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目的
『えっと……私の知る限り、少なくとも今はいないはずですが……ですが、どうしてそのようなことを?』
ともあれ、苛ついていても仕方がないのでひとまず尋ねてみる。まあ、正直尋ねるまでもないんだけど……なんか、訊いてほしそうにしてるし。
すると、待ってましたと言わんばかりに嬉々として答える有希先輩。冬樹先輩に甚く好意を寄せていること、故に少しでも彼の情報が欲しいこと――ざっくり言えば、そういう回答だった。
まあ、情報が欲しいというのも紛うことなき本音ではあるのだろうけど……恐らくは、牽制の意味合いの方が強いのだろう。私が狙っているんだから、まさか手を出すはずないよね――日頃から冬樹先輩と親しくしている私に、グサリと釘を刺すことが主たる目的なのだろう。




