私の手は、きつくワイングラスを握りしめました。
かけてはならない、かけてはならないと自分に言い聞かせている間も、マリナさんは言葉を続けます。
「そうだよ、かわいそうだよ!だって、あんなに頑張っても褒めてもらえない環境で、あなただけが優しくしたんじゃ、そりゃ、性悪でも好きになるよ!それに、そもそも、王に向いてないのに1人しかいないからって無理やりさせられて、とってもかわいそう!もう解放してあげなよ!」
—バシャッ!
マリナさんのドレスに赤ワインのシミがじわじわと広がっていくのを、私は怒りで冷え切った頭で認識しました。
彼女は、一瞬、口を歪めた後「きゃああ!」と悲鳴をあげました。
それを、私は能面のような無表情で見つめるしかありませんでした。人間って、本当に怒ると、すうっと何かが冷えて行くものらしいです。
悲鳴につられてほとんどの人が、私たちの方を向きました。
そして、イベントらしく、攻略者達がワラワラとこちらに向かってきました。
まず最初にやってきたのは、マノス殿下。それから、先生がやってきて、ジャン様、エミール様、ミシェル様がやってこられました。
そして、最後は殿下です。
氷のように無表情なのだろう私は、じいっと彼女だけを見つめていました。許せないのは、殿下の努力と環境を、ただかわいそうだけで片付けた事。
殿下がどれほど頑張ってここまできたのか、知らぬ故の妄言だとしても許せません。
王族から解放するべき?彼がどれほど自分の血を誇りに思い、父王を尊敬し、目標にしているのか、わからないというのでしょうか?
ゲーム内では確かに弱音を吐きます。
「王子なんて、やめてしまいたい」と。それでも、エンディングではきちんと王族の一員として、結婚式をあげているでしょう!
思い出すだけで腹が立ってきます!服じゃなくて、顔に引っかけてやればよかった!
そんなわけで、冒頭のように、私はあちこちから白い目というより、同情の目を向けられながら、パーティ会場から退場したわけです。
一応、イベント的には、逆ハーレムルートへ一直線という事になりました。
ここからは、誰か1人とゴールインしつつ、皆から取り合ってもらえるという未来か、誰ともゴールインせずにこのまま取り合ってもらうという未来かが、選べるようになっていきます。
バタンと会場への扉がしまり、なんとなく自分のなにかの扉もしまったような感覚に陥ります。
「ブリジット殿」と少し向こうにクロードが立って、微笑んでいます。なんでもお見通しというような、それでも許しましょうというような、優しい笑顔で立っているのです。
私は、思わず、はしたなくもクロードの方へ走っていきました。
「クロード!」
「ブリジット殿……」
「私……、私!」
「ええ、ええ。ごゆっくりと、落ち着いて……。お部屋に行きましょう。そこで、ゆっくりと、このクロード、お話を聞かせていただきます」
さあ、こちらへとクロードは、優しく私の肩を抱きながら、私が学園からもらったお部屋へと連れて行ってくれました。こういうところが攻略者たる所以なのですね!さすが、イケオジ枠!
ふかふかのソファーに身体を落ち着けて、私は彼から暖かいミルクティーを手に、一息つきました。なんだかドッと疲れたような気がします。
「それで、どうしましたか、ブリジット殿?なにか失敗をなされたのですか?」
「……そうなの。きっと人生の分かれ道だろう、大きな……、とても大きな失敗を」
「そうですか。それは、もしや、マリナ殿にワインをかけたことで生まれた分かれ道ですかな?」
私は驚いて、落としていた目線を目の前のクロードに向けました。彼は、至って普段通りの顔で、私に微笑んでいます。
「なぜ、それを?」と素直に疑問を言いました。
クロードはにっこりと笑い「ブリジット様。この世に神様という存在がいると、信じられますか?」と聞いてきました。
私は、このゲーム知識という不可思議なもののおかげで、神様という存在を信じています。そうでなきゃ、説明ができませんから。なので、私はそっと頷きました。
クロードは、そうですかとゆっくりと頷き、そのまま話を進めました。
「私もいると信じています。実は、先ほどのワインをかける前からの会話、聞いておりました」
「え?どこから!」
「変装していたのですよ。ほほ、これでも、私は、昔、王直属の影だったもので。今は引退しておりますがね」
「まあ、それはすごいわ……」
「驚いていただけて嬉しいですね。それで、これは私の推測なのですが、先ほどのマリナ殿が言った転生者というものに、ブリジット殿は属さないと思うのです。むしろ、知識だけ与えられた、ここの人間……、と思うのですが」
「クロード、あなた……」
「ふふ、その反応ですとそのようですな。実は、私も知識だけを貰った人間です。ちっとも前世なんてありはしないのです。なんの悪戯か、不思議なものですな、人生というものは」
「ええ、そうですね……」
ほほほと、クロードはほのぼのと笑っています。私も、そのおかげで少しゆがんではいますが、笑顔を浮かべることができました。先ほどまでは無表情の能面だったのに、クロードの力はすごいです。
私は、この歪んだ笑顔のまま「嫌われないでしょうか、殿下に……」と聞いてみました。
クロードは「おや」と驚いて目を見開く動作をした後、ゆっくりと笑って「大丈夫ですよ。絶対に」と言ってくれました。
「確かに知識からみる出来事としては、そうではないでしょう。ですが、私が生きてきた中で、一つ言えることは、いつでも物事は思った通りにも、知識通りにも動かないものだということです。私とブリジット殿が持っている、この不可思議な知識は、ただの知識であって、その通りの物事に進ませるためのものではないのです。だから、大丈夫ですよ。殿下は決してあなたを嫌ったりはしません」
「そう、でしょうか……」
「ええ、そうですよ。なにを弱気になっておられるのです。たしかに帰るように仰った殿下は、冷たく見えたかもしれません。ですが、大丈夫です。このクロードが言うのですから、絶対です」
「長年の知識ってやつからですか?」
「ええ、亀の甲より年の功でございます。さて、そろそろ殿下がお見えになる時間ですな。私は、これで」
「そんな……、クロードもいてください!」
「いえいえ、野暮にございますよ。ポットは、テーブルの上に置かせていただきますね?それでは、失礼いたします」
クロードがさっと飛び上がって天井裏に消えていくと、同時にドアが開き、殿下が入ってこられました。
私は身体を固くして、じっと殿下を見つめました。
殿下は、硬い表情のまま、向かいのソファーに座られました。いつもならば横に座ってこられるのに……。やはりお怒りなんです。きっと、ワインをかけるような、気の強い、礼儀のなっていない女だと思われているんです……。
殿下は、硬い表情のまま、私になにがあったのかとお聞きになられました。
殿下に彼女が言った言葉をお伝えするのは、どうしても嫌です。彼女が言ったにしても、私があの言葉を発するだけで、彼を傷つけてしまう可能性があるからです。
「言えぬか」
「言いたくありません」
「なぜだ?お前にやましいところがあるのか?」
「いいえ!ただ、ワインをかけてしまったのは、悪かったと思っています。ですが、私はやましいことなどありません……。私は、殿下を傷つけるような言葉を、他人からの言葉だとしても言いたくないのです」
「そうか……」
「殿下、私……」
私、あなたのことが大事なのです…と言う前に、彼は高笑いを始めてしまいました。
ひゃ!と久しぶりに殿下の高笑いに声をあげて驚いてしまいました。それに、さらに気をよくしたらしい殿下は、さらに高笑いを続けます。
どういうことでしょうか、先ほどまでは、私に硬く冷静な目を向けていたというのに……。
多分、嫌われたわけではないようですが……。
いえ、そもそも、よく考えれば、殿下が私を嫌うはずがないのです。
一体どうして、ここまでして不安に思ったのでしょうか。やはりルート確定のイベントだったからでしょうか。それとも、私を見る彼の目が冷たかったからでしょうか。ううん、多分、殿下が私を見る目で不安に思ったのでしょう。あれは、為政者の目でした。
「はああ……!よう笑ったわ!お前は、本当に俺の最愛たるにふさわしい愛らしさと健気さだな!ふははははは!俺はそういうところが大好きだぞ!さて、ブリジット、先ほどあった行為を説明すると、お前が俺に言いたくない言葉を言わねばならないということになるのだな?」
「はい」
「それは、要するに、あの小娘が俺に対して無礼千万なことを言ったということか。ふ、ふ、ふははははははははは!!!!だから怒ったのだな!さすがは俺の嫁よ!ふはははは!まあ、なにを言ったかはなんとなく想像できるがな。どうせ、無理してるだのなんだのと言ったのだろう。なにせあの生徒会でのことを思い出すに、彼女は俺を弱いもの扱いしたいらしいからな!ふははははははは!!まっこと、不遜、不埒、不敬よ!」
「その通りです、殿下……」
「うむ、そうか!予想をピタッと当ててしまうとは、さすが俺!文脈を理解し、記憶力抜群な脳みそを持つだけある!ふははははは!!ところで、先ほどまで冷たい態度をとってすまなかったな」
「いえ、殿下が私を大事にしてくださっていることを考えれば、動揺したり、不安に思うようなことではなかったのに……、不甲斐ないです」
「なにを言うか。それが普通だ。そこまで奢られては困るぞ?いや、確かにお前は俺の最愛、太陽であり、女神であり、天使だ。だが、俺は王になるもの。お前の犠牲で国と民が救われるのなら、お前を犠牲にするだろう。まあ、最終手段ではあるがな。あそこでは人の目があった。さすがに、何も聞かずにお前に味方することはできなかった。許せ」
「良いのです、殿下。それが正しい行動でしたわ。私が出ていかされるのは当然です。一番、権力を持っている女生徒ですもの。それがいては正しく物事を語れませんわ。だから、良いのです」
「そうか……。だが、出て行く時のお前の顔が泣きそうだった。泣いてはいないか?」
「いいえ、殿下。私の涙はそう容易く流れるものではありません」
「ふはは!さすがよな!ブリジット、今日はありがとう。そして、済まなかったな。苦労をかける。これからもよろしく頼むぞ」
「はい!殿下!私こそ、よろしくお願いしますね」
「もちろんだ!」と元気よく返事をした殿下は、その後、赤い顔をしながら「して、ブリジットよ……」ともじもじ言ってきました。
なんなのでしょう……。
「その、そっちに行って、抱きしめてもいいだろうか?」
またこの人は……。
これから先が不安ですわ、色々と……。
「殿下、是非。私、心細かったみたいで、実は、その、していただけるととても嬉しいのです」
「そ、そうか!そうかあ!!では!」
と、殿下は私の隣に腰掛け「行くぞ!」と気合いを入れています。
そうして気合いを入れ終わり、真っ赤な耳のまま、殿下は私を抱きしめてくださいました。今年はこういうスキンシップの回数が増した気がします。
私は生意気なことを思いながらも、そっと殿下に寄り添いました。
「私、こうして、ずっと殿下に寄り添っていたいです」
「そうか!ならばいつまでも寄り添っているといい!俺のこれからの栄光の日々、黄金に輝ける未来を共に歩む事を許す。ずっと隣にいるといい。そして、時折、こうして身体を預けよ。俺は、国も民も両親も、そして最愛のお前をも支えることができる稀有なる王であるからな。一切の負担にならぬ」
「はい、殿下」
「だから、ずっと隣にいて、微笑んでいろ。俺は、お前を心の底から大切に思っている。本当だぞ。だが、これ以上は進まぬ。俺は破廉恥漢ではないからな!」
「ええ、ありがとうございます、殿下」
「ふははは!当然のことよな!」
なんて言って余裕ぶっている風に見せていますが、声が震えているし、真っ赤です。可愛い人ですね、まったく。
倒れたって寄り添ってますからね、今日は。
結局、殿下はこの後倒られて、ジャン様、ミシェル様、エミール様に運ばれて行きました。
なんだか、少しだけスッキリしました。やはり、ハグというのはストレスを減らすらしいですね!素晴らしき哉、ビバ!ハグ!ですね!




