表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イケメン王子とメロンな親父  作者: 大野 大樹
三章 サイゾーと七の国
21/35

4.サイゾーの大失態

結局、家具職人家族も巻き込んだ大宴会はその日の夜まで続き、皆はそのままそこで眠ってしまった程だった。

 なので、夜中の内に、サイゾーのドラゴンが密かに一の国を飛び立ったのを、誰も気付きはしなかった。

 行先は、再び七の国。

「一国の王子様を、あんなご挨拶だけで、頂けるとは思っておりません。なので、改めてお願いに上がりました」

 サイゾーは、七の国の王様、マンゴスチーンの父親の前に跪いた。早朝のことで、王様以外誰も起きていなかった。

「サイゾー」

 王様は驚いてサイゾーを見た。サイゾーは跪いたまま顔もあげない。王様は、微笑して

「お前は律儀な男だな。そうだな。では聞きたいことが二・三有るので教えてほしい」

 と、聞いた。

「何なりと」

 跪いたままサイゾーが答える。

「一の国とはどういった国なのだ? 大きな国なのか? 」

「小さな国です。これといった産業もない。でも、独立した国です」

 王様が頷く。

「他国との関係は? そんなに小さな国ならば、攻め込まれたらひとたまりもないのではないか? 今まで、戦が起こったことは? 」

「ありません」

 きっぱりとサイゾーが断言する。

「なんと。軍事が充実しておるのじゃな」

 王様が感心した声で言った。

「いいえ。軍もなければ、王もいません」

 サイゾーが小さく首を振る。

「なんと! 」

「ただ、守る者がいます。国を守る者が。そのおかげで、他の国は一の国を攻められないのです」

 サイゾーが頭を上げて王様を真っ直ぐ見つめる。

「守る者とな。それはサイゾーか? 」

 サイゾーの瞳を真っ直ぐ見つめ返して王様が聞いた。

「いいえ」

 サイゾーはまた、今度はもっと強く断言した。

「では、誰が? 」

「大魔女です。総てのドラゴンを統べる大魔女です」

「大魔女‥」

 王様がごくり、と唾をのんだ。

「‥私の母です」

「そして、いずれはチサが後を継ぎます。私たちドラゴンマスターはその力に守られその力を守っていくのです。私も、いずれはマンゴスチーン様も、そして私の末の娘も」

 王様にもう一度深く礼をすると、人が起きてきた気配を感じたサイゾーはまた音もなく城を後にした。

「大魔女‥」

 王様は口に出してもう一度呟いた。

 ‥大魔女‥

 柱の陰に密かに潜む青年。王が信用して側近くで使っている青年スコッチだった。そして彼は実は、五の国が放った密偵だったのだ。

 ‥五の国の王様にお知らせしなければ。これは、凄い情報だ。七の国どころか、七つの国全部を手に入れられるかもしれないぞ。

 スコッチは、ペットとして飼っている鳩をそっと空に飛ばした。この鳩は、スコッチと五の国の通信手段として使われていたのだ。



 サイゾーだって、王様だって、普段だったら人が潜んでいることに、気付かないわけがない。だのに、その時、二人とも気付かなかった。

 そこまで、気が回らなかった。二人とも、やっぱり少しうっかりして‥浮かれていたのだろう。

 そして、マンゴスチーンだって、普段ならサイゾーが出掛けたことに気付かないはずはなかった。

 あの時の、大失態はサイゾーだけでなく、皆の大失態だったのだ‥。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ