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CRY OF SOUL   作者: ほわぱち
6/13

6、ESCAPE

2053年 7月15日 10:00 獄内

ドレイス・スター軍曹



エルと会ってから10日程過ぎただろうか。エルは無口であまり話さなかった。しかし、今日は何だか外が騒がしい。連れてこられた人が暴れて騒がしくなることはあったが、それとは違った感じだ。


「一体なんなんでしょうね」


そうエルに話しかけたとき、


ドゴォン!


いきなり横の壁が爆発した。


「室内クリア」


そんな言葉が煙の中から発せられた。


そこから現れたのはこの城にいる兵士だった。


「お前たちを移動させる。早く立て」


私とエルは銃を突き付けられ、言われるままに移動した。


「なにかあったのか」


「お前たちに話す必要はない」


何か少しでも情報を掴めないかと試しに聞いてみたが、そううまくはいかない。しかし、銃声が聞こえるということは彼らにとっての敵が来ているということだろう。それと、私たちだけ移動させるということは私を助けに来てくれたのだろうか。よくこの場所にいると分かったな。でも、エルも移動させてくれてるのは好都合だな。そのまま、一緒に助け出してもらおう。


フレイア・バル兵長



「おい、誰もいないぞオペレーター」


「そんなはず......こちらではそこの場所にいることになっていますが......」


爆破した壁の先には誰もいなかった。


「しかし、実際は誰もいないぞ」


「恐らくスキャナかにバグを仕込まれたかと。でも、いつのまに」


「それはとりあえず後だ。とりあえずこちらで捜索を続ける」


少尉はそう言っているがあてがないのにどうやって探すというのだろうか。


「バーヘイムはカフカスにとってかなりの重要人物のはずだ。とりあえず、一番厳重そうなところを探そう」


「と言ったら、地下とか怪しいんじゃないか」


ライズマン曹長の提案で地下を目指すこととなった。しかし、敵がすんなり通してくれるわけもなく、俺達は戦闘しながら進んだ。敵の反撃は下に行けば行くほど激しくなっていった。やはり、地下が怪しい。


「もう少しだ」


奥に鉄の扉が見えたとき少尉が叫んだ。曲がり角に隠れながら遮蔽物の少ない鉄の扉前の敵の頭を確実に撃ち抜いていく。


「クリア!」


「扉の鍵を探せ!」


後ろから来る敵に俺と少尉で耐えている間に曹長が敵の兵士の死体を漁る。


「あったぞ!」


曹長は急いで鍵を開けた。中に入るとそこには二人の男女がいた。


ドレイス・スター軍曹



「少尉?」


いきなり扉が開いたと思ったら見知った顔が現れた。


「軍曹?どうしてここに?」


あれ?私の救出じゃなかったのだろうか。

とりあえず扉を閉める。

少尉の後ろで二人の兵士がエルに銃を向けている。


「お前が傭兵集団のリーダーのバーヘイムだな?」


傭兵集団?バーヘイム?一体何の話だ。会話に着いていけない私を置いてエルは言った。


「そうです。僕が傭兵集団リーダーのエル・バーヘイムです」


まさか、エルが傭兵集団リーダーだったなんて。


「エル?エルがいたんですか?」


無線機から聞こえて来るほどマコが大声で喜んだ。その時、


ドゴォン!


今日何回目かの轟音が鳴り響いた。


「また空の奴らか!」


「いいえ、あれは恐らくB国の戦闘機です。今航空部隊が交戦中」


マコはすぐ気持ちを切り替えて言った。

すぐさま少尉に無線機と銃を渡され、


「脱出するぞ!奴らこの建物を破壊する気だ。」


この城は見るからに老朽化している。そう何回も爆撃に耐えれないだろう。私は皆と脱出するために扉を開け、さっきの爆撃で動けなくなっている敵兵の中を走り始めた。


当初の脱出地点はすでに瓦礫に埋まっていた。


「違う場所を探せ!」


どんどん道が瓦礫で塞がれていく。仕方なく梯子で上に行くこととなった。


「航空部隊が敵の航空機撃破。」


突然マコからそう通信がはいった。


「聞いたな。今ならヘリを使える。敵の増援が来る前に脱出するぞ!」


そう少尉が叫んでいる上で降ってきた瓦礫が先頭にいた兵士を襲った。


「ぐっ」


その手を何とか掴み梯子を掴ませる。


「すいません。助かりました。」


確か彼の名前はバルといったはずだ。バルに大きく頷き返し、急いで梯子を上り始める。

上りきったらすぐに走る。今回は瓦礫に道を塞がれずにすんだ。

走り続けていくとやっと外のバルコニーのようになっているところに出た。


「早く来い!」


バルコニーには回収ヘリがついており、そこから中の兵士がこちらに手を伸ばしていた。みんなが続々と乗り込み最後に私が乗り込もうとしたときだった。また、あのときのようにどこからかRPGが飛んできてヘリがそれを避けたために私は足を踏み外し、体は落下を始める。

このままじゃまたあのときみたいに......


その時両手を強く捕まれた。

上を見上げると少尉とバルが私の手を掴んでいた。


「もう、置いていきはしないさ」


「これで梯子のときのはチャラですよ」


そして、私は二人に持ち上げられ落下をまぬがれた。


「あ、ありがとうございます」


二人は笑顔で返してくれた。


2053年7月16日 11:00 A国 非正規部隊メタルフォース アルテス支部

ブリーフィング



「エル・バーヘイム。脱出して早々だが我々に協力してもらう。拒否権は認めないぞ」


「じゃあ、脱出させてくれた分の恩は返すよ。それで、俺は何をすればいい?」


「君たちにはカフカスの方を手伝ってもらうつもりだったが、事情が変わった。B国の軍隊が我々の軍隊の通信基地に向けて侵攻を開始した。その基地の防衛に君たちも我々の出す部隊と共に向かって欲しい」


「分かった」


「あと、悪いがこちらから武器や資金は出せない。武器商人を手配するのでそちらで必要な分調達してほしい」


「構いませんよ。それが俺達のいつも通りだし」


「ありがとう。それでは頼む。それとリーに大統領救出作戦について話があるから後で来てくれと伝えておいてくれないか」


「分かった。伝えておこう」


2053年 7月17日 09:00 通信基地

ジャック・ライガン上等兵


まさかB国と戦争することになるとは......

これでB国に仲の良い兵士でもいたら少しはドラマになるだろうが、俺はそんな顔が広いわけでもないし......


「もうすぐ敵が来ると偵察部隊から連絡があった。ジャック準備しろよ」


ラバン兵長がマガジンに弾を込める手が止まっていた俺に言った。


「兵長はB国に親友とかいますか?」


「いや、いないが」


「そーですか。なんか、寂しいですね」


「戦い前に珍しく静かだと思ったら、なに意味わからんこと言ってるんだ。早く準備終わらせろ」


兵長は少し怒って行ってしまった。それから程無くして準備を終えて皆が集まっているところに向かう。


「敵の狙いはこの基地を制圧することによって、A国へ侵攻する最前線にすることだと予想される。今回は傭兵たちの力も借り、必ずここを守るぞ!」


兵長が大声で叫んでいるのが聞こえる。

他の兵士たちを見ると皆、傭兵の力を借りることに不満があるようだ。俺はあまり気にしていないが、あまり統率がとれているとは言えない状態で大丈夫なのかと俺は大きく溜め息をつき決められた持ち場へと急いだ。

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