1/3
イヌと僕
なんとなく書いたものなので期待はしないでください。
猫とは実に自由なもので、いつも昼寝ばかりしている。
人間は忙しく動き回って仕事にいそしんでいるというのに、本当にのんきなものだ。
飼い猫の「イヌ」がどこからか拾ってきたのかどんぐりを肉球でもてあそんでいる。
何が面白いのかあっちへころころ、こっちへころころと転がしていた。
「君は本当に毎日毎日楽しそうだね」
僕はこの重く苦しい世界で生きているというのに。
「君の世界はきっと、すごく楽しいんだろうね。なりたいなんて無理なことは言わないけど」
この子をあえて「イヌ」なんて名前にしたのは、ただの気まぐれだ。
たまたま捨て猫だった子猫のイヌを拾って
面白半分に正反対の名前をつけてみた。
だって、そうしたら僕だけじゃない気がしたから。
僕の名前は更科勇気。
勇気なんて無いくせに、親は勇気を持っていて欲しかったらしい。
「にゃあ」
イヌが僕の足のそばで鳴声をあげた。
足に擦り寄ってきたので抱き上げて、膝の上にのせた。
「慰めてくれるの? ありがとう」
静かな縁側で僕はぼけっと空を見上げた。
たぶんまだ続きます。