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イケメン王子とメロンな親父  作者: 大野 大樹
五章 サイゾーの使命
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3.ドラゴンマスター

「わしのこれからの使命は、マンゴスチーンを一人前のドラゴンマスターにすることじゃ。わしの後継者として」

 サイゾーの真剣な言葉を、マンゴスチーンが神妙な顔で聞く。

「ドラゴンマスターにとって剣の修行は大切だ。有事のみならず、有事に対する備えだ。いざという時の為の‥。もちろん、軍事の要として軍事訓練はかかせない。‥ココには悪いが、ドラゴンマスターではないココも戦力と扱わざるを得ない」

 マンゴスチーンの心臓がまた一つ大きくドクンと打った。

 いざという時。世界の秩序を守るべく時‥大魔女が望んでいない事態は、しかしながら確実に訪れようとしている。

「‥その必要性があるということですね」

 マンゴスチーンが息を呑んだ。

 大魔女から、世界の秩序の乱れについて聞いたのは、つい最近だ。

 だけど、サイゾーは近い将来起こるであろう危機として、「有事の可能性」を危惧している。そのことに、マンゴスチーンは驚きと、僅かばかりの恐れを感じた。


 ドラゴンを集めている者がいる。


 マンゴスチーンには言っていないが、サイゾーにはそれがずっと胸のどこかに引っかかっている。それは、もう‥何か嫌な予感、で済まないレベルのことだ。



 盗まれたドラゴンのことを、各国が調べても見つからないという。‥否、裏から手をまわして「見つけられないように」している‥、敵はよっぽど力と金があるところなのだろう。力と金を使い探索の手を協力者にとかえる‥。

 隠蔽することによって生じる利が、その協力先にもあるということ。

 ‥その、利とは何か。

 今まで、サイゾーは自分が何とかしなければと思っていたが、今回の後継者騒動は、サイゾーに「自分だけの問題にしておいていい問題でもない」という考えを起こさせた。

 巻き込みたくない。も、マンゴスチーンじゃ、まだ無理。も通用しないレベルの問題。

 巻き込みたくなくても、絶対巻き込まれる。だから、その時に、戦力になる様に力を付けてもらわないといけない。

 大魔女がつくった「ドラゴンの秩序」によって、ここは守られて来たのに過ぎない。ここだけでなく、世界の秩序は、総て絶対的な力のバランスを取ることによって守られてきた。しかし、それは今壊されようとしている。

 ここを守るのは、もう大魔女の庇護ではない。自分たちで自分たちを守るほかない。‥でも、ここには、自分と、マンゴスチーンと‥、彼と共に剣の稽古をしてきて剣の心得のあるココしかいない。



 大きく息をして一呼吸置くと、

「本来ならドラゴンマスターとして連れて来たわけではないココにまでそれを強いるのは、間違いかもしれないが、今はそんなこと言っておれん様な事態なのじゃ‥」

 重々しい口調で続けた。その口調に、サイゾーの覚悟が込められていた。

「そして、七の国‥」

 サイゾーの言葉に、マンゴスチーンが息をのむ。

「マンゴスチーンは、七の国に何かあった時にも、一番に駆けつけなければいけなければならないんだぞ。王の息子として、そしてなによりドラゴンマスターとして。それが師匠としてのわしの務めじゃ」

「はい」

 マンゴスチーンはサイゾーの言葉を噛みしめるように、ゆっくりと頷いた。

 ドラゴンを集めている者は、そりゃ戦争をしようとしているのだろうが、その相手は誰だろう。誰に戦いを挑もうとしているのだろう。サイゾーにもそれは分からない。そして、それの相手が七の国であることも勿論ありえた。

 七の国は、確かに奪取することにより利になる。‥そして、大国とは言い難い。

 資源が豊富で、武器に困らないが、大きさで劣る七の国は、やはり頼りない。

 何処かの大国に狙われたらひとたまりもない。

 今までは、圧倒的な武器のスキルと軍事力の質の高さで五の国にだって敗戦を喫することはなかった。だけど、それは、騎馬での戦いだ。

 ドラゴンマスターは本来、有事の時にしか戦わない。それは、‥対ドラゴンの為だと、大魔女は言っていた。ドラゴンを止められるのは、ドラゴンしかいないから。

 ドラゴンは、人間同士の戦いの道具では、ない。

 それは、‥でもいつからだろうか‥確かに変わりつつあった。

 それが、魔女の望まない者であったとしても、‥もう時代は巻き戻すことはできない。

 自分が見て来たときにも既に、サイゾーはドラゴン上で戦うこともあったように記憶している。

 ドラゴンを攻撃することはない。ドラゴンマスターが仕掛けて来たドラゴン上での戦いに応じられるのは、同じくドラゴン上のドラゴンマスターしかいない。だから‥。

「お前は、‥ここだけじゃなくって七の国のドラゴンマスターにもならないといけない」

 ドラゴンマスターとして‥。マンゴスチーンは身の引き締まる思いがした。

 幼い頃からの夢は今、夢だけではすまなくなっていた。

 深く息を吐き、マンゴスチーンが頷く。

「守ります。一の国。そして七の国を」

 マンゴスチーンは心に強く誓った。


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