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可燃物

 朝からぬるっとした小雨のなか、長靴を履いて外に出る。傘が要るか要らないか程度に降っている雨を見つめることもなく膨らんだ一週間分の可燃ゴミのごみ袋を両手に抱えて尻でドアを閉めた。

 ごみ収集場所は、近くなく遠くない。

 私が、借家探しできめることこまかいポイントのひとつに入っている。ごみ収集場所はいわば、午前中に人が集う井戸端会議場であり、夕方には次のごみの早出し集積場所であり、野性動物の襲撃場所でもあるからだ。

 だから、近くなく遠くない場所がいい。

 

 自治会や市は、色々と問題解決の工夫をしている。

 ごみ袋の色を変えたり。

 名前記入にさせたり。

 それでも出しに行けば、うず高いごみの山が石垣のようにみっちり積まれているのだ。

 

 私はある期間から、部屋を整理することをしだした。

 元々、小物や飾り物などもない部屋だったが、誰からも訪ねて来ない家にペアのひとつ分が嫌になったのだ。もしかしたら、いつか、行けたらいくが、もうないと自分で自覚した。泊まるなら人の家より近所のホテルの方が自分だって気楽だし。夜をあかし喋ることもなくなった。

 数年、可燃物の袋はいつもはち切れるばかりに詰め込んでは捨てていく作業になる。まだ終わりそうもない。

 一週間に一袋、それ以上は持てないし、捨てることの意味を理解している私なりの量だから。

 とりあえず、寝床は寝床らしく、フローリングだけになったときは、声をあげず歓喜した。もう、金色に輝く埃の舞うのを見つめながら目を閉じなくていいのだ。さあ、洗い立てのシーツに変えて二度寝しよう。静かに静かに丸まった閉じた体を直していこう。その喜びだけを覚えている。

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