おめでたいこと?
すると、思いも寄らない藤島さんの申し出にポカンと声を洩らす僕。……いや、だって――
「……あの、藤島さん。そちら、というのは……やはり、そちらのことですよね? ……その、苗字ではない方の……」
「……はい、その苗字ではない方です」
「……あの、ですが藤島さん。その、僕ごときが意見するなど恐れ多いとは思うのですが……やはり、物事には然るべき順序があるのではと――」
「まだ来てなかったのその順序!? てっきりとっくに通り越してたものだと思ってたんですけど!!」
「………………へっ?」
「本気で驚かれてる!? 下の名前で呼ぶって先輩にとってどの辺りに位置してんの!?」
「えっと……結婚の一歩手前くらい?」
「思った以上に上部だったよ!! その理屈だと私の周り結婚の一歩手前ばっかりになるんですけど!?」
「……なんと……おめでたいことですね」
「ええ全く以て!!」
自説を披露する僕に、矢継ぎ早にツッコミを入れる藤島さん。それにしても……いつも丁寧な彼女であるからして、普段はお目に――いや、耳に掛かれないこういう砕けた口調も、頗る新鮮かつ心地好いなとひっそり思った次第でして。




