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イケメン王子とメロンな親父  作者: 大野 大樹
二章 マンゴスチーン青年
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2.マンゴスチーンの夢

マンゴスチーンの金色の髪は母親譲りで、淡い青色の瞳は、父親似だった。

父親の意志の強い瞳とは違い、マンゴスチーンの淡い青色の瞳は、まるで青空を映した湖面のように静かだった。

そして優しい面立ちは、母によく似ており、彼の二人の年の離れた兄は、熊王の異名をもつ厳しい容姿の父親に似ていた。

七の国で、穏やかで優しい微笑みの『夢の王子様』の容姿を持ち人気のある彼は、しかし、外交で国外に出ることは全くなく、国外では「剣の腕がたつらしい」「ドラゴンを飼いならしているらしい」という噂ばかりが独り歩きし、「戦好きの王子」という認識されていた。父親の顔もその噂を助長したのも、確かだ。

熊王の隠し刀の王子。熊王と同じく鋭い眼差しを持つ、戦の申し子。

血の気が多いと噂の王子は、好条件の物件に関わらず、彼を外交の駒にしずらいものにしていた。

すなわち、彼との婚姻によって、他国に戦を企んでいると懸念される恐れがある。

否、必ず彼の戦好きのあの王子は、他国に戦を吹っ掛ける。


表面上は、平和に。は、七つの国の(主に、二の国や五の国)暗黙の約束だった。



世界は、七つの国でできていた。それら七つは、すべて海で分かれており、一つとして陸続きでは無かった。

七つしかないとはいえ、その一つ一つは大きい。マンゴスチーンはその七つの国すべてを見たことはなかった。否、彼の父である王でさえ、七つの国全てを見たことはなかっただろう。

 マンゴスチーンの父である王が昔、

「この国の隣国である「第六の国」は自然が豊かで、人々も穏やかな国だ。ただ、我が国同様、商工業が盛んではない。商工業が盛んな「第五の国」は、人々の性格も荒く、自国の財力を鼻にかけて他の国に高圧的だ。だから争いが絶えない」

 と、近隣の国々について語っていたことがある。当時まだ、自分の国から出たことがなかったマンゴスチーンたちにとって、父王の話す話が七つの国のことを知る唯一の手段だった。

 実際、マンゴスチーンの国と第五の国は何度も戦争をしている。マンゴスチーンの国は確かに商工業は盛んではないが、資源が豊富だ。第五の国にしたらその資源が欲しい。だから戦争になるのだが、鉄鉱石等を有する第七の国は、武器に利用する材料に不自由していない分有利なのだ。

「その隣の国は? あるんでしょう? この世界は七つの国でできているんですから」

 第二王子が聞いた。彼は、学問が好きで普段は本ばかり読んでいた。

「そうさな。この父のドラゴンをしても、五の国に行こうと思ったら、まる一日かかる。その先には、今まで行ったことはない」

「父様のドラゴンでも? 」

 第一王子が驚いた声を出した。

「ふうん」

 マンゴスチーンはそんな会話をぼーと聞きながら、空を見上げた。


私ならできる。

私がドラゴンを操れば、五の国どころかその先の国まで一日でいけるようになれる。世界を股にかけるドラゴンマスターに私はきっとなる。


マンゴスチーンがドラゴンを養育することを今までのように憧れの延長の漠然とした思いではなく、現実のものとして考え始めた瞬間だった。



そもそも、ドラゴンに対してマンゴスチーンが想いを漠然と抱かせるきっかけになったのは、多分あの時だった。

ある日父王が、王子をそれぞれ一人ずつ連れて、ドラゴンで国中を回って見せたことがあった。

一番上の王子は、恐怖で青い顔をしながらも、

「我が国を空の上から見られて、大変うれしかったです。あのように美しい国をこれからも守っていかなければという思いを新たにいたしました」

 と言い、二番目の王子は

「大きな川がありましたね。大雨が降ると氾濫する恐れがある箇所が見られました。早速大臣とその件について話し合わなければ」

 と言い、王を大いに満足させた。

まだ幼かったマンゴスチーンは、「まだ危ないよ」と周囲の者に反対されたが、

「どうしても行きたい」

といって聞かなかった。王は苦笑しながら

「では、ちょっとだけだよ」

 と、マンゴスチーンをしっかりと抱えて大空に飛び立った。

「わあ! 」

 空のひんやりとした空気、目下を流れていく綿雲。小さく見える家々の屋根。それは今まで見たことがなく、そして感じたことがない世界だった。

「僕も父様みたいにドラゴンに乗れるようになりたい! 」

 目を輝かせるマンゴスチーンに父王は嬉しそうに

「そうか、マンゴスチーンは戦に行くか。では、もっと強くならなければならないぞ。一番目の兄さんと一緒に剣術の練習に励むんだぞ。‥二番目の兄さんは学問はできるが、剣術の方はもう一つだ。だけど、それぞれ向いているものを用いて国を豊かにしていけばいいんだ」

 とマンゴスチーンの頭を撫ぜた。

 父王にとってのドラゴンは、戦に行くための手段だった。父親の顔を膝から見上げながらマンゴスチーンは心の中で別のことを思ったことを、こっそりの隠した。

 ‥ドラゴンに乗りたい。でもそれは移動手段としてだけじゃない。やっぱり、私がなりたいのは、ドラゴンマスターだ。


 その漠然とした思いは、以後ずっと彼の頭の片隅にあった。

 そして、ココもそんな彼の夢に触発された一人だった。

「一緒にドラゴンマスターになろうな! 」

 と、夢を語り合い、剣の稽古に励んだ。


 ドラゴンマスターは、マンゴスチーンとココだけではない、男の子みんなの憧れの職業だったのだ。

 そして、中でも人気があった、ドラゴンマスターが『サイゾー』だった。


 だけど、平民の子供たちは、そんな夢ばかり見てられない。ドラゴンマスター志望者は一人減り、二人減り、とうとうココとマンゴスチーンだけになっていた。

 否、

 多少は裕福であろうと、平民であるのは、ココだって変わらない。ココも、マンゴスチーンには言わなかったが、もう、現実を見ているのかもしれなかった。

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