着信
「……あの、藤島さん……」
「……嫌、ですか……?」
「あっ、いえそういうわけでは……」
困惑する僕に対し、不安そうに瞳を揺らし尋ねる藤島さん。そんな彼女の右腕は、未だ僕の左腕を抱いたまま。何としても離さない……まるで、そんな強靭な意志が伝わるほどの力で僕の腕を――
……なんと、答えるべきなのだろう。もちろん、嫌なわけじゃない。繰り返しになるけど、僕もほんとに楽しかったし、来年も彼女とこんなふうに過ごせたらきっと楽しいのだろうと心から思う。……だけど、それでも僕は――
――それから、数日経て。
それから眠りに就こうかと思った矢先、ふと控えめに電子音が響く。こんな時間に誰だろう――そう思いかけるもすぐに止まる。こんな時間に限らず、僕に連絡をくれる人なんて相当限られている……と言うより、目下一人しか思い浮かばない。
ほぼ確信を抱きつつ、画面を見ると果たして浮かんだ通りの名前が表示されていた。現時刻は22時13分――恐らくは、つい先ほど勤務を終えたばかりなのだろう。ともあれ、そっと緑のボタンに指を添え――
「――はい、どうなさいましたか藤島さん」
……あっ、先にお疲れ様ですって言うべき……いや、それはそれで気持ち悪いかな? なんでお前が私のシフトを把握してるんだって、怪訝に思われるかもしれ――
『……あの、冬樹先輩。その……実は、折り入ってお願いがあるのですが――』
「…………え?」




