サマーキャンペーン
「おう、どうやらもう始まってるみたいだぜ! 俺たちもさっさと行くぞ」
昼過ぎ、教会前の広場に俺たち紺碧の輪は集まっていた。
教会には垂れ幕が吊るされ、そこには【サマーキャンペーン】の文字。
俺たちはさっそく教会の中に入る。
「いらっしゃいませ。イベント参加の方、受付はこちらです」
「よお、俺たちは【紺碧の輪】だ。サマーキャンペーンとやらに参加するぜ」
「はい。【紺碧の輪】様ですね。冒険者証を確認いたします。……それではこちらにどうぞ」
俺たちはシスターの案内で別の部屋へと案内される。
そこは飾り気のない部屋で、部屋の奥には妙な物があった。
それは大きな丸い木の板で、いくつかの色に塗り分けられていた。
そして、その横にいたのは輝く純白のローブに身を包んだ、ただならぬ雰囲気の美女だ。
「こんにちわ! 私は教会長の聖女フェルトです。ようこそサマーキャンペーンに」
「へえ、なんだ? 何か貰えるのか」
「ふふふっ、いつも頑張ってもらってる冒険者の皆さんのために今日は素敵なプレゼントを用意しました。楽しんでいってくださいね!」
フェルトの合図でシスターから俺たちに、一人一本のダーツの矢が配られた。
なるほど、どうやらあの丸い板はダーツ盤らしい。
ダーツ盤は、まず全体の半分が緑色に塗られている。そして残りの半分は金色、赤色、青色に分かれていた。
「当たった色に合わせて景品が貰えます! 皆さん頑張ってくださいね」
「おっしゃあ、やってやるぜ!」
「うふふっ、私こういうの得意よ」
「はい! じゃあ、私が合図したら皆さん投げて下さい! 床の白線から前に出ないように。それじゃあ回しますよ~! ……はい、どうぞ!」
「それっ!」
「おりゃあ!!」
「てやっ!」
「えいっ!」
俺たちは一斉にダーツを投げた。
ダーツの矢は印が付けられていて、後から誰が投げたか分かるようになっていた。
四本の矢は音を立ててダーツ盤に突き刺さる。
フェルトはゆっくりとダーツ盤を止めた。
矢はそれぞれ、ダリルが金色の所に、ボーラスが赤、ミカヤが青、そして俺が緑に刺さっていた。
「はーい! 皆さんおめでとうございまーす!! じゃあまずはダリルさんが金色で一等ですね。では……」
フェルトの合図で、部屋にあった大きな金庫が開かれる。
シスターが金庫から取り出したのは美しい布地にくるまれたひと振りの剣だ。
それはまばゆいばかりの光輝をたたえている……
それを見た俺は思わず呼吸が止まるほどの衝撃に襲われた。
その剣はあまりにも有名で、ここにあることがまったく信じられない。
が、しかしその造形の見事さは、これが紛れもなく本物の伝説の剣であることを示していた。
「お、おい? 嘘だろ……!?」
「ま、マジか!? な、何でこれがここにあるんだ!?」
「ちょっと。洒落にならないわよこれは」
仲間たちも信じがたいといった表情でゴクリと唾を飲む。
フェルトは笑顔でダリルに剣を渡す。
「はい、どうぞダリルさん! SSR武器【聖剣エクスカリバー】レベル200です!!」
「ヒョオオオオオオオオオオオオオオオオッーーーーーー!?!?!?!?!? ま、ま、ま、マジかよ!?!? レベル200? あり得ねえッ!? い、いいのかよコレ。貰っちまって!?」
ダリルは全身をガクガクと震わせながら、口を大きく開けて、信じられないといった表情だ。
「はい! もちろんです。さあどうぞ!」
「やったぜ!!! ありがとうございます聖女様!! うおおおおおおおっーーーー!!!!」
剣を受け取ったダリルは飛び跳ねて喜びながら、嬉しそうに聖剣を振り回す。
聖剣エクスカリバー。それは冒険者ならだれもが知る伝説の武器だ。
以前、魔物たちの大規模な侵攻があった際に冒険者が総出で防衛にあたったことがあるのだが、そこで特に活躍した上位数人の冒険者に教会から特別に送られた剣なのだ。
エクスカリバーを構えたその英雄の像があちこちの街に建てられたのでその存在は皆に知られる事となっている。
まさか1等がエクスカリバーとは驚くばかりだ。
それも限界を超えて強化されたレベル200とは……
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