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「どういうことだ、ブリジット嬢!説明してもらおうか!」

「あら、まあ……」


 目の前にはエキゾチックな男前のご尊顔が迫っています。しかも、人気のない廊下に壁ドン状態で迫ってきています。

 さらりとした長い黒髪が、私の肩を撫でています。

 普通の女子生徒ならば、シュチュエーション的にここは喜ぶところでしょうが、残念ながら彼は絶賛お怒り中ですのでちっとも喜べません。

 それに、そもそも好みのタイプではありません。


「ええと、話が少し読めないのですが……。マノス殿下、おどきになってもらって説明していただけますか?」


 そう言うと、ゲーム内での攻略対象のひとりである他国の王子、マノス殿下はフンと鼻を鳴らして、私を冷たい目で見下ろしました。

 ええ、ええ。あなた、そんな方でしたよね、ゲームでも。

 私が教育を間違えたおかげで色々と変わってしまった殿下と違い、あなたは無事そのままに成長されたのですね、私は安心しましたよ!あと、壁ドンしまくるところもお変わりがないようで、大変よろしいです。

 ただ、私にすると殿下が高笑いしながら、若干キレるので注意していただきたいですね。

 もうね「ふははははははははははは!!!!!!」と高笑いされる時の顔面もうるさいのに、それがさらに声も顔も迫力もうるさくなりますから、全人類のためにやめていただけると嬉しいですわ。まあ、今、言えませんが。


「そうして誤魔化しても無駄だ。彼女……、マリナをいじめたそうじゃないか。あの君の取り巻きだか、友人だかに有る事無い事言われ、彼女は傷ついて泣いていたぞ。これは立派ないじめ……、そして、名誉毀損にあたるのではないか?」

「あらあら、マノス殿下は話の内容をお聞きになられました?婚約者のいる婦女子にとっては、とても大事なことを注意しただけですのに。もう一度お聞きしますが、聞かれたのですか?」

「もちろん聞いたに決まっている。友人になろうとしていただけなのに、近づくなと。それに、売女とも言われたと言っていた!マリナのような心優しい女性に売女とは!」

「まあ!そんなこと言いましたの?しんじられませんわ……!でも、もし言ったならば、申し訳ありません。ですが、マノス殿下、冷静に、そうクールになってお聞きになってくださいませ。よろしいですか?

たとえ、彼女達がそのようなこととも取れる言動をしたとしても、貴族社会で婚約者のいる男性にベタベタするということはそう取られかねないに決まっています。それになにより、彼女は魅力的……ですし、婚約者を取られるのではと危惧する女生徒は沢山いますの。

もしも、そのことを分かってらっしゃらないのであれば注意しなければならないでしょう?全女生徒のためにも。

私だって、できれば学園内でくらいは、のびのびと過ごしていただきたいわ。急に貴族社会に入って戸惑われることの方が多いでしょうし、心細いでしょうしね。ですが、マノス殿下。ここは、われわれ女生徒の『乙女心』というものにもご理解いただきたい。好いた男性でも、そうでなくても、婚約者に女性が親しげに近づいて喋っている姿を見ると胸が少し苦しくなるものなのです……。ですから、彼女達の言葉がきつくなってしまうのもご容赦くださいませ。私は、表立って注意できない立場です。彼女達の気持ちも分かりますし、元平民を庇うと私の立場も殿下の立場も危うくなります。

ですから、マノス殿下がよくよく彼女を守ってあげてくださいね」

「え、あ、ああ……。だが、表だたなくても彼女になにかしてあげられるんじゃないか、君は。彼女を囲った女生徒にも、なにか言うことくらいできるだろうに」

「そうですね……。ですが、マノス殿下。ここは彼女のためだけの学園ではなく、皆のための学園です。私は、少数を守る気はありません。一人の犠牲で多数を救う者です。もちろん、その一人には恨まれようが、仇討ちされようが、殺されようが文句はありません。私は国に立つ者として、大勢を取り、少数は捨てます。ですが、他国や部外者であれば話は多少変わってくるでしょう。どうぞ、お頑張りになってくださいね、マノス殿下」


 私が一歩下がり、頭を下げると、マノス殿下は先ほどの剣呑な空気を柔らかくして「こちらこそ、色々とすまなかった。感謝する」と同じく頭を下げて、去って行ってくださいました。

 ほっ……。

 とにかくこちらが悪いのか、そうでないのかわからずとも、まずは同意し、謝っておくというのは、個人同士の諍いであればとても効果的ですね。そのあとで、なんとでも説き伏せられますし。

 それに、彼が冷静沈着な性格の人でよかったです。

 流石に殿下と同じ王子とあって、きちんと話も聞いてくださったし。これで、話を聞かない真正のバカだったら、すぐに「殿下!!!」と、叫ぶところでした。

 実にやれやれという感じです。

 さて、マノス殿下によると、あの3人が暴言を吐いたということになっているけれど、大丈夫でしょうか。他国の王子に言ってしまう程、お口の軽い方のようですし、言い広めて彼女達の立場が危うくなったらどうしましょう……。

 彼女達はもちろん庇えますし、先ほどのようにしてなんとでも言えますが、友人としてそんなことをしなければいけない事態に巻き込んでしまったのが、とても悔しいです。

 ですが、彼女達もそんなヤワではありませんし、私が次から気をつければいい話。クヨクヨしててはいけません。次です、次!こんなことで、一々後悔だのなんだのと感じていたら、今頃とっくに私は胃に穴が空いて死んでいます。楽天的な思考って大事です。

 それに、一応、さりげなくとも、マノス殿下の方から行ってもらえるようにしましたし、ルート的に確実性が高くなったのではないでしょうか!

 頑張って、マノス殿下。私たちの平和のためにもサクッと彼女を落として、サクッとマノス殿下ルートにしちゃってください!私は全力でサポートいたしますわ!


 私が、ぐっと握りこぶしを作りながら歩いていると、さっと目の前に誰かが現れました。若干、マノス殿下の時のような感じでデジャヴを感じます。

 ですが、こちらは敵意なしの私の大事な友人3人です。

 少し彼女達の顔をまともに見れません。楽天的思考は大事だと言った矢先に、こうしてまた後悔の渦が巻き返してくるのですから色々と情けないです。


「みなさん……」

「あら、いやねえ!そんな顔しないでちょうだい、ブリジット様!」

「そうですわ!確かに、少し面倒っぽくなりましたけど、私たち、これくらいなんともありませんわよ」

「そうそう、伊達にこの社交界で生きてないわよ。あーんな貴族社会に入りたての小娘なんてどうってことないですわよ」

「みなさん、ありがとうございます……!私、みなさんみたいなお友達がいて、幸せです!」

「ブリジット様……!」

「わ、私も、ブリジット様と友人でとっても幸せですわ!」

「恥ずかしいこと言うわねえ…」

「ふふふ……。でも、みなさん。本当にどうしようもなくなったら、いつでもお助けしますわ。それに、あなた方の名誉は私が守ります。一応、マリナさんのフォローにはマノス殿下が入ってくださりそうですし、一応、納得していただいたところはありますから大丈夫ですよ」

「やだ、イケメン!ありがとう、ブリジット様。不味くなったら助けていただくわね」

「あのマノス殿下にフォローを入れさせるなんて、流石ですわ……」

「あの贅沢小娘ちゃんはどうなるのかしらねえ。玉の輿?」

「ま、とにかく気にしないでくださいね、ブリジット様。私達なら大丈夫ですもの。それよりも、私はブリジット様の方が心配ですわ」

「そうね、そっちが心配。マリナさん、どう動いてくるやら……。だって、ねえ?」

「私たちが来たのはブリジット様が言ったからだって言うのよ?確実に悪の黒幕にされてますわよ、ブリジット様」


「本当、心配ー」と言ってため息を吐かれてしまいました。心配されてるのか、されてないのかわかりませんね、これでは。しかし、そうであっても心配は取り除いておいた方がいいでしょう。

 私は、安心させるように自信のある微笑みを浮かべ「慢心はいけませんが、あれほどの小物。どうして心配の種になるでしょうか。私なら大丈夫ですわ。これでも殿下の婚約者ですもの」と言いました。

 すると、お三方は、感極まったとでも言うように抱きついてこられました。わっぷとなりますが、嬉しい思いが強くします。


「あーん!これだから好きよ、ブリジット様は!」

「ジャンよりかっこいいですわ!」

「もう!これだからブリジット様は!もおお!!好き!」

「まあ、嬉しい!私もあなた達がとーっても大好きですわ!」


 少し気恥ずかしいですが、好意というのは口に出していった方がお得です。精神衛生上もとてもよろしいのです。

 先ほどまでに、マリナさんのことやマノス殿下のことは、すっかりどうでも良くなってしまいました。

 さすがハグの力は侮れません。今日は、殿下をぎゅっとしてあげましょう。きっと、ストレスも緩和されるでしょう……。

それにしても、なんだか、今度の学園祭は波乱の予感がします。

しっかりと、マリナさんがマノス殿下ルートに進んで下さったらとても良いのですけれど。

 そうしたら、学園祭の最後を彩るダンスパーティーという名のミニ社交界中にこっそりとお二人だけで、抜け出して……という風になるのですが。

 そうなると面倒事がおきなくて大変いいのですが、まあ、現実はそううまくいくかどうか。とにかく、私は祈るしかありません。


 さて、3人と別れて今日は殿下にお呼び出しを生徒会の方でされているので、早く参らなければなりません。時間には余裕がありますが、早く行っておいた方が殿下の機嫌が良くなるのです。

 生徒会室には役員の方々がいらっしゃいますので、手土産にマフィンとマドレーヌを持っていきます。

 これには、殿下のお喋りを少し黙らせるためというのもあります。これがないと、殿下が永遠とべらべらべらべら喋り続けるのです。それだけでもドッと役員の方はお疲れになるようですので、とても大事なことです。

 コンコンとノックをすれば、しっかりと響く低音が「入れ」と中から放たれました。


「みなさん、マフィンとマドレーヌを持って来ましたのでお食べになってくださいな」

「おお!さすが、ブリジット!気がきくな!丁度、皆の集中も切れていたところだ。全員、一旦、手を休めるがいい」

「ですが、会長。このままでは終わりません」

「なにを言うか!集中を欠いていたままやったところで、効率が悪いだろうが!ミスをしてさらにここにいたいと言うのならば、やれば良い!そも、この俺が休めと言っているのだ。素直に手を止めよ。クロード、茶だ!茶を持ってこい!!」

「はい、会長殿。ブリジット殿、どうかここにおすわりになっていてください。すぐにお茶をお淹れいたしますゆえ」

「ええ、ありがとう、クロード」


 にっこりと微笑むイケテル老執事のクロードは、イケオジ枠の攻略者です。

 生徒会専用の学園側から派遣されている執事の方です。どういった経緯で、どういった経歴があるのか、本当にただの執事なのかは謎とされています。

 本気でゲーム内でも明かされないので、謎の人物であるのです。一番難易度が高い攻略者で、生徒会室に入れるようになると攻略できるようになります。

 そんな謎のイケオジ、クロードさんはシルバーの髪を後ろに撫で付け、きっちりと執事服を着こなし、柔和な笑顔で的確なアドバイスをしてくれる方で、我々のような王族だのなんだのと偉そうな肩書きを持っている生徒でも、そうでなくても公平に見てくださる稀有な方なのです。

 おかげで殿下からの信頼も厚く、時々、私が嫉妬したりするほどです。

 ですが、そんな私のこともわかっておいでで、私のこともうまいこと立ててくださるのです。そんなクロードは、私の憧れ、目標の人物でもあります。

 きっとすでに用意していたのでしょう。すぐにお茶が出て来ました。いい香りです。


「いい香り……。クロードは、お茶を淹れるのが本当にお上手ですね。私もこれだけ淹れられればいいのだけど。でも、クロードの淹れるお茶はクロードにしか淹れられませんものね。羨ましいわ」

「勿体無いお言葉です。ブリジット殿が淹れられるお茶も、清楚で清廉な精神が現れているように、いつも澄んでいて、私の方こそ羨ましいといつも思っております。さて、砂糖とミルクはいかがですかな?」

「まあ、では、ミルクを少々」

「はい」


 澄んだ紅茶の中に、くるくるとミルクが渦を巻いて混ざっていきます。ミルクを入れても、入れなくてもクロードの淹れるお茶はとても美味しいのです。

 役員の皆さんは、お腹が空いていらっしゃったのか、それとも早く再開させようとしているのか、ガツガツと食べていらっしゃいます。

 殿下としては、ゆっくりと食べて休んでほしいと思っていらっしゃるでしょうから、ここはきっちりと「ちゃんと、ゆっくりとお食べになってくださいね。殿下は、きっと食べ終わればすぐにでもガンガン働かせると思いますので、今のうちに、ゆっくりと……」と言っておきました。

 皆さん、私が言ったからもあるでしょうが、段々とゆっくりとお食べになるようになりました。これで、私の役目は半分以上終わりました。

 殿下が私を生徒会に呼ばれるのは、手が回らない分のお手伝いとしてだったり、役員を休ませるためだったりするのが大抵です。

 今回は、役員をきっちりと休ませるのが大まかな目的です。その他は、殿下のお手伝いだの、ただたんに殿下がお喋りしたいかくらいでしょう。

 私は、いまだに手を動かしている殿下の口にマドレーヌを運ぶことにしました。どうせ「殿下も手を休めたらいかがですか?」と言っても「何を言うか。俺があれらが休んでいる内に働き、あれらが働いている間にさっと休むのが一番効率的だろう」と言われるのがオチですからね。

 ここは、糖分摂取をさせるのが一番でしょう。


「殿下、あーん」

「うむ……」

「殿下、知ってらっしゃいます?ハグをするとね、ストレスが軽減するんですって」

「うむ……。うん?!ハグ?ハグだと?したいとな?ふは!ふはははははははは!!!良いぞ!俺は常にストレスフルだからな!存分にぎゅっとするといいぞ、ぎゅっとな!さあ!!」

「あら、では、失礼して……」

「ふ、ふはははははははははははは!!!!!!ストレスを軽減され、ている?気がしないこともないぞ!まあ、ブリジットはいるだけでもストレスを軽減してくれるがな!さすが俺の嫁だな!うむ!」

「あの、会長、なんで照れてるんですか……」

「うるさい!!貴様、消されたいか!!だが、ブリジットの手前だ、特別に許してやろう!そして、それらを食べ終わったらさっさとキビキビ働くが良い!ええい!誰も早く食べろとは言っていないだろうが!!俺がやっているのだ、なぜ、貴様らが休んでいて不足があろうか!いいや、ない!!ならば、今の内に食って、体力を蓄えておくがいい!!なに?俺があまりにも心と度量が広すぎて、この尊顔があまりにも眩しい?ふははははははは!!!当然だろうが!!なにを言っている!もっと言ってもいいがな!ふははははははは!!!」

「殿下……」

「なんだブリジット!俺はまだ休まぬぞ!先ほどのハグのおかげで、元気がでたからな。まだまだいけるわ!ふはははははは!!」

「まあ、嬉しいわ。はい、あーん」

「うむ!うまい!」

「はい、あーん」

「あーん、うむうむ……」


 やっと、ハイテンションの殿下がおとなしくなりました。きちんと食べる時、口に物が入っている時は喋らないようにしつけてくださった方々に大感謝です。

 さて、殿下はざかざかとペンを動かし、目をぎょろぎょろと動かして、猛スピードで書類を捌いていきます。

 さすがは、ポジティブ系俺様バカといえど、ハイスペックではありますね。常日頃の患ってそうな言動も、これのおかげでただのカリスマ的言動になりますし、ハイスペックって便利ですね。


 役員の皆さんがしっかり休み、お仕事に戻ると殿下は「俺が休んでいる間、手を休めようとは思うなよ!俺と貴様らでは、天と地……、いや、宇宙と地底以上の差があるのだ。倍は動け!そして、決してここからは休めぬと思え。励むがいい!ふはははは!!」と高笑いとともに激励してから、休憩するために席にお付きになりました。

 私は、もちろん殿下の隣です。


「して、ブリジットよ。なにか面倒事が起きそうな気配がするのだが、なにがあった。お前は隠すのが上手いが、俺は逆に暴くのが上手いゆえな……。いや、そういう意味ではないのだがな!あれだぞ、人が隠している事をなんとなく察知するほうだぞ!」

「あら、殿下、それは余計な事ですわよ。言わない方がよかった」

「なに?!そうだったか……。次は気をつけよう!それで、なにがあった?お前が頼んだ三人になにかあったか。マリナ嬢になにか言われたか、なにかけしかけられたか?言えぬか、俺には」

「いえ、殿下。これは言える事ではありますが、私たち、女の問題です。殿方が入られては、少しばかり面倒です。言ってもいいですが……。殿下、私に尽力しないでいられますか?」

「……いや、無理だな。俺はお前が何よりも大事だ。まあ、国や民の次にではあるがな。だがしかし、人間として、真に大事に思うはお前ただ一人。俺からの尊敬もお前ただ一人にだ。であればこそ、俺が尽力しないわけがない。お前が行く先に大岩があるのならば、俺はそれをことごとく砕いてみせよう。そして、必ずことごとくを砕くであろう。お前が立ち入らないでほしいのならば、此度の面倒事、俺は聞かない。そして、聞かないという事は尽力もせぬ。良いな?」

「ええ、殿下、ありがとうございます」

「それと、一つ聞いておくが、俺に遠慮してではないな?俺はお前の問題を片付ける程度、この片手だけでもできる。遠慮ではないな?」

「まあ、殿下ったら。私を侮らないでくださいませ。あなたの隣に立つ者を誰だとお思いですの?私よ」


 そう言うと、殿下は驚いた顔をした後、ニヤッと笑い、くつくつと笑い出し、ついには高笑いを始められました。

 ちょっと、うるさいです。


「そうだったな!!さすがブリジット!俺の嫁だ!いや、俺が悪かった!あまりにもお前を守ろうと思うあまり、失礼な事を言った。許せよ、ブリジット!」

「はい、殿下」

「ふはははは!!よかった、許してもらえた!それで、少し続くが……、此度の事俺は聞かぬし、尽力もしない。それは、この先も一切それがない事になるが良いのだな?まあ、ブリジットには聞かないでもいい質問であろうがな!やれるな?どんな問題かはなんとなくは察するが、できるな?」

「まあ、先ほど私を侮らないでと言ったばかりではありませんか。ひどいわ、殿下……。私を信じてらっしゃらないのね……」

「なに!?そんなわけないではないか!!この俺をここまで自信溢れる男にし、俺に王とはなんたるかを教え、常に俺を支え、寄り添い、包み込んでくれる聖女か天使のごときお前を俺が信じていないわけないではないか!!俺にとって、誰よりも信頼に足り、誰よりも俺に近く、誰よりも愛しているお前をこの俺が信じないわけないだろう!!」

「うふふふ、殿下はやっぱり私を神聖視しすぎですわね!殿下、大好き!」

「ふは!ふはははははははははは!!!!!!!俺をからかったな、ブリジット!だが、許す!!大いに許す!!なぜならば愛らしかったからだ!さすが俺のブリジット!どこまでも愛くるしいわ!!ふははははははは!!!!ちなみに、俺もお前が大好きだぞ!ふは!ふははははははは!!!!」


 殿下は高笑いしながら、もぐもぐサクサクとお土産たちを食し、ごくっと一飲みで紅茶を飲み終え「クロード、片付けておけよ。俺は仕事に戻る。適当なタイミングで、また茶を出すといい。お前の淹れるお茶は、美味いからな」とまた仕事に戻っていかれました。

 私は、紅茶をもう一杯もらった後、殿下に「行くな、ブリジット!!行くなー!!!側にいるだけで良いのだ!いてくれー!!!お願いー!!」とうるさく言われましたが、無視をしてそのまま寮に戻りました。

 殿下、あなたならきっと立派にやって見せてくださるでしょう、信じていますよ。

 それと、そこにいたら仕事をさせられそうなので、勘弁です。



実は、と言うほどでもないのですが、本編はすでに完結済みで、完結までは11日に10時、その他は18時に更新しますので、よろしくお願いします。

番外も、一応ほぼできあがりかけ…、みたいな感じですので、少し長い、長いのか?わからん。とりあえず、この先もよろしくお願いします…。

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