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鎖 〜例え、どんなに歪な形でも〜  作者: 暦海


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惨状

 ――いったい、何が起こったのか……暫く、理解出来なかった。……いや、違う。理解はしていた……していたけれど……ただ、信じたくなかった。予想だにしない――思わず、目を覆いたくなるこの惨状を……ただ、信じたくなかった。


 ……それでも、現実逃避している場合じゃない。今、一番辛いのは、僕じゃないから。


 その後、すぐさま警察へと通報――駆け付けた警察の人達に、呆然とする陶奈とうなさんに詳細を尋ねつつ彼らへ大方の事情を説明した。……本当は、僕一人で説明出来たら良かった。だけど……あの瞬間、僕からは死角になっていた部分もあったため、事の一部始終を把握するには至らなくて。


 そして、繰り返しになるけど――僕らは、何一つ罪に問われることはなかった。数十分前――具体的には、恐らく勤務先を出た辺りからつけられていたため、その間の不審な様子の早良さわらさんを見かけた人が複数人見つかったこと。そして、恐らくはこちらが決定的だったのだけど――けたたましい叫び声が響いたあの瞬間、丁度ベランダで洗濯物を干していたという近くの家の人が仰天し外を見ると、まさに刃物を突き出し猛進する彼女の姿が飛び込んできたとのことで。


 そういうわけで、早良さんの死は不幸な事故として処理された。そして、改めて詳しい事情を聴きたいとのことで、陶奈さんと二人で警察署へ訪れたのが今朝のことで。

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