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イケメン王子とメロンな親父  作者: 大野 大樹
五章 サイゾーの使命
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6.家族の愛って、‥そんなに万能じゃないんです。

 五の国が大きな船とドラゴンで攻めてきたのは、それからしばらくしてのことだった。

 空には大きなドラゴンが十頭程こちらを睨みつけている。こんなにドラゴンが揃うことはない。そして、海は大小の船で埋め尽くされていた。

 島民は、その異常な状況に震えあがり、しかし小さな島なので隠れるところもない。その住民を避難させたのは、ハナたちサイゾー家の女性だったが、その中にチサの姿はなかった。

 チサは、サイゾーの鎧を持ち出して武装すると、島の警護にあたった。腕を広げながら、魔女の岩屋に避難する者たちを警護した後は、ハナたちを家まで送った。魔女の岩屋は小さくて、サイゾーの家族までは入れないのだ。しかし、サイゾーの家の奥には隠し部屋があり、家族はそこに隠れた。

「みんなはここにいて。私は、外を見てくるわ」

 ハナたちが止める中、チサは外に出た。

 空からドラゴンが次々と降り立っていくのが見えて、足がすくんだが、自分を奮い立たせるように足に力を込めた。

「あんなに沢山のドラゴンをどこから‥」

 チサは、呟いた。

 「一の国を攻撃しない」は、二の国では常識だから、二の国に属していないドラゴンたちなのだろう。

実際、そのドラゴンは五の国が他の国から奪って来たり、他の国に送られるはずのものを不正に横領したものだった。その中には、七の国の王様が発注したドラゴンも含まれていた。一連のドラゴン強奪事件の犯人はやはり、五の国だったのだ。それも、五の国の個人ではなく国がらみの犯罪だったのだ。

 しかしながら、そうして集められたドラゴンは、体も大きくよく鍛えられていたが、所詮は輸送型のドラゴンに過ぎない。その上、飼育係も所詮は「飼育が出来る」だけの者に過ぎず、二の国のドラゴンとでは比べ物にならない陽だった。

 そんなわけだから、産まれも育ちもいわば『ランクが違う』サイゾーのドラゴン一頭に相手に、手も足も出ない様子だった。

「かわいそうにねえ」

 それでも、大魔女曰く『悪い教育』により立ち向かってくるドラゴンを、大魔女は卵(種)に戻しまくり、サイゾーは今までのブランクが嘘のような鬼人のごとくの戦いぶりだ。サイゾーの巨大ドラゴンの速さに追いつける者もいないし、その羽の羽ばたきで、馬も人も次々になぎ倒された。

 マンゴスチーンとココは、いかにも道場出身者らしいお行儀のいい馬上での戦いで、着実に敵を倒していった。サイゾーのドラゴンの邪魔になってはならないとの判断から、マンゴスチーンもドラゴンに乗っての戦いはやめた。

「ネコに」

 チサは、サイゾーの家族を人質にしようと家に近づく敵をネコにしまくった。その力は、次第に増しているようで、はじめは一度に一人の人間しかネコに変わっていなかったのだが、今では半径百メートル以内に近づくものが総てネコに変わっている。チサを中心にネコの輪が出来ているのだ。

 ‥これか。思った以上にえげつないものっていうのは。

 迫りくる敵を倒しながら、ココは胸にいれたお守りを確認した。


 ‥味方にネコにされてはかなわない‥。


 明日は我が身のマンゴスチーンは、しかしながら、敵を倒すのに夢中で、その異常なネコサークルに気付いていない。

 気づいた時には、地上は負傷した兵と、ドラゴンの種とネコだらけになっていた。

「何? このネコ。もしかして、チサ? 」

 荒い息でそう呟くと、マンゴスチーンは周りを見回した。

 ネコになっても兵士たちは、マンゴスチーンたちに向かってくる。ネコ相手に剣で切り付けるのもためらわれ、マンゴスチーンたちはネコを払っては五の国の船に放り込むという作業を続けた。

 ‥なぜ、ネコなんだ。チサよ。爪を立てて反撃してくるネコというのも微妙に厄介だぞ。「片手鍋」とか「たわし」とか邪魔にならない物が他にいくらでもあっただろう。

 サイゾーはネコをつまんで五の国の船に放り込みながら思った。

「ネコなら可愛いから、家族に飼ってもらえるでしょう」

 その訳をチサに聞くと、こんな答えが返って来た。

「それに、‥そんなに人様の迷惑にもならないわ」

 と。

 ‥戻す気、ないんだ。

 一同はぞーとした。

「わかるかなあ。いや、あのさ。‥家族に。このネコが元々お父さんだとかお兄さんだったって‥」

 ココが恐る恐る聞く。

 マンゴスチーンとサイゾーは興味が無いのか、島中を敵が残っていないか見て回っている様だ。

持っていった麻袋は、猫捕獲用だろう。

 つまり、今ここには、自分しかいない。

 ‥チサを怒らせてはいけない。怒らせては‥。

 そんなココの様子に、チサはきょとんと首を傾げる。

 ‥可愛い。うん。問題なく美人可愛いけど、‥性格‥っていうのかな? には、凄く問題ある‥。

 チサは首を傾げたまま、ちょっと考えるそぶりを見せて、

「大丈夫。家族なら、分かるわ」

 と、にっこり。

 母親がネコになっていた時自分も分からなかったくせに、無責任なことを言う。


 ‥つまり、家族の愛に期待は出来ないって話。

 まあ、‥家族の愛ってそんなに万能じゃないんです。


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