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イケメン王子とメロンな親父  作者: 大野 大樹
二章 マンゴスチーン青年
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3.マンゴスチーンとドラゴン

一章と重複するところが少しあります。

 マンゴスチーンが以前からドラゴンを欲しがっていたことを知っていた一番上の兄が、お土産に、ドラゴンの卵を買ってきたのはそんな時だった。

「本物かどうかわからないけどね」

 と笑う兄に、マンゴスチーンは「ちゃんと世話をする! 」と約束した。

 果たして、卵は無事孵化した。

マンゴスチーンはその赤ちゃんドラゴンに「モルジィア」と名前を付け、毎日の世話をすべてした。

少し大きくなったドラゴンの訓練も彼の仕事だった。

他のドラゴンには世話係が付くものの、一頭にかかりっきりというわけにはいかない。しかし、モルジィアにはマンゴスチーンが一日かかりっきりで世話をする。その結果、モルジィアは国のどのドラゴンより大きく、どのドラゴンより力が強い素晴らしいドラゴンになった。

力強さを手に入れたら、次はより速く飛ぶ訓練だ。マンゴスチーンは、毎日夜も明けぬうちからモルジィアに乗って飛行訓練を続けた。



「あそこに泉がある。ちょうどいい、あそこに降りよう」

 その日はよく晴れた昼下がりだった。

 マンゴスチーンはモルジィアの首をちょっと撫ぜて泉を指さした。モルジィアが頷いて泉のそばに降りる。まるで言葉が通じているかのように、懐いている。

 泉は青く澄んで、周りを囲む木々を映し、水面が木漏れ日で眩しく輝いていた。しかし大分深いのだろう。底までは見えなかった。

「こんなところまで来たのは初めてだ。城が見えないし、海も超えたようだから、別の国に来たのだろう」

「しかも、まだ日が高い」

 マンゴスチーンは空を見上げて、汗をぬぐった。少し汗ばむ。


季節は夏に近づいていた。


彼の傍らではドラゴンが満足そうに泉の水を飲んでいる。その様子を、マンゴスチーンは目を細めながら見つめていた。

「ようやく、隣の国まで来れるようになった。時間も随分速くはなった」

 でも、まだ父王のドラゴンにはかなわない。父王のドラゴンには、専属のそれこそドラゴンの専門家がついて世話をしている。だから、ドラゴンのことだってもちろん詳しい。悔しいが、マンゴスチーンではかなわない。

「私ももっと勉強しないとな」

 苦笑して、弁当に持ってきたパンの包みを開けた。

 と、その時、急にあたりが暗くなった。

「ん? 雲がかかったかな」

 頭をあげたマンゴスチーンは目を疑った。

「な‥なんだあれは‥ドラゴン? 」

 それは、羽音も勇ましく一頭の巨大なドラゴンが頭上を過ぎて行った影だったのだ。

「私はいまだかってあんな速いドラゴンは見たことがない。あんなドラゴンを操れるドラゴンマスターにもあったことがない。まだまだ世界は広い。そんな広い世界を見ずして世界一をめざすだなんて言ってきた自分が恥ずかしい」

 マンゴスチーンは、森を出てドラゴンが降り立った村に急いだ。

 そこにはもう、ドラゴンはいなかった。

「あの‥」

 マンゴスチーンは、村はずれにドラゴンを待たせると、そこで野菜を売っている年寄りに声をかけた。

「さっきのドラゴンに乗っていた御人は、どなたですか? 」

「え? ああ。サイゾーさんね。ここにメロンを売りに来ているメロン売りのおじさんだよ」

 年寄りは、にこやかに言った。

「え! メロン?? 」

 マンゴスチーンは絶句した。



 マンゴスチーンとサイゾーの出会いは、ほんの偶然だったのだった。

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