初戦
―初戦―
肌が焼けるように煌々と光る太陽が上から照す砂浜の中、海岸を打ち付ける波の音と、鳥のさえずりが静かに響く。
そんな場所で私はのんびりとパラソルを立て紅茶を飲んでいた。
後ろの木々をがガサガサと音をたてる。
私は一端ティーカップを置き身体を反らし後ろを見る。
「ベリメリア様、ご支度の用意が整いました」
こちらを見つめるのは長い白髪の髪を紅い紙止めで結んでいる、背の高い男だった。
私はその男の話を聞き、身体を元に戻し前を見つめる。
この瞳から見えるのは何処までも続く広い海と青い空。
その中に1つの黒い点が見え始める、徐々にその黒い点は大きさを増し形がハッキリとしてくる。
「ベリメリア様、あれは敵ですかな?」
白髪の男が話かける。
私は返事をながら椅子から立ち上がる。
「敵だ」
敵。
私がそれを口にすると白髪の男は笑みを浮かべる。
白髪の男は胸ポケットの中から小さい望遠鏡を取り出す。
それを使い、近づいてくる敵を見ているのだろうか白髪の男の口元は笑みを浮かべたままだった。
見終わったのか、白髪の男は望遠鏡を私に差し出しこう告げる。
「人間ですなあれは」と。
私は望遠鏡を手に取り、覗く。
水飛沫をあげながらこちらに高速近づいてくるのは戦艦だった。
その戦艦は黒色の見た目で、甲板には戦艦の3分の1程の大きな砲台が付いていた。
おそらくこちらを一撃で仕留めようとしているのだろう。
と考え、見飽きたので望遠鏡から目を離し白髪の男に返す。
望遠鏡を胸ポケットにしまうと白髪の男は質問をしてくる。
「どうしますか?ベリメリア様」
と聞いてくる、まだ主砲がこちらに攻撃を開始するまでは少し時間があるだろう。
わざとらしく腕を組み頭をかしげてみせる。
が特に面白い事も思い付かないので。
「そうだな、普通に殺そう」
と返答する。
白髪の男はうなずきながらさらに質問をしてくる。華麗に殺すか汚く殺すかどちらが良いからしい。
個人的にはどちらでも良いがせっかくなので華麗に殺すとしよう。
私は白髪の男に杖を持ってきて、と言う。
それを聞いた直後、白髪の男は消えるようにいなくなった。
それから3秒程経過すると白髪の男はいつの間にか元の位置に戻ってきていた。
「どうぞ」
と言い私に150cm程の剣の様な形状をした武器を渡す。
剣の形状は両方に刃がついており蒼い透き通った色をしている、柄の部分は薔薇の模様が装飾してあり所々に宝石の様な物が埋め込んである。
持って振ってみると見た目より軽いのかとても振りやすい。
「それは魔剣ジュールです」
と白髪の男が言う。
魔剣、前に習った事を少しだけ思い出す。
たしか、魔剣は意思があり魔剣それぞれに違う力が使えると、そんな感じだったはずだ。
とそんな事を考えていると大気を震わせるような低い音が響く。
撃ってきたのだ。
飛んでくる砲弾は赤くこちらへ向けて飛んでくる、が私と白髪の男には当たらなかった。
砲弾は空中で止まって動かないそして砲弾はしだいに形を変えて小さくなり消える。
白髪の男は笑顔で拍手をする。
「さすがベリメリア様、もうその魔剣に認められたようですな」
どうやらこの魔剣の力の様だ。
少し驚いた。
私は魔剣を見つめると
「別に守った訳じゃないんだからね!」
と魔剣が話かけてきた。
キモい、正直本当にキモいがまあツンデレは良しとしよう、そう考え私は魔剣に礼を言う。
「ありがとう」
「別に嬉しくなんてないし!」
キモい。
どうにかならないかと白髪の男の方を見る。
が白髪の男は知らん顔で顔をそらしてした、こちらをみないように。
口元も手で隠している、きっと笑いを堪えているにちがいない。
何て事をやっていると次の砲弾が飛んでくる。
が飛んでくる砲弾は全て消え失せる。
諦めず撃ち続ける人間達、うるさくて耳が痛い。
攻撃が止むまでやる事がないのでどんな力なのか白髪の男に大声で聞く。
「ベリメリア様、そんな事より敵を殺してくださいさすがにこれは鼓膜が破れます」
耳を指で塞ぎながら顔をしかめる白髪の男。
わかったと言い。私は魔剣をしっかりと握る。
「さあ、君はどれぐらい硬いかな」
と砂上を蹴る。
音を置き去りにして一瞬で遠く離れた戦艦の前に行き、そのままの勢いで戦艦を斬る。
真ん中に切れ目ができると戦艦は耐えきれずギリギリと音をたて2つに割れる。
艦内には海水が入り後は沈むのを待つだけだ。
私はそれを空から見下ろし笑う。
笑い飽きたので帰ろうとした時、先程言っていた華麗だったか派手だったかに殺す事を忘れていた事に気がつく。
私は魔剣に話かける。
「火とか使える?」と
「うん!」
魔剣ははりきって返答をする。
一様派手にやってもらう事にして魔剣に指示をする。
魔剣は元気に返事をしたあと、沈みかけている戦艦の上に火の玉を作りだす。
火の玉は次第に大きさをを増し400mはあるだろう戦艦を覆いつくす程に膨らむ。
魔剣はまるで無邪気なこどもの様に
「死んで?」
と。