第一章 第九章 討伐完了
「ダイスロール!」
スキルを発動させ、俺はサイコロを振る。
確かヘカトンケイルは炎、氷の攻撃は効かなかったはず。そしてほとんどの攻撃に耐性を持ち、ダメージが軽減される。長期戦になるかもしれないな。
「まずは小手調べだ!」
ダイスに魔力を送り、サイコロを操作。四面ダイスに望んだ技が表示されてから動きを止める。
「よし、狙い通り、ウエポンカーニバル&ウエポンアローになった。続いて判定ロール」
あまり威力が高いと、この城を破壊してしまうかもしれない。ここは成功しつつ、威力は抑えたほうがいいだろうな。
魔力操作を行い、十の位の赤いダイスを三、一の位の青いダイスを七にした。
「成功しつつ威力は抑えめ、これでどうだ!」
俺の周囲に無数の様々な属性を持つ武器を展開させ、得物をヘカトンケイルに向けて放つ。
『今回の冒険者は、これまでと一味違うようだな』
『負けない、負けない、負けない』
『これぐらいで俺たちが負ける訳がない』
矢のように襲ってくる得物を、ヘカトンケイルは四つの武器で弾き返す。
さすがに安パイを狙った攻撃では、足止め程度にしかならないか。
『このままでは攻撃に転じることができない』
『足止め、足止め、足止め』
『こうなっては肉を切らせて骨で断つ』
ヘカトンケイルは俺の攻撃を防ぐのを止め、構えに入る。その間、武器が魔物にヒットしてやつの肉体を切り裂くも、怯む素振りを見せない。
『『『喰らえ!風神の舞』』』
ヘカトンケイルは握っている得物を無雑作に振り回す。すると風が起き、俺の身体は宙に浮いた。
このままでは俺は吹き飛ばされてしまうな。さて、どうやってこの状況を乗り切ろうか。
「ウルク! あいつよりも強い風を生み出すんだ!」
ドアノブを握りながら、必死に吹き飛ばないようにしているキルケー。そんな彼女は、ヘカトンケイルの『風神の舞』よりも強い風を生み出すように言う。
いったいどういう意味だ? どうしてこの状況で、やつよりも強い風を生み出す必要がある? だけど、すぐに他の方法が思いつかないのも事実だ。ここは彼女の言うとおりにしてみるとするか。
「攻撃ロール」
俺は三つのサイコロを投げる。魔法の選択である四面ダイスに、強風を生み出す技名が出た瞬間に動きを止めた。
続いて威力判定のダイスロールを行う。しかし、ここで集中力が途切れたのか、十の位は九になった。
まずい! このままでは失敗になってしまう。間に合え、ダブルヒット!
一の位のダイスに魔力を集中させ、回転を失う前に十の位に当てる。再び回転を始めた十の位は、今度はゼロで止まった。
よし! あとは一の位を数字の小さいものにするだけだ。
一の位を三で止め、クリティカルを発生させる。
「ストロングウインドウ!」
魔法が発動し、部屋の中に強風が発生する。すると、俺の身体は落下してしまったが、受身を取った。
起き上がって魔物を見る。
今度はヘカトンケイルが空中に浮き、そのまま壁に激突した。
『『『ガハッ!』』』
衝撃が強かったのか、やつは口から血反吐を吐き、周辺を赤く染める。
『馬鹿な! 風神の舞が負けるなんて』
『あり得ない、あり得ない、あり得ない』
『こうなれば、戦い方を変えよう』
ヘカトンケイルは握っている得物を捨て、周辺を殴って壁を壊す。そして巨体を使って大きな壁の破片を俺に投げつけた。
『『『喰らえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…………ぶはああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』』』
俺に向けて投げられた大きな壁の破片だったが、クリティカル状態のストロングウインドウの前では無力。
大きな壁の破片は風の威力に負け、ヘカトンケイルは自ら投げた壁に押し潰される。
自らの攻撃でダメージを受けるなんて、何ともアホだな。
『まさか、俺がここまで痛めつけられるとは』
『負けない。負けない。負けない』
『姫は渡さない! 俺の想いが成就されるまでは!』
壁の破片をどかしてまだ立ち上がってくるとは、頑丈なだけあるな。
「もう降参して、シャルロット姫が捉えられている場所を教えてくれないか? 多分、地下牢辺りだろうけど」
『何だと! どうして姫を捉えている場所を知っている!』
『不思議、不思議、不思議』
『居場所がばれている以上は、絶対に倒させてもらう』
うーん。自分から居場所をバラすなんてやっぱりアホだな。俺はあくまで予想を言ったにすぎないのに。
さてと、そろそろ勝負を決めるとしよう。
「デバフロール」
この戦いを終わらせるために、俺は弱体化の魔法を発動させる。
四面ダイスを魔力操作して、狙い通りの魔法になるようにする。続いて威力判定だが、こちらはゼロと四にしてクリティカル状態にさせた。
「サルコペニア!」
デバフの魔法が発動し、ヘカトンケイルは魔法の影響を受ける。
この魔法は相手の攻撃力、防御力、素早さを軽減させて、攻撃側に必中を与える魔法だ。
これであいつの自慢の頑丈さも無いに等しい。
「さあ、こいつで止めだ!」
俺は空中に展開させたままの無数の武器を、ヘカトンケイルに向けて放つ。
先ほどとは状況が違い、弱体化した肉体は簡単に貫かれる。
『『『ぐあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』』』
数多くの武器が突き刺さり、ヘカトンケイルは大量の血を流すと地面に倒れた。
「サルコペニア。病名の一種がデバフの魔法になっているとは驚きだね。あの魔法は筋肉の元となる筋タンパク質の分解が、筋タンパク質の合成を上回せる。それにより筋肉の量を減少させたのだろうね」
戦闘が終わり、キルケーが俺に近づく。
病名の一種? タンパク質の合成? いったい何のことを言っているんだ?
「なぁ、君は本当に何者なんだ? 本当に魔女なのか?」
俺はとうとう我慢ができずに彼女に尋ねた。
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