1.マンゴスチーンの幼馴染
昔から、マンゴスチーンは『惚れやすい』傾向はあった。
初恋は、幼馴染のマカデミアだった。
七の国で暮らした幼少時代。ココとマンゴスチーン、マカデミアの三人は幼馴染で、いつも一緒に遊んでいた。
三人の中で、マカデミアだけが女の子で、幼いころは女の子だとすら認識しなかった。
だけど、大きくなるにつれて、マカデミアの存在は、ココとマンゴスチーンの中で女の子に変わっていったということは、珍しいことではない。
気にはなるけれど、だけど素直になれなくって
「女となんか遊んでられるか! 」
‥言ったかもしれない。
実際、剣の稽古に夢中になったココとマンゴスチーンは、次第にマカデミアと遊ぶことはなくなった。
負けず嫌いなマンゴスチーンは、ココに負けたくなんかなかったし、それは、ココだって同じだった。
ココはマンゴスチーンが王子様だって知っていたけれど、それで手加減をしたりする性格ではなかったし、だからこそ、マンゴスチーンはココを生涯の友で、よきライバルだと認めていた。
だけど、マカデミアが幼馴染で、女の子で、自分たちとは違って、守るべき存在っていうことは、彼らの中で変わらなかった。
「マカデミアを守るからね」
ココとマンゴスチーンが言ったけど、マカデミアは冷めた目をして
「自分のことくらい、自分で守る」
と言った。
マカデミアは、恋愛感情に淡泊で、強気な女の子だった。
だけど、大きな若草色の瞳、刈り入れ前の麦の穂の様な、金色の髪のマカデミアは、美しい娘に成長した。
そうなると、村の若者もマカデミアをほっておかなかった。
そんなライバルから守る‥ライバルを邪魔するべく、マンゴスチーンとココはマカデミアの傍にいることが多くなった。
だけど、マンゴスチーンは王子様だ。子供の頃こそ気ままな三男坊、とばかりに遊び歩いていたマンゴスチーンであったが、十を過ぎるころになると、剣の稽古、兵法、帝王学と王子としての勉強を実に真面目にするようになった。
結果、ココたちの住む村に出て行って遊ぶことも、減った。
それは仕方がなかったことだったが、だからといって、彼が幼馴染たちをなおざりにしていたわけではない。
ココとは、一緒の道場で剣の稽古をした。
ドラゴンが七の国に来たと聞いたら、三人で見に行った。
そのときから、ココとマンゴスチーンはドラゴンに夢中だった。
将来ドラゴンマスターになろうな、と誓い合った。
だけど、その願いを実現できる可能性があるのは、王子であるマンゴスチーンだけだった。
‥子供の頃はそんなこと考えたことはなかった。
お金がある、無い。環境や立場の違い。
少なくとも、マカデミアはココとマンゴスチーンを区別しなかった。
そして、マカデミアが選んだのが、マンゴスチーンではなく、ココだったということも、別に不思議なことでもなかった。
私事にかまけて、マカデミアのことをなおざりにしてた。
マカデミアと向き合ってこれなかった。
マンゴスチーンは、それを認めていた。
そして、それからも相変わらず、ココとマカデミアはマンゴスチーンの大切な幼馴染だった。
一生それは変わらないと思っている。




