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鎖 〜例え、どんなに歪な形でも〜  作者: 暦海


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……どうか、何処にも――

「……えっと、残念でしたね藤島ふじしまさん。まさか、未来が視えないなんて」

「……まあ、仕方がありません。占い師さんだって、調子の良くない日もあるでしょうし」

「……そう、ですね」


 帰り道、そんなやり取りを交わしながら夕暮れの空を歩く僕ら。……いや、よくよく考えれば未来が視えないなんて至って普通のことなんだけど……まさか、占い師さんの口から直々にそんな言葉が出るとは思わなくて。……まあ、視える振りをして適当な嘘を言われるより全然良いと思うけど。


 ちなみに、結局のところ藤島さんは代金を受け取らなかった。占った結果、何も視えなかったのならそれは仕方のないこと――返金を申し出た占い師さんに対し、彼女はそう主張しつつ頑として受け取りを拒否した。そんな、何とも藤島さんらしい対応に改めて感じ入――


「……ねえ、冬樹ふゆき先輩」

「……? はい、どうかしましたか藤島さん」


 そんな思考の最中さなか、ふと隣から声が届く。ただ……どうにも、その様子に違和感を覚える。心做しか、平時に比べ表情が翳りを帯びているように見えるのもそうだけど……問い掛ける藤島さんの指が、控えめながらも力強く僕の裾を摘んでいたから。……いったい、どうしたのだろ――


「……っ!?」


 卒然、ハッと息が止まる。不意に、裾を摘んでいた彼女の手がさっと僕の手を掴んだから。


「……あの、藤島さ……っ!?」


 戸惑いの中、たどたどしく掛けようとした僕の問いが止まる。何故なら……僕の左手を掴んだ彼女の右手が、小刻みに震えているから。……いったい、何があったの――


「……何処にも、行かないで……」

「……へっ?」


 すると、僕の疑問に答えるようにそっと言葉を紡ぐ藤島さん。……平時とは似ても似つかない、甚く覚束なく震えた声で。



「……どうか、何処にも行かないで……先輩」

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