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ノーマン  作者: シャーパー
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誰かが汚した家でスキップしよう

直感を信じて突き進む。


扉を抜けた先に、首から上が無くなってしまった馬鹿そうな死体が転がっていた。


さて、首から上はどこに行ってしまったのだろうか。


まあ、これが賢かったのなら問題だが、馬鹿の死体なんで別に構わない。


死体を避けるなんて労は惜しみ、踏み付けて先に進む。


そうすると、上方から声が聞こえた。


「凄いね、貴方。死んでしまったら、友達でも踏み付けて歩けるんだ?」


視線を上に向ける。


長くない金髪、少し濃い紫色の瞳、胸が大きい、そして、馬鹿だ。


「僕は友達を踏んだりしない」


「へぇ、それじゃ、そこの人が貴方を友達だって言ってたのは、独りよがりだったってわけ?」


そこの人とはどこの人だろうか、ここには人なんていなくて、僕以外には馬鹿な死体しかない。


「ラザファム、やっぱり、貴方ってかなりの変わり者だよね?」


僕の名前を知っているのに、僕は彼女の名前を知らない。


つまり、結論は馬鹿で間違いない。


「馬鹿は、…いや、阿呆は高い所が好き、だったか?」


「貴方みたいなのがまともだって言うなら、私は馬鹿でいたい」


馬鹿は馬鹿であり続ける事を望むのか、成長を望めない時点で馬鹿なのだが、馬鹿だから仕方がないという側面は否定しきれない。


「大丈夫だ、安心しろ。君が馬鹿なのは、もう、一生の問題だ」


「ねぇ、ラザファム、モニカがどこにさらわれたのか、知りたいんじゃないの?」


そうだった、モニカを見付けなければならないのだ。


こんな場所で、こんな馬鹿を相手にしている場合ではなかった。


踵を返しかけた時、彼女が階段を下ってくる足音に、少しだけ興味が湧いた。


何だろうか、足音だけじゃない、不思議な音だ。


あそこが鳴っているのだろうか、そう思った僕は大きな胸を凝視する。


階段を下りるたびに揺れているのは、そこだけだったから。


「ラザファムみたいな変わり者でも、これには興味があるの?」


馬鹿が生きるには、この世界は残酷だ。


10代中盤に見える彼女は、馬鹿であるが故に唯一の武器である大きな胸を使って、頑張って馬鹿の相手をしてきたのだろう、馬鹿は大変だ。


「ねぇ、触ってみたい?」


階段を下りて僕の前に立った彼女は、その大きな胸を見せつけるようにした。


「お断りだ。僕は馬鹿じゃないから、阿呆みたいに手を伸ばしたりしない」


「へぇ、慎重なんだね。惜しかったね、今なら人生最後の感触が最高の状態で死ねたのに」


そう言って艶美な笑みを浮かべたつもりが、呆けた間抜け面の彼女は血で汚れた剣を頭上高くに掲げ上げた。


そうか、さっきの音はこれを引き摺っていた音だったのか。


なるほど、そうか。


大きな胸が揺れる音だと思ったのは、僕の認識不足だった。


「死ね、ラザファム」


大上段から振り下ろしの一閃。


もしも、これがロルフの行った事だったならば、僕は見事に真っ二つになってしまっていただろう。


でも、勿論、ロルフは賢いからそんな馬鹿げた事をしないし、彼女はロルフではないのだから少し身体を傾けるだけで簡単に避けられる。


「へぇ、今のを避けるんだ…。ロルフがいないと何も出来ないって話は、どうやら間違いだったみたいだね」


何でこいつは今、ロルフを侮辱したのだろうか。


喋られる口があるからか、それなら黙らせなくては。


「私の名前はマルグリット、次からは本気で殺すから」


名前なんて聞いてないし、馬鹿は馬鹿で統一されているから名前なんて必要ない。


僕を殺すつもりなら、最初から本気で殺すべきだった。


無論、馬鹿には僕を殺せないし、馬鹿だから僕は殺せないけど。


あっ、忘れてた、黙らせるんだ、こいつを。


本気とやらになっても未だ振り下ろしたままの剣を握る両手に、僕は右手を無造作に伸ばす。


握手なんてするつもりはないけど、要領としては同じだ。


剣を握った両手を右手で掴み、指の骨か手の骨か手首の骨か、もしくはその全てを一気に折り砕く。


血が飛び散って剣が汚れるが、刃は元々、血で汚れていたのだから、柄が汚れるのはお似合いだった。


骨と肉片と血で、剣はどうにも握りにくい。


いつの間にか気付いた時には、馬鹿が叫び声を上げながら蹲っていた。


黙らせようと思ったのに、煩くなってしまった。


馬鹿を相手にしていると、どうにも上手くいかなくなってしまう事が多い。


ふと、自分の右手を見ると、何か汚らしい剣を持っていたので投げ捨てる。


一向に収まる気配のない叫び声が耳障りだったので、僕は口に足を突っ込んで静かにさせてやろうと思った。


だが、しかし、狙いが外れて、頭部が吹っ飛んでしまう。


「まあ、静かにはなったか」


その時、ようやく思い出した。


モニカを探さなければならないのだった。


もしかしたら、もう、ロルフが見付けてしまっているかもしれない。


そうだとしたら、モニカを見つけたらロルフもそこにいるだろうから、3人で食事にでも行こう。


ロルフとモニカは賢いから、3人で話す時間はとても心地良い。


気分が良くなってスキップしようとしたら、血で足が滑って転びかけた。


こんなに散らかした奴は誰だろうか、反省して欲しいものだ…。

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