正体判明?
「……あの、大丈夫ですか冬樹さん」
「……はい、お手を煩わせてしまい、申し訳ありません早良さん」
「……いえ、私は全然良いんですけど……」
休憩室にて、心配そうに尋ねる早良さんへと謝罪の意を告げる僕。何の話かというと、つい先ほど僕に起きた事故――思考に沈むあまり、自身の手がホットコーヒーを注いでいたことをすっかり失念し火傷を……うん、我ながらなんとも情けない。……まあ、情けないのは今に始まったことじゃないけども。
そういうわけで、そんなみっともない僕の手当てを早良さんがしてくれている状態で。……うん、ほんと申し訳ない。
「……さて、そろそろ戻らないとですね。手当てをして頂き、本当にありがとうございます早良さん」
「へっ? でもまだ手が……」
「ご心配、ありがとうございます。ですが、もう大丈夫です。これ以上、皆さんにご迷惑を掛けるわけにはいきませんし」
その後、ほどなくして立ち上がりそう告げる僕。言わずもがなかもしれないけど……僕ら二人が休憩室にいるということは、現在スタッフが二人足りない状態で営業しているということ。もちろん、僕がいなければ回らないなどと思い上がってはいないけど……それでも、いないとなると多少なりとも他の人達の負担が増す程度には戦力であるはず――
「――あの、冬樹さん!」
「……? はい、どうなさいましたか早良さん」
すると、卒然大きな声で僕を呼ぶ早良さん。……いったい、どうしたのだろ――
「……あっ」
ふと、ポツリと声が洩れる。先ほどまで抱いていた違和感――その正体が、たった今ふと降りてきたから。
……そうだ、呼び方だ。以前まで……それこそ、つい先日まで苗字だったのに、どうしてか今日は名前の方で――
「……その、こんなタイミングで言うのもどうかとは思いますが……私は、冬樹さんが好きです」
「………………へっ?」




