12 許可
木箱開封前に、まずはナナさんのお茶で一服。
ふぃー、生き返りますな。
乙女3人は、世間話しに華盛り。
ってちょっと待った、
いつの間にか4人になってるし。
どっから湧いてきたんだよ、メリシェラちゃんっ。
「アマツ家のあるじが、木箱ごときでふらふらしてたのなんか見てないし」
ぐぬぅ、このストーカー娘め。
ってか、いつの間にやら自己紹介も済ませてやがるし。
全く、油断も隙もお色気も無いんだから。
「セクハラッ」
いや、セクシャル感皆無の娘さんには適用されんでしょ。
「私の研究所では、そういうのは重大事案として吊るし上げされますよ」
……怖っ。
とりあえず、俺は絶対に研究所には近付かないぞっと。
「あら、教授も研究生たちも、みんな素敵な乙女ばかりですよ」
おっと、前言撤回、全面降伏、全員紹介、OK?
「奥様たちのご許可がいただけたら、でしょうか」
いかがでしょ、奥さまたち……
「フェリシルスさんクラスの乙女がワンサカ、まさに計画遂行にうってつけの狩り場」
「つまりは、許可」
ありがとね、イオちゃん。
後でどんな計画か、こっそり教えてね。
ってか、狩り場なんて言っちゃダメ。
「流石にアルセリア在住の方との遠距離での誠実なお付き合いは難しくはないかしら」
「様子見ということで、不許可、かな」
おっと、手厳しいですね、ナナさん。
この件につきましては、今晩じっくりと語り合いましょう。
「……不許可」
ちょっと、メリシェラちゃん。
決議権があるのは嫁オンリーですよ。
そんなに3人目に立候補したいんですか。
「あー、ミスった」
「じゃあ、フェリシルスさんに決議権を譲渡」
「あら、アマツさんのお嫁さんになりましたね、私」
「不束者ですが、これからよろしくお願いします」
いえ、こちらこそよろしくお願いします。
まずはご挨拶代わりに、そこのちっこいのは抜きにしてみんなでお風呂でも。
「セクハラッ」
声と態度以外も大きく育ってね、メリシェラちゃん……




