09 お仕事
アリシエラさん製のスゴい魔導具も手に入っちゃったけど、
やってることは今までと変わらんのですよ。
イオちゃん『転移』であちこち飛んで、
そこそこの依頼を選んで、そこそこ頑張る感じ。
えーと、メリシェラちゃんは退屈してない?
「退屈してるヒマ無いっての」
「イオさんって『転移』だけじゃなくて、そもそも冒険者として強すぎるんじゃないの」
あー、それが悩みのタネなんだよね。
強さバレしないよう気を付けないと。
ってか、メリシェラちゃんも相当強いよね。
それもバレたらヤバそうだし。
「私はギルド未登録だから平気」
うわっ、住所不定無職。
「言い方っ」
じゃあ、イオちゃんみたいにステータス偽造して登録する?
「……犯罪者一家」
ナナさんは真っ当だよ、たぶん。
「もうそれでいいよ……」
てなわけで、メリシェラちゃんも共犯者に。
イイよね、家族の絆。
「国に帰れなくなっちゃうよぅ」
---
国に帰れないことしてるかどうか、ちゃんと見られちゃってたわけで。
メリシェラちゃん、エルサニア王都在住のメネルカ大使さんにお呼ばれされて、
めっちゃビビりながら王都へ行っちゃいました。
ヴェルネッサさんっていう、元メネルカ宰相さん。
今は正式なメネルカ魔導国大使として、エルサニア王都で勤務中。
いや、本当に恐い人らしくて、あのフィルミオラ女王様が唯一頭が上がらない御方だそうですよ。
実は俺、けんちゃんの友人のシナギさんの恋人だって知ってたんだけどね。
まあ、公私混同はいかん、ってことで。
頑張れ、メリシェラちゃん。
---
「監視任務、頑張れって」
あれ、そんだけ?
良かったね、メリシェラちゃん、お咎めなしで。
「ヴェルネッサ様も、今はこの国のとある要人との交流が主任務なんだって」
「共に国を離れての重要任務、お互い協力し合って頑張りましょうって」
あーつまり、魔導忍者はそっちの要人のお世話も期待されてる、と。
「やめてぇ……」




