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一つ、ご提案があるのですが――

「――それで、聞いてくださいよ冬樹ふゆき先輩。私は何度もお断りしているのに、その人ったらしつこいのなんのって。一度付き合ってみないか、それで駄目だったら振ってくれて良いからって。ですが、そもそも私、苦手なんですよね。そういう押しの強い人」

「……はは、そうなのですね」


 それから、数日経て。

 休憩室にて――酷くげんなりした様子で、そんな不服を洩らすミディアムショートの女子大生、藤島ふじしまさん。先日と同じく、共に午後10時までの勤務だったため、こうして勤務後に二人雑談を交わしている。


 ……まあ、それはともあれ。


「……ですが、困っていらっしゃるのにこのようなことを申し上げるのもどうかとは思いますが……少し、仕方がないのかなとも思ってしまいます。藤島さん、凄く綺麗ですし」

「…………へっ?」


 そう、率直な感想を伝える。すると、ポカンと口を開き声を洩らす藤島さん。……あ、しまった、僕なんかに褒められても嬉しくな……どころか、普通に気持ち悪――


「……あ、えっと、その……ありがとうございます。ですが、冬樹先輩も血色が良くないだけで、顔立ち自体は非常に端整と言いますか……」

「…………へっ?」


 一人内省していると、思いがけず称賛の声が届き戸惑う僕。……いや、称賛なのかな? 血色良くないって言われてるし……まあ、それを含めても僕には十分過ぎるほど過分なお言葉だけど。


「……ところで、血色と言えば以前からずっと尋ねようと思っていたのですが……ちゃんと、栄養取ってます? 冬樹先輩」

「…………はい、もちろんですよ藤島さん」

「……今、何だか怪しい間がありましたけど?」


 その後、仕切り直しとばかりにそう問い掛ける藤島さん。そして、僕の返答に彼女は言葉通り不審な目を向けて……さて、どうしたものか。ともあれ、再び口を開いて――


「……えっと、一応野菜も摂取していますよ?」

「どのくらいですか?」

「……カップ麺に入ってる野菜とか」

「それは摂取している内に入りませんね」


 控えめにそう告げてみるも、あっさり駄目出しを受ける僕。……うん、流石に自分でも苦しいと思ったけど。


 すると、少し間があった後、引き続き僕のをじっと見つめる藤島さん。……うん、次は何を言われるのだろ――


「……でしたら、冬樹先輩。一つ、ご提案があるのですが――」





 

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