第四章 第八話 マンティコアは無事に倒されました
「攻撃ダイスロール!」
マンティコアに近付きながら、俺はスキルを発動させる。四面ダイスを振り、魔力操作で意図的に魔法を決める。
そして威力判定ダイスでも、合計四を出してクリティカルにした。
「シャクルアイス!」
氷の拘束魔法を発動させ、魔物の肢体に氷が張り付く。
よし、これで相手はまともに動くことができないはず。
そして身動きが取れなければ、遠距離攻撃をしてくるに決まっている。
俺の予想どおり、マンティコアの尻尾が膨れ上がる。
「敵の遠距離攻撃が来る! 気をつけるんだ!」
仲間たちに注意をすると、シャルロットがいないことに気付く。
シャルロットがいない? いったいどこに行った?
「こんなに大きくするなんていけないですね。私が元に戻してあげましょう」
いた! いつの間にかマンティコアに乗っている。気配を感じさせないで移動したのは、さすがアサシンと言ったところか。
シャルロットが尻尾の根本に近づくと、握っているナイフを突き刺す。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
切り裂かれた部分から鮮血が吹く。彼女は魔物の返り血を浴びるも、眉一つ動かさないで真顔でいた。
「それそれそれ! その棘を放つことができる余裕があるのなら、どうぞやってください」
シャルロットは素早くナイフを動かし、連続で尻尾を攻撃する。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
彼女の攻撃に耐えられないのだろう。マンティコアは悲鳴を上げるように咆哮する。
肢体は拘束され、唯一の遠距離攻撃はシャルロットにより封じられている。
今の魔物は袋叩きの状態だ。
「このまま畳みかける!」
「分かったよウルク」
「了解した。私もシャルロットに続こう」
二人に総攻撃を仕掛けることを伝えると、俺はスキルを発動しようとする。
さて、何を使おうか。今のマンティコアは、肢体を拘束されている。そして遠距離攻撃の要である尻尾は、シャルロットの攻撃を受けて、あれ以上は膨張させることができない。寸止状態だ。
発射したくともできないのは、肉体的にも苦痛のはず。ならば、残りは口をどうにかするだけだ。
「ピッグイズピグレット! 豚になーれ!」
どんな魔法を使うのかを考えていると、キルケーが魔法を唱えた。
豚化の対象はマンティコアではなかった。やつが攻撃した際に飛ばした棘が豚に変わる。
「行け! 棘のピグレット!」
『ブヒブヒブーヒ!』
棘のピグレットは豚の形をしているが、身体の表面には無数の棘が生えている。
豚はマンティコアに接近すると跳躍し、身体の棘を魔物の肉体に突きつけた。
攻撃を受けた箇所から血が流れ、着実にダメージを与えていた。
キルケーの魔法、生物以外にも豚に変えることができるのか。ある意味なんでもありだな。
「思った通りだ! 魔物の一部なら、豚化が効く! これなら、棘のピグレット軍団を作り上げることができそうだよ。そーれ! ピッグイズピグレット!」
次々と豚化の魔法を唱え、地面に突き刺さっている魔物の棘を豚に変えていった。
「棘のピグレット! 陣形を組め!」
『ブヒブヒ』
『ブヒブー』
『ブッヒッヒ』
五体の棘のある豚が一列に並ぶと、その上に四体の豚が乗る。そしてさらに三体の豚が跳躍して乗り、最後の一体が一番上に乗ると三角形を形成した。
「キルケー、あんな陣形をとって大丈夫なのか? 足場の豚はダメージを受けるだろう?」
「そこは大丈夫さ。私の棘のピグレットは、棘の硬さを変えることができる。足場の棘は芝生のようになっているさ」
確かに足場となっている豚は血だらけになってはいないな。本当に棘の硬さを変えているのだろう。
「棘のピグレット! 突撃!」
キルケーが合図を出すと、三角形の陣形を作った豚たちが一斉にマンティコアに突っ込む。
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
数が増えれば威力も数倍。無数の棘に肉体を突き刺され、魔物は悲鳴を上げる。
「キルケーばかりウルク君にアピールをさせるわけには行かない。わたしだってやればできるってところを見せるよ」
キルケーの活躍に刺激を受けたメリュジーナが、闘志を燃やしたようだな。良い相乗効果が起きている。
二人はときどき言い合いをしているけれど、互いの負けん気が、己を高めている。良い傾向だ。
「喰らえ!」
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
メリュジーナの投げた槍がマンティコアの右目に突き刺さる。
そして今度は魔物に近づき、駆け登って槍を回収すると、背中に突き刺した。
「肉が分厚いせいで心臓に届かない!」
どうやらメリュジーナは、魔物の心臓を狙ったようだ。あの場所にやつの心臓がある。
「メリュジーナ、もう一度ドラゴンになることができるか? 俺を上空に運んでくれ」
「もちろんだよ! どこだって連れて行って上げる」
「シャルロット! 時間稼ぎはもう十分だ。一旦離れてくれ」
シャルロットに離れるように告げ、二人はマンティコアの背を降りる。そしてメリュジーナが俺のところに来るとドラゴンに姿を変えた。
そして彼女の背に乗り、俺は上空に上がる。
やつの背中が赤くなっている場所がある。心臓の位置はあそこだな。
「攻撃ロール」
四面ダイスを振り、出目を操作。そして威力判定のダイスを合計一にしてスーパークリティカルを出す。
「ウォーターカッター」
切断力のある水の魔法を発動すると、水が現れて一ミリほどの細さになる。そして細長い水はマンティコアの背に向けて放たれた。
切断力がある水は、魔物の肉体を貫く。しかし、これだけでは終わらなかった。貫かれたマンティコアは、まるで体内で爆発が起きたように肉片が吹き飛び、バラバラになる。
「ハハ、マジかよ」
あれだけ巨大な魔物を倒すには、スーパークリティカルしかないと思っていた。だけど威力がハンパない。エグすぎる。
「すごいよダーリン! あの巨大な魔物を一発で倒してしまうなんて!」
空中におり、この場には俺たちしかいないからなのだろうな。メリュジーナは俺のことをダーリンと呼ぶ。
「メリュジーナ。悪いけど地上に降りてくれないか? 多分大丈夫だと思うけど、被害状況を確認したい」
「分かった。一応ゆっくり降りるけど、気をつけてね」
メリュジーナがゆっくりと下降し、地面に降り立つと、俺は彼女の背から降りて周りを見渡す。
「凄いじゃないかウルク! あのマンティコアを一撃で倒すなんて」
「私でも足止めしかできなかったのに。本当に凄いです。ウルク様」
被害状況を確認していると、キルケーとシャルロットが俺に駆け寄り、称賛する。
ふぅ、よかった。二人とも無事だったようだな。あまりにも威力が桁違いだったから、巻き込んでいたらどうしようかと思っていた。無事で本当によかった。
マンティコアの肉片が飛び散っている以外は、特に自然を破壊するようなことには至っていないな。
『本当に凄いわね。まさかマンティコアまで一撃で倒してしまうなんて。その力、ますます欲しくなったわ』
エウリュアレの声が聞こえ、声がした方に顔を向ける。
彼女は人間離れした美しい姿から、魔物の姿へと容姿を変えていた。そして翼を羽ばたかせ、空中を浮遊している。
『さぁ、第二ラウンドといきましょうか』
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