さようなら
続きです。
目を覚ますと、月が真上に来ていて、少し寝過ごしてしまった事を察した。
隣を見ると、イヌはまだ寝ていて、僕は微笑んだ。
幸せだ。
この時間が永遠と続けばいいのに。
ずっと、イヌと二人で暮らせればいいのに。
「きみもいつかはいなくなってしまうんだね」
僕の父は飲酒運転で人を敷いて死んだ。
僕の母は男とどこかにいってしまった。
僕の姉は成人すると、僕をおいて家を出て行った。
みんな僕をおいて出て行った。
いったいどこに行ったのか、何をしているのか。
そんなの知った事じゃない。
「ねえ、イヌ。きみが逝くときは一緒に連れて行ってね。僕を一人にしないでね」
イヌは静かに眠りながら僕の話を聞いてくれていた。
「ねえ、イヌ。もうしばらく寝ようか。なんだかひどく眠りたいんだ」
それきり勇気は目覚めなかった。
近所の人がしばらくして見つけて、ひっそりと火葬をした。
彼のそばに猫なんていなかったらしい。
「更級君、かわいそうにね。一人暮らしで」
「本当よね。でも、彼いつも腕に何か抱えてなかった?」
「ああ、そういえば」
近所のおばさんの足下で小さな猫がにゃあと鳴いた。
「いつも独り言をつぶやいていたし」
誰にも見えないその猫は、おばさんたちを一瞥すると勇気の墓に近づいた。
「「逝くときは一緒だから」」
勇気の墓の前で、猫は消えた。
一応終わりましたが、支離滅裂です。
気分を害さない程度で読んでいただけると嬉しいです。