おせっかいな悪魔
-友達?いいえ契約者です-
「あ"ー無駄に気張ってたせいで疲れたー」
と、私は砂が吹き荒れる中
煙草を片手に帰りの支度をしていた。
風が少し強いためライターの火が消えないように手で風を遮る。
中身が余り残っていないのか、風が上手く遮れていないのか少しだけ火がつけ辛い。
7.8回繰り返した後、ようやく火がつく。
少しイライラしたがこれでストレスが晴れるだろうと口にくわえている煙草に火をつける。
肺いっぱいに勢いよく吸う
「‥‥‥‥‥‥‥」
不味い、この煙草は不味いクソ不味い。
「失敗した...」
少し舌打ちをしながら不味い煙草の火を消してごみ袋に入れる。
このあたり所のない怒りを私は、砂を蹴ることで抑えることにした。
「あらあら~どうしたのぉ?」
砂上に自分の足跡を深く、深く刻んでいるところに艶かしい声が邪魔をしてくる。
私は聞いた瞬間に背中に寒気が走り身体を震わせる。
ひきつった顔を隠さずに振り向くと
そこには妖艶な気配を漂わせる白髪の女性が腰をくねらせながら立っていた。
女性は私の身長よりも10㎝程高く忌々しいほどの爆乳で砂避けのローブを目深く被っていた。
「その表情大好きぃ!」
と長髪の女性は飛びかかるように抱きつき頭をぐしゃぐしゃに撫でる。
私は抱きついてくる女性の胸にある暴力的な何かを鷲掴みにして必死に抵抗する。
「ちょっとぉそこ...だめ..」
と喘ぎ声をあげる長髪の女性。
少しだけ力が緩めた隙に後ろに飛び、逃げた私はつり目になりながらぐしゃぐしゃにされた髪を整える。
再度、なでなで攻撃を受けないために警戒する。
敵、ではないが...単に嫌いなのだ。
「何でここにいるんだよ」
イライラする心を全開で出しながら質問をする。
私のつり目に睨まれた女性は、頬を赤らめながらまた身をくねらせる。
「いやぁ私の可愛い可愛い契約者が誤情報で初任務に派遣されたって聞いたからもう心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で心配で...」
「あー!もう!はいはい!わかったから!」
と、さながらツンデレ美少女のようなポーズで両腕を降り下ろし大声でなだめる。
故障した機械のように同じ言葉を繰り返す長髪の女性は私の声を聞くと笑顔で再度飛びかかってくる
「大丈夫?痛い所ない?お腹空いてる?喉渇いてるならお水飲む?持ってきたのよ!」
おせっかい
一言で言うと雑だが深く言うとこの女性なりの愛情表現なのだろう。
契約者の関係を越えた愛情なのだろう。
契約者、先ほど話の中に出てきたその単語はこの世界では余り意味が知られていない言葉である。
伝説では私の父が相棒と血で交わした約束となっている。
効果などは伝説では語られていない。
何故ならやり方がそもそもわからないからだ。
昔この世界がまだ綺麗な頃、人間とその他種族が精霊や天使、悪魔などなどの種族と契約し共に歩む為に使われていたと言う。
もっとも、昔の話なので語り手もいなく歴史の中に薄れていったのだが。
この女性も実は悪魔である。
と言っても伝承にあるような悪い悪魔ではないむしろ天使と悪魔は仲が良いのだ。
天使は陽の守護
悪魔は陰の守護
陰がなければ陽は生まれない
陽がなければ陰は生まれない
総合関係?と言うのだろうか?
私は調べていないのでよくわからないがこの悪魔はそう言っていた。
ちなみに私が悪魔と契約したのは特に理由がない
てきとうにサイコロで決めたのだ。
でも後悔はしていない。
と私が考えにふけっていると悪魔は心配そうな顔でこちらを見つめる。
「大丈夫!大丈夫!心配しないで!」
悪魔は笑顔で胸を撫で下ろす、また笑顔で抱きついてこようとするが私は回避する。
「酷いよ~」
砂の上に頭からダイブした悪魔は涙目になりながら頭についた砂をはらう。
「帰るか」
私は笑顔で歩き始める
「転移使わないの?」
悪魔は私に質問をする
無言で頷き
「わすれてた」