こっちが素なのかな?
「……随分と早いんじゃな。それに、二人とも随分と息を切らしておるし」
「……まあ、あまりお待たせしてしまっては申し訳ないですし」
「……うん、なんかこっちが申し訳なくなってきた。……ごめんね?」
それから、数十分後。
仰せの通り、通ってきた路地を引き返し再び反対方向から占い師さんの下へと到着した僕ら。正直、別に急ぐ必要もなかったとは思うけども……まあ、あまり待たせちゃうのも申し訳ないしね。
ところで……心做しか、最後の方だけ口調が変わった気がするけど……ひょっとして、こっちが素なのかな?
「さて、それでは占いを始めるとするが――まずは、どちらから視てほしいんじゃ?」
「えっ、どちらも視れるんですか? ご存知かと思いますが、この狭さなので前後の入れ替わりとか出来ないですよ、私達」
「ああ、分かっておるよ。じゃが、占うだけなら顔だけ見えていれば十分じゃ。じゃから、嬢ちゃんが少し屈むなり、坊っちゃんが後ろから顔を出すなりすれば何の問題もない」
「なるほど。それでは、私からで良いですか? 冬樹先輩」
「ええ、もちろんです藤島さん」
占い師さんの説明を受け、後方に位置する僕へと振り返り確認を取る藤島さん。もちろん、異存なんてない。と言うより、正直僕は元より視てもらうつもりも然程なかったわけで。
ところで、それはそうと……ひょっとしたら歳上なのかもしれないけど、この人から坊っちゃんと呼ばれる違和感が半端ないね。




