前世は狙撃手?
「おや、あの青白い感じ……少し前の冬樹先輩にそっくりですねっ」
「……へっ? いえそんな僕なんかと一緒にしては彼らに対し甚だ失礼というもので――」
「想定外の自虐発言!? ……いや、よくよく考えれば先輩らしいか」
それから、十数分後。
僕の返答に、驚愕の――だけど、少しして何処か納得した表情でそう口にする藤島さん。……あれ、自虐って僕らしいの?
ちなみに、その青白い彼らというのは厳密では人ではなく、人工的な死体――即ち、射撃コーナーで待ち構えるゾンビ達のことで。
……まあ、それはそれとして。
「ところで、意外と言っては失礼かもしれませんが……すっごく上手ですよね、藤島さん」
「ふふっ、ありがとうございます冬樹先輩。きっと、前世は凄腕の狙撃手だったのでしょう」
暗闇での狙撃を終え、スタート地点まで戻って来た後そんなやり取りを交わす僕ら。……いや、ほんとに上手かった。それこそ、彼女自身言っていたように、前世は凄腕の狙撃手だったんじゃないかと本気で思ってしまうくらいに。
「ねえ、もう一回乗りましょうよ先輩! 今度は、二人で新記録樹立しちゃいましょう!」
すると、軽いウィンクと共にそう言い放つ藤島さん。狙撃手さながらに銃を構えるその姿が、何とも様になっている。……まあ、二人でとなると間違いなく僕が足を引っ張ることになるんだけど――
「……はい、是非とも」
そう答えると、にこっと太陽のように輝く笑顔を見せる藤島さん。そんな彼女の反応に、僕の返答は間違っていなかったのだとホッと安堵を洩らす。
幸いほとんど並んでいなかったので、ほどなくしてゴンドラへとライドオン――その後、五周目でどうにか目標の新記録樹立を達成……うん、やっぱり僕が完全に足引っ張ってたね。




