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第四章 第二話 勇者ファミリー塔の攻略

 〜勇者の息子トロイ視点〜




 俺ことトロイは、早朝から己の身体を鍛えていた。


「ウー、ハッ! ウー、ハッ!」


 拳を交互に前に突き出しながら稽古に勤しむ。


 絶対にエウリュアレさんの大切な水晶を奪い返してみせる。


 頭の中でウルクを思い浮かべ、目の前にやつがいると想像しながら拳を放った。


 俺の脳内では、素早い動きについてくることができずに、やつは拳を受け、顔面を真っ赤にしている。


 いい気味だ。次は妄想の中ではなく、リアルでお前の顔を蒸れたトマトのようにしてやる。


「ふぅ、そろそろ終わりにするか」


 タオルで身体中に流れた汗を拭い。宿屋に入る。


「お兄様、今日の稽古気合いが入っていたね」


「何だ見ていたのか?」


 部屋に入るなり、妹のハシィが声をかけてきた。


「たまたまよ。いつも以上に気合いを入れていたのは、塔の攻略のため?」


「まぁ、そんなところだな。楽勝だと思うが、念には念を入れておきたい」


「頑張ってよね。私、陰ながら応援するから」


「何を言っている。塔の攻略にはお前も来るじゃないか。まさかサボるつもりなのか? 親父にバレたら大変なことになるぞ」


「違うわよ。私が応援しているのはお兄様の恋よ。好きなんでしょう、エウリュアレさんのこと」


「な、何を言っている!」


 俺は思わず大声を出してしまう。


「隠さなくても分かっているって。お兄様の態度を見ればバレバレだもの」


 まさか、ハシィにバレてしまっていたとは。待てよ、ハシィに気付かれたと言うことは。


「なぁ、ハシィ? もしかしてエウリュアレさんも」


「当然気付いているでしょうね。お兄様単純だから、行動で直ぐにわかるもの」


 マジかあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!


 このあとの俺って、どうやって彼女と接すればいいんだ!


「大丈夫よ。女性って、自分のことが好きなんだと分かると、妙に意識してしまうもの。ここでお兄様が奪われたものを取り返して、エウリュアレさんに渡せば、彼女もお兄様のことを好きになってくれるはず」


「そうか。そうか。断然やる気が出てきたぞ!」


 俺が水晶を取り返せば、エウリュアレさんと結ばれる。何があっても、絶対に取り返してみせる。


「とりあえず着替える。少し席を外してくれ」


「はーい」


 ハシィが部屋を出て行くと、俺は着替えて身支度を整える。




 二時間後、俺たちは水晶がある塔の近くまで来ていた。


「塔の入り口には見張りの男が二人いるな」


 岩陰に隠れながら、親父が塔の様子を伺う。


「ここは俺に任せてくれ」


 こんなところで時間を費やす訳には行かない、一秒でも早く、あの塔に隠された水晶を取り戻さなければ。


「よお、見張りご苦労さん」


「誰だ! 貴様!」


「この塔になんの用だ!」


 塔に近づくと、当然ながら見張りの男たちが警戒する。


 まずはあいつらの警戒を解かなければな。


「すまん、すまん。ちょっと道に迷ってね。地図を見せるから、場所を教えてくれないか?」


「何だ迷子か?」


「いったいどこに行きたい」


 ポケットに手を突っ込み、地図を取り出すふりをしながら二人に近づく。


「バーカ! そんなものねぇよ!」


 距離が一メートル以下になったところで、俺はポケットから手を出す。そして拳を作り、見張りの男の顔面に拳を叩き込む。


「ガハッ」


「お前、何を……グホッ」


 続けて隣にいる男にボディーブローを食らわせる。見張りの男たちは、無様に地面に倒れて動かなくなった。


「どうやら気を失ったようだな」


 後方から親父の声が聞こえて振り返る。


「ああ、今からこいつらの持ち物を調べて鍵を探そうと思う」


「なかなかやるが、まだ爪が甘いな。おりゃ!」


 親父は見張りの兵士の身体を蹴り上げて塔に当てた。


「気を失わせただけなら、意識が戻れば仲間を呼ぶかもしれないだろう。意識が戻っても動けないようにしておかないとな。こいつらは半殺しだ」


 さすが親父だ。勇者として、一手も二手も先のことを考えている。


「トロイとハシィもやれ、どうせこいつらはウルクの差し金だ。あいつに加担すると言うことは、勇者の邪魔をすると言うことだ」


「そうだな。悪に加担するやつは、俺たち勇者ファミリーが成敗しなければ」


「私も防御力が減る魔法を使うね」


 俺たちは見張りの兵士を何度も殴る、蹴るといった暴行を繰り返した。


 肌が露出しているところは青痣ができ、とても直視できない状態にまで叩きのめす。


「これくらい痛めつけておけば、問題ないだろうよ。トロイ、ハシィ、こいつらの所持品を調べろ。ついでに役に立ちそうなものがあればもらっておけ。存在が正義である勇者の俺が使うべきなのだからな」


「でも、それは犯罪になるんじゃ?」


「そんな訳があるか! 俺には勇者保険がある。物を奪っても問題ない」


「そう言えばそうだったな。分かった」


「お! この男なかなか綺麗な指輪をつけているじゃない。これは私が貰っておくわね」


 全く、ハシィは宝石や装飾系には目がないな。まぁ、女の娘だから当たり前だろうな。


 見張りの男たちの所持品を調べていると、塔の扉の鍵と思われる物を発見した。


 試しに扉の鍵穴に差し込むと、中に入った。だが、形が少し違うようでロックが解除することができない。


「この鍵じゃないようだな」


「おい! なにチンタラやっていやがる! さっさとしないと騒ぎを聞きつけて誰か来るかもしれないじゃないか! もういい! お前たちに任せた俺がバカだった! こんな扉、最初からこうすればよかったんだ! 大切斬!」


 親父が剣を抜くと水平に構えて横に振る。すると扉が真っ二つになり、ぶっ壊れて中が見えるようになった。


「よし行くぞ!」


 親父が先に歩き出し、俺とハシィは後ろを着いて行く。


 塔の中はほぼ空洞で、壁に沿って階段が螺旋状になっている。俺たちは階段を登り、最上階に辿り着く。


「どうやらここが最上階の部屋らしいな」


「見て! あそこ!」


 ハシィが指を差す。


 向けられた方角を見ると、そこにはエウリュアレさんの言っていた水晶が台座に置かれてあった。


 俺はゆっくりと水晶に近づく。


 これさえ持ち帰れば、エウリュアレさんは俺のことを。


 水晶に手が触れた瞬間、耳を(つんざ)くような大きい音が鳴り響く。


「この音はいったいなんなの」


「分からない」


「トロイ、ハシィ! 油断するな。どうやらトラップが仕掛けられていたみたいだ」


 警戒するように親父が言うと、部屋の壁が開き、中から何かが現れる。


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