表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたを忘れる方法を、私は知らない  作者: 長岡更紗
光の剣と神の盾〜ストレイア王国軍編〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/344

93.私と一緒にアシニアースを過ごして

 秋の改編後、二度のフィデル国との小競り合いはあったものの、激化することなく収束した。

 魔物退治で行軍することもあったが、バキアのような巨大竜ではない。ワイルドスニップという群れを成す猛禽の鳥類や、トカゲ型のスパインリザードという小型の魔物がうじゃうじゃ大量発生していたのを、片っ端から退治していった。


 基本的に魔物退治は、各のエリア担当の兵士や、カールの父親のように雇われた者が行う。しかし数が多くなったり手に負えない強い魔物が現れた時は、騎士が出動するのだ。

 敵国が攻めてきた際はエリアの兵士が真っ先に出るものの、すぐに騎士が派遣されて陣頭指揮を取ることになっている。

 魔物相手とは違い、ただ殺し合いをすればいいというわけではないからだ。その時々で的確な対応を迫られる。

 大抵フィデル国相手に出るのはアリシアかシウリスで、アンナたちにまだ出番は来なかった。

 その代わりうんざりするほどスパインリザードを倒しまくり、アンナは少しの間、トカゲを見ると顔色を悪くするのだった。


 そんな日々を過ごし、季節は冬となってまたアシニアースがやってくる。

 平日で仕事ではあるが、多くの隊員は終業時刻の五時に切り上げる者が大半だ。

 この国では、家族と一緒にアシニアースを過ごすのが一般的である。家族以外の者と過ごすと幸せになれない、というジンクスまである始末だ。

 トラヴァスも今日は家族で過ごすからと、下町にある実家へと帰っていった。アンナとグレイも今日は早く切り上げようと約束している。

 しかし定時を少し過ぎてしまったアンナは、必要書類を第十軍団へと提出しに急いで軍務室を出た。


(今日はどこの隊も早く終わりたいでしょうから、急がないと)


 将以上は中々早く帰れないのが現状だ。しかし他の隊員はアシニアースには早く帰りたいはずだと、アンナは第十軍団の執務室をノックした。


「はい」


 すぐに扉が開けられ、顔を出したのはローズである。


「あら、アンナ隊長」

「遅くなってごめんなさい。これ、今日の記録よ」

「大丈夫よ。みんな滑り込みで持って来るもんだから、今から作業だわ」


 ローズの後ろには数人残っているものの、支援統括の隊員もほとんどが帰っている。


「アシニアースなのに、大変ね」

「まぁ明日に回しても別に構わないんだけどね。でも私は地方出身だから、家族に会いに行けないし。仕事でもして過ごしておくわ」

「トラヴァスと一緒に過ごせばいいじゃない」

「そうね。誘ってくれれば、そうするつもりだった」


 眉を下げて寂しく笑うローズを見ると、アンナの胸はなぜだか痛む。


「トラヴァスもジンクスを気にしているのかしら」

「どうかしら。非合理なことは信じない主義だけど、ご家族はわからないものね」

「そうね……」


 ローズに同情の心を寄せると、彼女はさっと切り替えて明るく笑う。


「どうしてアンナがそんな顔するのよ! あなたはグレイ隊長と一緒に過ごすんでしょう? 楽しんでくればいいの。ほら、来たわよ」

「え?」


 振り返って見てみると、グレイが廊下をすごい勢いで歩いていた。

 手には先ほどのアンナと同じように書類を持っている。


「グレイ!」

「よかった、アンナも今終わりか」


 グレイはそう言いながら、封書をローズへと渡す。


「悪い、遅くなった」

「構わないわよ。お疲れ様です、グレイ隊長。確かに受け取りました」


 封書の中身が入っているかだけ確認したローズは、にっこりと笑った。


「じゃあ、いいアシニアースをね、アンナ」

「ありがとう。あなたも」


 そう言うとローズは扉を閉め、軍務室へと消えて行く。

 扉前から少し移動したアンナは、急いで仕事を終わらせた婚約者を見上げた。


「ちょうど同じになったわね。もう終わりよね?」

「ああ、一緒に帰ろう。どこかで食べていくか?」

「アシニアースはみんな家族で過ごすから、お店も早仕舞いしちゃうのよね。さっさと買い物をして、家でゆっくり過ごしましょう」

「そうだな」


 結局アンナとグレイはいつも通り家で過ごすことになった。

 デザートにケーキを買い、ほくほくとするアンナを見て、グレイは目を細める。

 いつもよりは時間があるので、食材を買って久々の手作りだ。

 二人であれこれと指示し合いながら料理を作り、出来上がると席に着く。


「アシニアースといえば、チキンだよな」

「いつもなんだかんだとお肉を食べているじゃないの。しっかりサラダも食べてね」


 金色に輝くローストチキンが、テーブルの中央に堂々と置かれている。香ばしい皮はパリッと焼き上がり、ナイフを入れると中から肉汁が溢れ出した。周りにはハーブで香りづけしたじゃがいもやにんじんが添えられ、ほんのり甘いグレイビーソースが艶やかだ。

 テーブルには赤ワインのグラスが並び、バターたっぷりのふわふわのパンやチーズとハムの盛り合わせも彩りを添えている。もちろん、生野菜のサラダも用意した。

 暖かなロウソクの灯りが食卓を優しく照らしていて、アンナたちはいつもより豪勢な食事を堪能する。

 アンナは幸せを噛み締めると同時に、まだ家族ではないグレイへと目を向けた。


「わかってたけど、アシニアースって本当に家族で過ごす人が多いのね」


 地方出身だと言っていたローズを、アンナは思い浮かべる。

 アンナはいつもアリシアが仕事だったので一緒には過ごせなかったし、誰かの家に呼ばれたこともなかった。

 当時アンナは、〝家族以外と一緒に過ごすと幸せになれない〟というジンクスを知らなかったが、気にする人が多かったのだと今となっては納得である。


「まぁ、家族のイベントだしな。地方出身の独身者は、この時期から休暇を取って帰るくらいだ」

「新年も近いし、そのまま休暇を消化する人が多いものね。人数が減った分、年明けまで回していくのは大変だわ」

「将たちはまだ仕事してたしな。俺たちも来年からはこうしてゆっくりしてられないぞ」

「来年は将になっているってこと?」

「当然だ。来年の秋の改編には、将になる。アンナも一緒だぞ」

「ええ、頑張る」


 グレイの意気込みに圧倒されるように、アンナは頷いた。

 できれば一緒に将になりたい。実力はグレイの方が上だとわかってはいるが、置いていかれたくないという意地は、アンナにもある。


「じゃあ来年は、こうして一緒に過ごせそうにないわね……」


 付き合い始めてから、ずっと一緒に過ごしてきたアシニアースだ。

 思い出のあるイベントを、このままずっと続けたかったとアンナは肩を落とす。


「まぁ、ゆっくりはできないだろうが……仕事を終えてから、一緒に過ごせばいい。さすがに日付けが変わるまで仕事ってことはないだろ」

「ええ……そうよね」


 そう言いながら、アンナは背筋をぶるりと震わせた。

 ずっと一人で過ごしてきた、アシニアース。これからもグレイと一緒に過ごそうと約束しているというのに、今この時が幸せ過ぎて。


「どうした? アンナ」


 微かに震えるアンナに、グレイは眉を寄せる。


「……ごめんなさい。もうこんな時間が過ごせないのかと思うと、残念で……」

「アンナ……」


 将になれば、ゆっくりした時間は取れなくなってしまう。

 今までと同じようには過ごせないが、それを大したことではないと流すには、アンナは孤独を知り過ぎていた。

 グレイはそんなアンナを見て、決意の表情を向ける。


「じゃあ、俺たちが将になった時には変えてやろう。遅くとも六時に仕事を終わらせる。そうすれば、今日と同じように過ごせるだろ?」

「そんなこと、できる?」

「意地でもやるさ。心配しなくていい。これからもアシニアースは、ずっとこうして過ごすぞ」


 本当にそうしてしまいそうなグレイを見て、アンナはこくんと頷いた。


「ええ……来年も、再来年も、ずっとずっと……私と一緒にアシニアースを過ごしてくれる?」

「当たり前だろ。十年後も二十年後も、俺が生きてる限りずっと。アンナとアシニアースを過ごす。これは確定事項だからな」


 力強いグレイの言葉に、ようやくアンナは安堵してほっと息を漏らした。

 約束を違えるような男ではない。

 ずっとずっと、死が二人を分つまで、こうしてアシニアースを過ごしていけるのだと。


「さて、お待ちかねのデザートタイムだぞ。コーヒー淹れるか。アンナも飲むだろ?」

「ええ、お願い。私は食べ終えたものを片しておくわ」


 グレイは豆を挽き始め、アンナは食器を片付ける。

 用意ができてアルコールランプをかけたグレイは、アンナを手伝わずに自分の部屋へと入った。

 アンナが食器を洗い終えた頃、グレイがディックを肩に乗せて戻ってくる。その手に、プレゼントの袋を持って。


「やだグレイ、またなにか買ってくれたの? 今年はしないって言ってなかった?」

「いや、まぁ本当に大したもんじゃない。期待するなよ」


 グレイは無造作にプレゼントを渡し、アンナは首を傾げる。


「結構大きいし、重さもあるわ。なにかしら。開けてもいい?」

「もちろん」


 承諾を得たアンナは、袋をがさがさと開けてみる。すると中から陶器製の植木鉢が出てきた。


「わ……植木鉢ね! かわいい!」


 白磁の滑らかな表面に、淡い青の絵付けが施された陶器の植木鉢だ。丸みを帯びたフォルムで、縁には繊細な唐草模様、中央には大胆かつ優美な蔓模様が描かれている。

 しっかりとした厚みがあり、重厚感も漂うものだった。

 アンナは手に持った植木鉢を割らないように、そっとテーブルの上に置く。


「素敵! ありがとう!」

「まさか、そんなに喜んでくれるとは思わなかったな」


 アンナの喜びように、グレイの方が逆に驚いてしまう。

 グレイとしては、本当に大したものをあげたつもりはなかったのだ。


「嬉しいわよ。私の好みにぴったりだもの。お庭のお花のお世話ができなくて何年も経ってるし、彩りが欲しいと思っていたのよね。だから植木鉢をくれたの?」

「いや、最初は花束でも買おうと思ってたんだが。事前に用意できないのと、俺のガラじゃないと思ってな。鉢植えの花もなにがいいかわからなかったから、結局植木鉢だけになったって話だ」

「ふふ、色々考えてくれたのね。それだけで嬉しいわ」


 本当は、たくさんのバラの花束を抱えて喜ぶアンナの顔が見たかったグレイである。

 しかし季節的にバラに限らず花はほとんどなく、悩んだ結果、植木鉢だけになってしまったのだった。


「でも、花束が柄じゃないなんて思う必要はないわよ。あなたはなにをしてもかっこいいもの」

「そう言ってくれるのは嬉しいんだが。実際俺がバラの花束を抱えてたら、隊員たちに化け物を見るような顔をされるだろ。カールがいたら、大笑いされそうだしな」


 グレイの言葉に、アンナは『似合わねぇー!!』とゲラゲラ笑うカールの顔が浮かんだ。

 もしそういう状況になってもグレイは気にせず、カールをヘッドロックして懲らしめるだけだが。

 しかし花束を持った姿が、究極に似合わないことを自覚しているグレイである。アンナが喜ぶことなら厭わないが、少し抵抗があることも確かだった。


「花束もいいけれど、男の人が買うのは勇気がいるものね。植木鉢、ありがとう。大事にするわ。なにを植えようかしら」

「言ってくれれば種でも苗でも買ってくるぞ。なにがいいのかわからなかったからな」

「この時期はまだ、植えられるものも少ないから、ゆっくり考えるわ。ありがとう」


 アンナはにっこりと笑って、丸みのあるかわいい植木鉢を撫でる。

 満足顔で頷いたグレイはコーヒーを淹れて、ソファーのある方のテーブルへと置いた。

 アンナもケーキをお皿に載せると、テーブルに置いて一緒にソファーへと腰掛ける。


「うまそうだな」

「美味しいに決まってるわ。いただきましょ」


 ふわふわのスポンジに甘酸っぱいクランベリーと滑らかな生クリームがたっぷり挟まれたケーキ。トップには宝石のような赤い実が散りばめられていて、見るものを笑顔にさせる。

 粉砂糖がふわりと降り積もり、聖夜の雪景色を思わせる華やかなケーキだ。

 二人はコーヒーを飲みながら、ケーキを口へと運んでいく。


「うん、甘さがちょうどいいな。クランベリーの酸味がいいアクセントになってる」

「ふわっふわだし、クランベリーの色もかわいいわ。見た目も味も最高ね」


 満面の笑みを浮かべたアンナの方がかわいすぎて、グレイは思わずアンナの唇を奪った。

 アンナはとろりとグレイを見上げる。込み上げる幸せを伝えるように、グレイの胸元へとしなだれかかった。


「ありがとう。今年も一緒にいてくれた上に、素敵なプレゼントまでくれて」

「大したことじゃない。俺がしたかっただけだからな」

「グレイ」

「ん?」


 アンナは誰より優しい婚約者へと、気持ちを溢れさせる。


「愛してるわ……この世で、一番」

「アンナ……」

「来年も再来年も、ずっとずっとこうして私のそばにいてね?」

「ああ、もちろんだ。毎年、プレゼントし続ける。俺がそうしたいんだ」


 グレイの言葉に、アンナは嬉しくて、なのになぜか胸が張り裂けそうで。


 ずっと続くであろう喜びと、少しの不安。


 アンナはこの幸せを手放すまいと、グレイをぎゅうっと抱きしめて。

 二人は互いの瞳を見つめると、聖夜のキスを交わした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。

サビーナ

▼ 代表作 ▼


異世界恋愛 日間3位作品


若破棄
イラスト/志茂塚 ゆりさん

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
この国の王が結婚した、その時には……
侯爵令嬢のユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
政略ではあったが、二人はお互いを愛しみあって成長する。
しかし、ユリアーナの父親が謎の死を遂げ、横領の罪を着せられてしまった。
犯罪者の娘にされたユリアーナ。
王族に犯罪者の身内を迎え入れるわけにはいかず、ディートフリートは婚約破棄せねばならなくなったのだった。

王都を追放されたユリアーナは、『待っていてほしい』というディートフリートの言葉を胸に、国境沿いで働き続けるのだった。

キーワード: 身分差 婚約破棄 ラブラブ 全方位ハッピーエンド 純愛 一途 切ない 王子 長岡4月放出検索タグ ワケアリ不惑女の新恋 長岡更紗おすすめ作品


日間総合短編1位作品
▼ざまぁされた王子は反省します!▼

ポンコツ王子
イラスト/遥彼方さん
ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
真実の愛だなんて、よく軽々しく言えたもんだ
エレシアに「真実の愛を見つけた」と、婚約破棄を言い渡した第一王子のクラッティ。
しかし父王の怒りを買ったクラッティは、紛争の前線へと平騎士として送り出され、愛したはずの女性にも逃げられてしまう。
戦場で元婚約者のエレシアに似た女性と知り合い、今までの自分の行いを後悔していくクラッティだが……
果たして彼は、本当の真実の愛を見つけることができるのか。
キーワード: R15 王子 聖女 騎士 ざまぁ/ざまあ 愛/友情/成長 婚約破棄 男主人公 真実の愛 ざまぁされた側 シリアス/反省 笑いあり涙あり ポンコツ王子 長岡お気に入り作品
この作品を読む


▼運命に抗え!▼

巻き戻り聖女
イラスト/堺むてっぽうさん
ロゴ/貴様 二太郎さん
巻き戻り聖女 〜命を削るタイムリープは誰がため〜
私だけ生き残っても、あなたたちがいないのならば……!
聖女ルナリーが結界を張る旅から戻ると、王都は魔女の瘴気が蔓延していた。

国を魔女から取り戻そうと奮闘するも、その途中で護衛騎士の二人が死んでしまう。
ルナリーは聖女の力を使って命を削り、時間を巻き戻すのだ。
二人の護衛騎士の命を助けるために、何度も、何度も。

「もう、時間を巻き戻さないでください」
「俺たちが死ぬたび、ルナリーの寿命が減っちまう……!」

気持ちを言葉をありがたく思いつつも、ルナリーは大切な二人のために時間を巻き戻し続け、どんどん命は削られていく。
その中でルナリーは、一人の騎士への恋心に気がついて──

最後に訪れるのは最高の幸せか、それとも……?!
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
この作品を読む


▼行方知れずになりたい王子との、イチャラブ物語!▼

行方知れず王子
イラスト/雨音AKIRAさん
行方知れずを望んだ王子とその結末
なぜキスをするのですか!
双子が不吉だと言われる国で、王家に双子が生まれた。 兄であるイライジャは〝光の子〟として不自由なく暮らし、弟であるジョージは〝闇の子〟として荒地で暮らしていた。
弟をどうにか助けたいと思ったイライジャ。

「俺は行方不明になろうと思う!」
「イライジャ様ッ?!!」

側仕えのクラリスを巻き込んで、王都から姿を消してしまったのだった!
キーワード: R15 身分差 双子 吉凶 因習 王子 駆け落ち(偽装) ハッピーエンド 両片思い じれじれ いちゃいちゃ ラブラブ いちゃらぶ
この作品を読む


異世界恋愛 日間4位作品
▼頑張る人にはご褒美があるものです▼

第五王子
イラスト/こたかんさん
婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。
うちは貧乏領地ですが、本気ですか?
私の婚約者で第五王子のブライアン様が、別の女と子どもをなしていたですって?
そんな方はこちらから願い下げです!
でも、やっぱり幼い頃からずっと結婚すると思っていた人に裏切られたのは、ショックだわ……。
急いで帰ろうとしていたら、馬車が壊れて踏んだり蹴ったり。
そんなとき、通りがかった騎士様が優しく助けてくださったの。なのに私ったらろくにお礼も言えず、お名前も聞けなかった。いつかお会いできればいいのだけれど。

婚約を破棄した私には、誰からも縁談が来なくなってしまったけれど、それも仕方ないわね。
それなのに、副騎士団長であるベネディクトさんからの縁談が舞い込んできたの。
王命でいやいやお見合いされているのかと思っていたら、ベネディクトさんたっての願いだったって、それ本当ですか?
どうして私のところに? うちは驚くほどの貧乏領地ですよ!

これは、そんな私がベネディクトさんに溺愛されて、幸せになるまでのお話。
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
この作品を読む


▼決して貴方を見捨てない!! ▼

たとえ
イラスト/遥彼方さん
たとえ貴方が地に落ちようと
大事な人との、約束だから……!
貴族の屋敷で働くサビーナは、兄の無茶振りによって人生が変わっていく。
当主の息子セヴェリは、誰にでも分け隔てなく優しいサビーナの主人であると同時に、どこか屈折した闇を抱えている男だった。
そんなセヴェリを放っておけないサビーナは、誠心誠意、彼に尽くす事を誓う。

志を同じくする者との、甘く切ない恋心を抱えて。

そしてサビーナは、全てを切り捨ててセヴェリを救うのだ。
己の使命のために。
あの人との約束を違えぬために。

「たとえ貴方が地に落ちようと、私は決して貴方を見捨てたりはいたしません!!」

誰より孤独で悲しい男を。
誰より自由で、幸せにするために。

サビーナは、自己犠牲愛を……彼に捧げる。
キーワード: R15 身分差 NTR要素あり 微エロ表現あり 貴族 騎士 切ない 甘酸っぱい 逃避行 すれ違い 長岡お気に入り作品
この作品を読む


▼恋する気持ちは、戦時中であろうとも▼

失い嫌われ
バナー/秋の桜子さん




新着順 人気小説

おすすめ お気に入り 



また来てね
サビーナセヴェリ
↑二人をタッチすると?!↑
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ