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イケメン王子とメロンな親父  作者: 大野 大樹
一章 憧れは、憧れのままが一番幸せって話
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4.違和感の正体

 ‥六の国の畑は、(ドラゴンで空から)見たことがあったが、こんな様子では無かった気がする。どうっていわれても分からないが‥。

 六の国は、国全体が平地のような国で、居住地以外は全体が畑だった。

ここ一の国も、畑が広がっているっていう点では同じなんだけど‥。島全体の割合にしては六の国程でもない。大きめの牧場が一つあって、牛と馬がのんびり放牧されている。隣の小屋は、鶏舎だろうか? 管理が行き届いていそうだが、けして大規模とは言い難い。

 島自体が小さいから、畑と牧場の占める割合は、小さくはない。だけど、農業大国という程ではない。まして酪農大国っていう程でもなく、何もかもが「そこそこ」という感じの島だ。


 何の島なんだろう。

 七の国は資源の国。六の国は農業の国。国にはそれぞれ特徴があって、それを生かして貿易その他をおこなっている。

 五の国は商業の国で、他の国から商品を集めてそれを他の国に販売していた。資金面で豊かだった五の国は、他の国に何度も戦を仕掛けてきた。(七の国に攻めてきた回数が一番多かったのも五の国だった)

そういった戦があると活躍するのが、サイゾーのような雇われドラゴンマスターだった。

 ドラゴンは船よりも早く国から国へと移動できたが、ドラゴンを保有することは、毎日の餌代などの資金面でも、健康管理等の技術的にも場所的にも並大抵のことではなかった。だから、有事のみに雇われるのが通常だった。

 運搬に用いられることは、まあない。

 つまり、有事とは戦争だ。

 国同士の戦争でありながら、実は同じところから派遣されたドラゴン同士の戦いになるのだ。‥皮肉なことだ。

 じゃあ、仲間同士手を抜くんじゃないか? と、思うのが普通なのだが、「守秘義務」「個人主義」はドラゴンマスターの基本で、そういうことはない、とされている。(まあ、実際ドラゴンマスターは個人主義者だし、俺が一番的でなれ合わない性格をした者しかいない)

 戦いを左右するのは、ドラゴンの性能もあるが、まあ、それは大差ない。

 それよりも寧ろ、重要なのはドラゴンマスターの能力だ。ドラゴンの操舵には技術がいる。その為、相手の国よりも優れたドラゴンマスターを雇うことが戦いの勝敗を左右した。

 中でもサイゾーは他の誰よりドラゴンを操るのがうまかった。誰よりも早く、誰にも気づかれずドラゴンを飛ばし、空中での戦いにも優れていた。そして、何時しかサイゾーは「伝説のドラゴンマスター」と呼ばれる様になっていたのだった。


 その伝説のドラゴンマスターが今目の前にいる。‥本当かどうかわからないけど。

馬に乗っている間、マンゴスチーンは今日までに急激に入ってきた七つの国の情報を、自分なりに分析した。

 ‥もっとも、四の国や三の国は上空を通っただけで、どんな国なのかはわからないんだけど。

 ぽっぽかぽっぽか馬はなおも進む。目の前にはまだ畑が広がっている。

 ‥そうか、種類が一種類だけなのがおかしいんだ。

 マンゴスチーンは今まで引っかかっていた、違和感の正体に気が付いた。

 ‥そうだ。六の国の畑はやっぱりこんな風ではなかった。もっといろいろな種類が植えてあった気がする。何という農作物なのかは分からないが‥。色々な葉が茂っていた‥。

 一方で、一の国で栽培している植物はこれだけ。葉は大きくて、固そうで食べられそうにない。茎がしっかりしているわけではなく、蔓が地面を這うように伸びている。そこに時々丸い実のような物がなっている。

「ところで、この農作物はなんですか? 」

 マンゴスチーンが農作物を指さして聞いた。サイゾーが振り向いてマンゴスチーンの指さす方を見る。

「メロンじゃよ」

 これが! 六の国の人が言っていた、達人のメロン! 

 ‥まさか、メロンしか作っていなかったとは!

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