第四章 第四話 モーニングスターの裏話
〜ウルク視点〜
はぁ、どうしてこんなに面倒臭いことになってしまったのかなぁ。俺たちはただ、この先にある町に行きたいだけなのに。
「テメェ! よくも俺様の可愛い手下たちを痛めつけやがったな!」
ごつい顔のおっさんが、怖い顔を作って俺を睨みつけてくる。
「なぁ、お前の足元に転がっている手下を見て気付かないのか? 絶対に俺には勝てないって」
「そんなこと知るか! 俺たち野盗は相手が何者であろうと、ここを通る者から金品を奪うことになっている」
そんな決まり、今直ぐにでも廃止にしたほうがいいぞ。
「その余裕な態度もここまでだ。俺様にはこいつがあるのだからな!」
男は手に持っているモーニングスターをぶん回す。
さっき何度も避けられたと言うのに、まだ諦めていなかったのかよ。
「ここからが本番だ! デカくなれ!」
野盗の頭がモーニングスターに向けて言葉を放つと、棘付き鉄球は二倍にも、三倍にも膨れ上がる。
「まだまだこれだけでは終わらせない! ビルドアップ!」
男が筋力を上げる魔法を発動すると、身体を捻って巨大な鉄球を振り回した。
「あの動きはハンマー投げのようだね、ウルク。一応気を付けていたほうがいい。下手に反撃をしたら、変な方向に飛んでいくかもしれない」
俺から少し離れた位置にいるキルケーが、気をつけるように言う。
確かにあれだけ大きい鉄球なんだ。当たればひとたまりもないだろう。だけど、だからと言って逃げ回るわけにもいかない。
「まずい! 目が回った」
どうやって反撃に出ようかと考えていたその時、野盗の頭は手を滑らせてモーニングスターを離してしまった。
棘付き鉄球は、町の方角に飛んでいく。
あっちは町がある方角じゃないか。運悪く何かを巻き込んでいなければいいのだけど。
「ダ……ウルク君。あいつは目を回している。捉えるなら今だ」
メリュジーナ、今ダーリンって言おうとして慌てて言い直したな。まぁ、二人っきり以外の時はダーリンと呼ばない約束だし、慣れてもらうのを待つしかないな。
それはそうとして、確かに捉えるなら今だ。
「攻撃ロール」
スキルを発動して三つのサイコロを出すと、先に四面ダイスを振る。回転を始めるサイコロに魔力を送って出目を操作する。
魔法が確定すると、今度は二つの十面ダイスを振り、威力をコントロール。トータルの数字は三十四、成功だ。
「ショック!」
「があああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
失神魔法が発動した直後、男は悲鳴を上げて倒れた。
「失神魔法ショックか。魔法で神経を活性化させ、心臓に戻る血液の量を激減させたことで、意識を失わせる魔法。本当にこの世界には面白い魔法があるね」
使った魔法を見てキルケーが解説をするけれど、俺にはよく分からない。
「とりあえず野盗たちを拘束して、町にいる衛兵にでも渡すとするか」
でも、どうやってこいつらを取り押さえておこうか。普通に縄で拘束するくらいなら、目が覚めたときに暴れて逃げ出してしまうかもしれない。
「こういうときは魔法に限るな。それ、ダイスロール」
ダイスを振って拘束具の魔法を発動させ、威力判定でゼロ、一のスーパークリティカルを出す。
「リストレイント」
すると何もない空間から猿轡が現れ、野盗たちの口を封じる。
続いて縄が現れると、奴らを亀甲縛りで身動きを封じた。
その光景を見て俺は苦笑いを浮かべる。
スーパークリティカルを出したらどんな拘束具が出るのだろう。そう思って出したのだけど、まさかこのような事態になるとは思わなかった。
はは、今のこいつらを連れて行かないといけないのかよ。これじゃ変態じゃないか。
だけど、さすがにこのまま放置しておく訳にはいかないよな。こうなったら細工をしておくか。
「ほら、立って歩け。お前たちを衛兵に引き渡すからな」
縄を引っ張り、俺は野盗たちを連れて行く。
「ウルク、私たちは後で町に向かうよ」
「ウルク君、後で合流しよう」
キルケーとメリュジーナが先に行くように促す。
やっぱり二人は着いてこないよな。まぁ、あたり前の反応だろう。
「分かった。それじゃあ、町の宿屋で合流をしよう」
あとで合流する場所を告げると、俺は先に町に向かう。
数分後に町の中に入ると、衛兵が歩いているのを見つけた。
よし、あの人に引き渡そう。だけどその前に。
「デバフロール」
スキルを使い、三つのサイコロを出す。
ここは念のためにもクリティカルのほうがいいだろうな。できるだけ恥ずかしい思いをしないようにしたい。
判定を行う十面ダイスを振り、ゼロと五を出してギリギリクリティカルを出す。
「インピード・レコグニション」
衛兵に認識を阻害する魔法をかけ、俺は彼に話しかける。
「すみません」
「何だ? 俺に何か用でもあるのか?」
用があるから話しかけたんじゃないか。それくらい分からないのかよ。
「先ほど野盗を捕まえたので、引き取って欲しいのですが」
俺は縄を引っ張り、拘束された野盗たちを見せる。
「そうか。それは礼を言わないといけないな。ご協力感謝する」
ふぅ、どうにか認識阻害の魔法が上手く効果を発揮してくれたな。この男は亀甲縛りの状態の野盗たちを見ても、違和感を覚えてはいなさそうだ。
「それではお願いします」
衛兵に野盗を引き渡すと、俺は急いで彼から離れて行く。
魔法が解けたら、もしかしたら羞恥心に襲われるかもしれないけれど、そこは我慢してくれ。なるべく笑われないことを祈っているからな。
「さてと、待ち合わせにしている宿屋を探すとしますか」
宿屋の看板を探して町中を歩く。
町の宿屋はどこにあるのだろう? しばらく探しても見つからなかったときは、誰かに聞くしかないな。
「うわっ!」
宿屋の看板を探していると、前方不注意で誰かとぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
「いえ、俺のほうこそ……」
途中まで言いかけ、俺は言葉を詰まらせる。
どうしてあなたがここにいる!
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