表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

勇者サマの一日

作者: 春暁ゆとり

俺は勇者になって魔王を討伐し世界を救う予定の人間である。

現在は勇者を育成するための学校へ通っている。

数年前に現れた魔王との戦闘で人口はをおよそ半分にまで減っている。

人類にはもう余裕などない。

そこで俺のような才能のある人間を一ヶ所に集めて特殊な教育を施すことに決めたらしい。

このことが魔王に知られたら人類の生存は絶望的である。

だからこの事を母上に話すことも禁じられている。


「ほら!あんた!早く学校行きなさい!」

「すこしお待ちください、母上!」

「何が母上よ!早く学校行きなさい!遅刻するわよ!」


時計を見ると学校が始まるまであと15分しかない。

勇者の力があれば1分で学校にたどり着くことも容易い。

しかし学校外で勇者としての能力を使用してるのがばれたら大事だ。

なので俺は普通の人間と同じような速度で走っていかなければならない。

走るという行為は美しくないためあまりしたくないのだが勇者たるもの時間に遅れるようなことはあってはならないという方針により我が校は遅刻に対しての罰が非常に厳しい。

勇者というのは大変なのである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


勇者は疲れというのを感じない。

学校まで全力疾走をした後でも何の疲労も感じるはずないのである。


「お前また走ってきたのか。大丈夫か?」

「だ、大丈夫で、す、先生。息なんて、切れてません。」

「はぁ、早く席につけ。」


いつもの窓際の席に座る。

魔王の進攻で絶望的な人類の心を癒そうとしているのか今日の空はいつもに増して素晴らしい。

空の青さに惚れ惚れしていると後ろの席のやつが話しかけてきた。

先生が黒板の前で朝の会を行っているというのに失礼なやつである。


「今日の一時間目なんだっけ?」

「体術の実技だな。道場集合だ。」


親切に教えてやる俺。

勇者は聞かれたことを間違えてはいけないのである。

担任の先生の話が終わると俺はすぐに着替えて道場へ向かう。

ぼろぼろの廊下を抜けるとさらにぼろぼろさを増した道場に出る。

広さはそこそこであるがボロさは一級品である。

今日の授業は開脚前転というものをやるらしい。基本の受け身である。

敵に攻撃を食らったとき開脚前転が出来れば大幅にダメージを減らすことができるだろう。

開脚前転の後にやった三点倒立は敵の攻撃を受け流すのに使えるかもしれない。


「次の授業なんだっけ?」


さっきのやつがまた聞いてくる。

紹介し忘れていたがこいつは俺の友達である。

少々不真面目であるが有能なので将来俺の勇者パーティーに加えてやってもいいと思っている。

そんな友人の頼みだ。答えてやるのが礼儀である。


「次は算術の授業さ。」


勇者たるものお金の計算は必要不可欠な能力である。

これがないと途中でであった商人にお金をだましとられてしまうかもしれない。

今日の算術の授業では何やら図形のようなものを扱っていた。

メネラウスの定理とかいうそれは新しい魔法を使うための魔方陣のようである。


三四時間目は少し休憩をしていて何をしていたのか覚えていない。

チャイムの音で目を覚ましよだれを拭う。

給食の時間では日替わりの給食当番が配膳を行う。

勇者たるもの自炊できなければ魔王城への旅はできない。

配膳を自分達で行うのはそのための準備であろう。

給食を速攻で腹に詰め込むと終了のチャイムが鳴る。

給食を食べる時間を短くし、早食いをさせるのは食べている間の無防備な状態を少なくするためであり給食が残飯のようなすざましい味をしているのは旅の間満足な食料を得られる保証がなく、そこにあるものは何でも食べなければいけないからである。

給食を食べたあとは休憩時間という名目の時間が与えられているが実態は大きく異なる。


「ドロケイやる人体育館集合!」


そう叫んだ友人の後に続いて俺以下男子数名がついて行く。

ドロケイとは追ってくる魔物から逃げる、また逃げる魔物を追いかけるための訓練である。

と、同時に魔物に捕まった仲間を救出するための訓練が行える素晴らしい訓練である。

今回の訓練では俺が所属するチームが勝った。実際に魔物と戦闘を行うときにもこの訓練で身につけた能力があれば圧勝にちがいない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


五六時間目の授業が終わり家に帰る。

勇者たるもの過去の勇者がどのようにして魔王を倒したかについての研究は必須である。

ドラ○クエストやファイ○ルファンタジーなどの基本的な文献はすでに全てプレイ済みだ。

最近は中古ショップで安値で売られているあまり有名ではない文献をプレイしている。

深夜まで魔王に関する研究を行えば俺の1日は終了である。

ベットに入り目をつぶると夜中まで研究にいそしんだ俺の体は安息を求めて暗闇へと落ちていくもである。

主人公はただの中2病です。勇者でもなんでもありません。こんなやつに話しかけてくれる友人はきっと友達が他にいないのでしょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これを見習えば、日々の会社でも楽しく、強く過ごせそうです。楽しかったです。ありがとーございました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ