表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者募集中!  作者: ギコウ
序章
7/41

006 ステータス

 今日はバーツ達3人はギルドの依頼で出かけ、俺一人町の外に出ることにした。

 町の外に出るとき門兵に何か言われるかなと思ったが何も声をかけられず、すんなりと外に出ることが出来た。

 もちろん朝はグリーンウッド亭の手伝いを行い朝食を頂いてからだ。


 農夫たちとすれ違い昨日の場所周辺へと向かう。

 チラホラと農作業中の人々を見かけるが奴隷農奴なのか普通の農民なのか違いが解らない。

 初めて奴隷と聞いたとき陰惨なイメージを思い浮かべたが奴隷にもいろいろ有るらしい。

 俺が居た世界とここの世界とでは世界背景も時代的にもまったく違うのでとやかく言う資格は俺には無いだろう。俺はこの世界では新参者だしね。


 しばらく歩き、目的の場所に着いた、昨日バーツ達と狩りをした周辺だ。

 今日は一人だしあまり無茶なことは出来ないが、グランドクローラーの1匹や2匹を確認の為の犠牲になってもらおうと思っている。

 本当はバーツ達に一人で狩りをすることは止められているのでばれるとかなり怒られると思うのだがどうしても確かめたい事がある。

 あの頭に響く音だ、俺以外には聞こえないあの音、バーツ達に聞いてもそんな音は聞かなかったと言っていたし。

 それならあの音は何なのか? 直接頭の中に響いているような感覚だが、俺の頭がおかしいのか?

 いや、俺はまともだ錯乱してないし変な薬もやっていない。まぁこの世界に普通に順応しているからおかしいと言えばおかしいが、生きるために対応しているんだから別段おかしくはないだろう。

 そうじゃなければ今頃、俺は生きていないだろうから。


 とっ そうじゃないな、今はあの音の原因を確かめるときだ。

 別に気にしなければいいだけとも思えるが、俺だけ頭の中に音が響くなんて不気味でしょうがない。

 音を聞いたのは2回、いや3回だなあのブタの怪物に襲われている時にも確か音が鳴ったはずだ。


 音が鳴った状況としてはすべて戦闘中ってことぐらいか。

 でも、最初の戦闘のあと以外では剣で攻撃しようが弓で攻撃しようが音はしなかった。


 う~ん わからねぇ~ こうイライラするわ~。

 うんうん唸るがどう考えても手詰まりで何も浮かばない。何かあると思うんだが・・・


 ダメだわかんね~ とりあえず1匹狩ってみるか。うん そうしよう何かわかるかもしれないし。

 辺りを見回し芋虫グランドクローラーを探し始める。

 周囲を警戒してしばらく移動中の芋虫を発見、距離は約50メートルぐらい。


 もう少し近づいてからの方がいいかな。弓と矢を準備しながら足音を忍ばせながら近づく。

 まあこれだけ離れていればあいつに気づかれることは無いと思うが念のためだ。


 40メートルほどに距離が縮まったところで俺は狙うことにした。

 あんまり近いと怖いしね。


 弓を引き絞り狙いを定める、キリキリと弦が悲鳴を上げる。

 ヒュッ まず一矢、急所を狙ったが僅かにそれた、やっぱり音はしない、すぐに二の矢をのせ矢を放つ!

 ちっ またも急所を外した、こうなれば動かなくなるまで矢を放つまで、3の矢、4の矢、5の矢 あっ 外れた! 6の矢を命中させるとやっと動かなくなった。

 う~ん まだまだ全然修行が足りないな。リルリーラ先生ほどとは言わないがせめて3本ぐらいには止めを刺したいな。

 さて問題は音だ、やはり頭の中に音が鳴らなかった。どういう事なのか武器を使って攻撃をすると鳴るのかと思うと鳴らない、まぁいちいち攻撃する毎に音が鳴っていたら煩くてたまらないが、わけが分からない。

 とりあえず横たわる芋虫の所へと足を向ける、芋虫はピクリとも動かない完全に死んでいるのだろう、だが不用意に近づくのは危険だ。

 念のため地面に落ちている小石を拾い投げつけてみようとかがんだとき、視界の端に黒い物が飛び出してきた!

「なん!?」 咄嗟に避けようと飛びのいたが右腕に痛みが奔る。


 そこには、槍を突き出した子供? いや人間の子供のように見えたが違う、子供のような体型だが首から上は犬の頭が乗っかっていた。

 ゴブリン、いや違うコボルトって奴か! くそっ油断した。芋虫に気をとられ過ぎて周囲の警戒を疎かにしてしまった。

 すぐさま弓を投げ捨てて、ショートソードを引き抜く、が右腕が熱い!

 剣を握る手に力が入らない、痺れるような感覚が右手から広がる。

 コボルトは二匹! 遠巻きに粗末な木の槍を突き出しながら俺の様子を観察しているようだ。

 一歩踏み込んで剣を振り下ろす、しかし、力もスピードもない俺の攻撃をいとも簡単に回避する。

 くそ、ゲームの中じゃあ雑魚キャラの癖に! だんだんと体が重くなっていく何か変だぞ。手の痺れが広がっていく感じだ 毒か!? 不味い! 

 しかしどうする、逃げようにも体が重くてうまく走れないだろう、やはりここでこいつ等を倒せなきゃ活路はない。

 左手に握った小石を、スナップを利かせコボルトの顔面に目掛けて至近距離で投擲した。

「ギャン!」死角から飛んできた石が見事にコボルトの顔面に命中、一瞬何が起きたのか理解できなかったコボルトだが俺の仕業だろ悟ったのだろう怒りの表情を露に突進してきた。

 来る! 槍を突き出しながら前に出てきたコボルトに合わせ、左足を軸に右回転しながら剣を水平に薙いだ。力が入らないのなら遠心力の力で威力を増せばいい。

 敵に背中を見せて回転するのは怖いが、敵に一撃を入れるためにはこの方法しかない。コボルトの槍は俺の頬をかすめて通り過ぎ、回転で勢いの付いた俺の剣は偶然にもコボルトの喉笛を切り裂いていた。

 ピュー っと赤い血が引き裂いたコボルトの喉笛から噴出す。バーツから伝授された技が見事成功したことにうれしさの余り笑みが毀れてしまった。

 同族が殺されたのを見たもう一匹のコボルトが怒りの咆哮を上げ槍を突き出してくる。

 突き出される槍を何とか凌ぐが全てを避けることが出来るはずも無く、体のあちこちに傷を作りだしてしまう。

 何度目かの攻撃を捌いた時、足元の石に躓き後方に尻餅をついてしまって。

 すぐに立ち上がろうと力を込めるがとうとう痺れが全身に回ったらしく立ち上がることが出来ない。

 コボルトがとどめを刺そうと槍を突き出す。俺はその槍を避けようと体を回転させゴロゴロと土の上を転げ回った。

 槍の一撃を回避したのはいいが、痺れる手から剣を手放してしまった。

 クソッ! それを見たコボルトは嘲笑の笑みを浮かべるているようだ。ゆっくりとした歩みで近づいてくる。

 後ずさりながらコボルトを睨みつける。

 コツ、何かに当りこれ以上後ろに下がれない、チラリと後ろを覗くとさっき倒したコボルトの死体にぶつかっていた。

 ん!、余裕をもって近づいてきたコボルトが槍を大きく突き出そうとする瞬間、俺は左手に握った土を投げつけた。

 油断していたコボルトは顔そむけて避けようとしたが目に入ったようだ。しきりに目を擦り土を落とそうとしている。

 今だ! 近くに落ちていた木の槍を掴むと最後の力を振絞りコボルトに突進した。

 コボルトは俺の気配に避けようと翻すが、俺の槍がコボルトの胸を捕らえ貫いた。『ピロリン!』

 ギャフン!! 悲鳴を上げ2、3歩よろけると地面に突っ伏して動かなくなった。

 そして俺も同じように地面に倒れ動けない。


 はぁ 何とかやっつけたのか、もうピクリとも体が動かない。もしコボルトが生きているのならもうどうすることもできないな。

 しばらく待ったがコボルトが動く気配がないのでたぶん死んだのだろう。安心したものの俺も毒を受け動けないこのまま時間が過ぎれば俺も死ぬことになるのだろうか。

 まっ こうなっては仕方が無いか、バーツ達の忠告を聞かず一人で町の外に出てこうなった訳だし誰にも文句は言えない自己責任だ。

 ただ、せっかく助けてもらったバーツ達にはとても悪いことしたなと反省する、俺の為に色々と教えてもらったりお金だって使わせてしまった。

 はやく自分で稼いで返そうと思っていたのだが、それももう出来そうにないな。


 ・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・!


 そう言えばさっきあの音が鳴った様な。うん、確か槍を突き刺した時に鳴ったはずだ。

 いったい何なんだろうかこの音は、こんなファンタジーの世界に電子音ポイ音なんて似つかわしくないよな。

 うん? 電子音? なんで頭の中に電子音が響くんだよ?

 ゲームじゃあるまいし、変だよな。いやゲームでも変だよな頭に響くなんて・・・

 う~んゲームだとしてもあの音は何を意味するんだ。どういう基準で音が鳴るんだか?

 剣で攻撃したとき最初はあの音が鳴った、でも次に敵に攻撃した時にはあの音が鳴らなかった。

 思い返せば他の時もそうだったような、いやそうだな最初にその武器で攻撃すると音が鳴った。しかしそれがいったい何を意味しているんだ。

 いや、常識で考えたらダメだ、そうだここがゲーム中だとしたらどうだろ、あの音の意味はなんだ。

 何かのポイントが付いたとか、レベルアップか? 確信はないがそんな感じがする。

 となると、ほかにも何か出来ることがあるのか?

 ゲームといえばなんだ? 装備を整え道具を準備したり・・・・。

 そうだ武器や防具を装備したりするステータス画面とか!

 出るのか画面が、でもどうやって出す、口に出して言えばいいのか? なんか恥ずかしいなまずは頭の中でイメージして見よう。

 ゲームで出てくるような画面を思い浮かべてイメージをする・・・・

 最初暗闇しかなかったイメージにぼや~と何かが浮かんできた。 えぇ マジ!


 リュウヤ アマガミ

 男 22才  種族 神人 Lv1

 状態 小麻痺

 HP 11/4 MP 24/24

 [筋力  7]

 [耐久力 8]

 [敏捷力 9]

 [器用度 7]

 [魔法力 9]


 技能スキル

 [投擲術 Lv1(0/10)]

 [剣術  Lv1(6/10)]

 [弓術  Lv1(8/10)]

 [槍術  Lv1(1/10)]

 [練成術 Lv1(4/10)]


 特殊技能

 [祝福  Lv1(0/0)]



 はぁ~~ なんじゃこりゃ~

 頭の中に出てきたイメージに思わず驚嘆する。ホントなんじゃこりゃぁ~

 まず、つっ込みたくなるのは神人なにそれ、おれ普通の人間じゃないの、神なの?

 神にしてはあっけなく死にそうだったんだけど。

 そして能力値、なんか全部一桁なんですけと強いの弱いの? 基準がわかんね~

 技能スキルはなんとなく分かる、まぁ全部1レベルですけど。

 最後の祝福ってどうするのこれって、意味がわかんね~

 使うの、使えるの どうすんだよこれ。

 と そう言えば毒じゃなくて麻痺なのかまぁ似たようなものだが死ぬことはないんだな、まずは一安心だ。

 でもどうすんのこれ、この世界はゲームなのか? いや怪我すると痛いし血も出るぞ。

 ゲームなら死んでも生き返るのか? でも試してみる気は全然無いぞ。怪我すると痛いんだ死ぬ時なんてもっと痛いだろ。

 はぁ~ この世界に慣れてきたと思ったのにいったいどうすりゃいいんだ。



















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ