表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CRY OF SOUL   作者: ほわぱち
5/13

5、囚人 バーヘイム

2053年 7月10日 08:00 A国 メタルフォース アルテス支部

ブリーフィング

「やられたな、B国の基地を襲い我が国の兵士の死体を置くとはな」


「B国からしたらA国が基地を襲ったようにしか見えない。やはり、カフカスの仕業ですかね」


「おそらくな、我々の兵力を分割させるのが狙いだろう。本部にも応援を要請して何とかなるかどうかというところだ。少尉には一端大統領救出作戦の情報収集を他の者に任せ、やってもらいたいことがある」


「なんでしょうか」


「ラックに拷問をしたときテトラの居場所以外にもうひとつ情報をしゃべったそうだ。そこで、少尉にはバリーナ城に向かって欲しい。カフカスはそこに捕らえたりした者を閉じ込めているそうだ。元々バリーナ城は牢獄のような使われ方をしていたからそれをそのまま使ったんだろう」


「なぜ、そんなところに?」


「そこには奴が恐れている男が居るそうだ。そいつは傭兵集団のリーダーでそいつらは死を恐れないことで知られている。我々のような者たちと協力する前に自分の手の届くところに置いておきたかったのだろう」


「死が怖くないやつほど怖いやつはいないってことですか。それじゃあ、なんでそんな奴をカフカスは生かしているんでしょうか?」


「死を恐れない傭兵集団と言えど軍での訓練などは受けていない。戦闘力はあるが統率などに関しては素人だ。自分を導いてくれるやつが居なくなるのは不安だろ。だか、リーダーを殺すと復讐として襲ってくる可能性がある。それじゃあ、生かしたままにして抑止力としようといったところだろう」


「なるほど。だからそいつを解き放てば、リーダーを捕まえていたカフカスを殺すのにその傭兵集団の協力を得ることができるということですか」


「ああ、それにそいつらを奴にぶつけている間は兵士に余裕ができる。その兵士をB国の軍にぶつけたり大統領救出作戦にいれることができるだろ」


「了解しました。ところでその男の外見などは?」


「黒髪にほっそりとした外見で歳は若い。名前はバーヘイムというそうだ。写真を渡そう。ラックの捕縛に出ていたバル兵長とライズマン曹長には連戦になってしまううえ、それほどの男を収容している場所だ。きっと防御も硬いだろうから航空部隊に応援を要請しておく。頼んだぞ」


「了解しました。」


2053年7月5日 15:00 移動中車両内

ドレイス・スター軍曹



頭がぼーっとする。少尉の苦い顔を思いだして自分が敵に捕まったのだろうと理解する。

ここは車両の中だろうか。一体どこに連れていくというんだ。目隠しをされ手は縛られ口には布を巻かれていて叫ぶこともできない。


しばらく、車両に揺られて20分程経っただろうか。車両が停止した。目的地に着いたようだ。私は車両から下ろされて、背中に銃を突きつけられながら歩くように言われた。


何か建物の中に入ると目隠しと口の布を外された。暗闇からいきなり抜けたので眩しかったが、目が馴れてくると自分は中から見た感じでは城のような場所にいることが分かった。そのまま階段を下り地下牢獄のようなところに下りてきた。そこには他に何人か人がいた。その横を抜け、奥の部屋の中に突飛ばされた。私を連れて来た兵士たちはドアを閉め鍵をかけた。どうやら、当分はここが生活の場所になりそうだ。

部屋には一人男がいた。こちらにはあまり興味がなさそうだが、一応話しかけてみた。


「私はドレイス・スターと申します。あなたは?」


「エルです」


男は小さな声で答えた。

エル?どこかで......


「もしかしてマコさんが言ってたエルさん?」


「マコを知っているのですか?彼女はどうなりました?」


マコの名前を出した途端急に声が大きくなった。


「私は軍の人間なんですけど、私たちの軍が責任を持って保護しています」


「そうかそれは良かった。あの基地に少し用事で呼び出されていたときに、彼女が兵士に連れていかれそうになっているのを見てつい庇って替わりに捕まってしまったんです。」


彼女はそのあと捕まっているのだが、結果無事ならわざわざ言うこともないだろう。


「今思えば僕が呼ばれたのはこんな風に捕まえるためだったのかもしれません」


「なにか、捕まる心当たりでも?」


「まあ、いろいろと」


彼は苦笑いしながら答えた。

彼も捕まってからここに運ばれてきたらしい。


「あなた軍の人なら助けにきてもらえるんじゃないですか?」


「だといいのですが」


私は苦笑いをした。切り捨てられる覚悟はしているが、やはり助からなくてもいいと言えば嘘になる。


「少尉......」


2053年 7月15日 09:00 バリーナ城付近上空

フレイア・バル兵長



「帰ってきたばかりなのにすぐ駆り出されるとはな。中将も人使いが荒い。」


俺は横に座る老兵。俺の上司のライズマン兵長に話しかけた。


「仕方ないだろ、バル。前回も今回も重要な作戦なんだから」


「確かにそうですが、曹長」


俺が帰ってきたばかりですぐにヘリに乗せられたことにぶつぶつ言っていると、次はライズマン曹長から話し掛けてきた。


「それよりもバル。最近レスト中将が基地からいなくなること多くないか?報告とかで行ってもいなかったら困るんだよな」


「さあ、わかんないですけど中将もいろいろと俺達の知らないところで忙しいんじゃないんですか」


そんな会話をしていると、少尉から連絡が入る。城に着いたようだ。


「城の砦に敵複数。爆撃します」


航空部隊からそう通信が入った。


「ま、待て。どこにバーヘイムが居るか分からない内に城への爆撃は......」


ドゴォン!


「やつら撃ちやがった!」


「くそっ、好き放題しやがって」


少尉と曹長が怒鳴っている。

爆撃の煙を抜けると先行部隊が確保した広場が見えた。ヘリはそこに着陸した。


「いくぞ!」


少尉に着いていきながらまだ周りに残っている敵を掃討する。


「二階にRPG!」


その声にはっと上を見るとRPGの弾頭が迫っていた。


「あぶない!」


硬直してしいた俺を曹長が突き飛ばさした。それで正気に戻りダイブで逃げる。

爆風で少し吹き飛ばされたが戦闘に影響のある怪我は無かった。曹長も無事なようだ。


「ここは戦場だ!ぼけっとするな!」


いつもは温厚だが、今は鬼のような顔をしている曹長に怒鳴られ気合いを入れ直す。

ここは戦場だ。常に隣には死が口を開け待っている。


「先に進むぞ!」


RPG兵は航空部隊の機銃掃射で全滅した。

進んだ先には城の入口があった。


「ドアを開ける。カバー!」


ドアを開けると敵の兵士が臨戦態勢を取っていた。


「隠れろ!」


少尉の指示でドアに身を隠すが逃げ遅れた兵士が目の前で蜂の巣にされる。

少尉がそれを見て何かを思い出すように苦い顔をし、中に催涙グレネードを投げ込みドアを閉める。それを見て俺達は慌ててガスマスクを付ける。少尉が指で3カウントし、ゴーのサインで突撃する。そこまで大きな部屋では無かったので催涙効果でほとんどの兵士が咳き込み苦しんでいる。立ち上がろうとしている兵士から優先して無力化していく。


「玄関ホールクリア!」


増援が来る前に早く進まなければ。中将の言っていた通り中の防御は先に行けば行くほど固く、なかなか突破できない。ライオットシールドも持ち出して来た敵に四苦八苦していると、


ドガァン


敵のいたところに天井を突き破って爆発が起きた。

航空部隊の奴らが俺達が中にいるのに爆撃を行ったのだ。


「オペレーター!空の奴らにもう少し我慢できないのかと伝えろ!今のは少しずれていたら俺達が全滅していたぞ!」


少尉が無線機に向かって怒鳴った。そういえば、少尉が連れ帰ってきたマコとかいう女性が、基地にいてなにもしないというわけにもいかないからと元オペレーターということで今回の作戦に自ら名乗りを挙げていたはずだが。はじめてのメンバーでの作戦でいきなり怒鳴られるのはなかなか可哀想だなと思った。

しかし、爆撃のおかげで敵は一掃されていた。焦げた石の床の上を一応頭上も注意しながら進んだ。


爆撃された部屋の先には階段があり、その先は倉庫のようになっていた。死角が多く注意しながら進むと案の定敵がひそんでいた。


「まったく、休む暇も無いな」


俺はそんな文句を言いながら今遮蔽物から出ようとした敵の頭を吹き飛ばす。後ろから敵の声が聞こえてきた。援軍が到着したみたいだ。急いで逃げるように行くと、その先には固定機関銃が2台待ち構えていた。先に行った。兵士たちはそれに撃ち抜かれ倒れていく。


「横の道に入れ!」


少尉が指示して生き残っている兵士は横道に入った。走ってその通路を行く間も後ろから追ってくる敵の銃撃で仲間が倒れていく。やっと、ドアを見つけ中に入り鉄のドアを閉め鍵を閉める。ドアの先はまた通路になっていた。敵の気配はない。この時点で俺と少尉と曹長しか生き残っていない。


「こちらオペレーターのマコです。先行部隊が城の周りに設置した赤外線装置によりバーヘイムの位置が判明しました。その丁度隣です」


「了解した。バルここにC4爆弾を仕掛けろ」


隣と聞いてすぐ壁を爆破するという考えになるのはさすが少尉と感じる。俺は黙って爆弾を仕掛け皆が離れたことを確認しスイッチを押した。

投稿の間隔がだいぶ開くと思われます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ