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第四章 第一話 寝起きドッキリ布団の中には全裸の少女

 〜ウルク視点〜




 うん? 何だ? 今朝はやけに身体が重いな。いったいどうしてしまったんだ? それに身体が思うように動かせない。


 俺は今朝、目が覚めると身体が動かないことに気づいた。


 これはいわゆる金縛りと言うやつか?


「マジかよ。俺、金縛りは初体験だぞ」


 あれ? 声が出た。声が出ると言うことは金縛りじゃないのか?


 とにかく、今の現状を知る必要がある。


「洞察ロール」


 試しにスキルを使ってみると、三つのサイコロが現れる。


 よし、スキルは使える。これなら、俺の身体が動けない原因を知ることができる。


 四面ダイスに魔力を送って操作する。狙いどおりに透視の魔法がダイスの出目に現れた。


 あとは判定ロールだな。別にこれはクリティカルを狙う必要はない。だから最低限の魔力操作程度で良いだろうな。


 十面ダイスに魔力操作を行う。十の位は四、一の位は九だ。


 四十九か。ギリギリ成功だけど、まぁ、こんなものだろう。


「パースペクティブ」


 魔法が発動すると、俺はベッドの中を透けさせて見る。


 ど、どうしてメリュジーナが俺の布団に潜り混んでいるんだよ! しかもどうして裸なんだ!


 俺は心の中で叫ぶ。


 今の俺は全裸の彼女に抱きつかれ、身動きが取れないように尻尾で拘束されていた。


「メリュジーナ起きてくれ! どうしてそんな格好で、俺のベッドの中に潜り込んでいるんだよ!」


 ベッドの中にいる彼女を起こそうとして声をかける。


「まだ体温が上がっていない。あと一度待って」


 何だよ、あと一分みたいな言い方をして。


 どうにかして彼女を起こそうとするも、身体がまったく動かせない。


 結局のところ、メリュジーナが覚醒するまでの間、俺は彼女の裸体を堪能することになった。


「おはようダーリン。いい朝だね」


 ようやく目が覚めたようで、メリュジーナは布団から顔を出した。


「どうしてお前が俺のベッドにいる! しかもどうして裸なんだ!」


「すごい! どうして今の私が裸だって分かったの! 動けないようにしっかりと拘束していたのに」


「それは、俺のスキルで分かった。それよりも、どうして俺のベッドの中に潜り込んでいた!」


「それは私がフェアリードラゴンだからだよ。私の身体は人間とは違い、蛇のように体温を上げないと、朝は動くことができない。だから体温を上げやすくするために、ダーリンの温もりを感じながら眠っていたんだ」


「だったらどうして服を着ない! 服を着れば体温を上げる必要はないだろう!」


「私は寝るときは何も身に付けない派だ」


 メリュジーナの言葉に、俺は何も言えなくなる。


 できることなら、そんな性癖は知りたくなかった。


 とにかく彼女が退いてくれないと何もできないよな。


「って、いきなり布団を剥ぐな! 見えるだろう!」


「え? でもダーリンはスキルで既に見ているのでしょう」


「もう効果が消えているから! こんなところをキルケーに見られたら色々と面倒なことに――」


「おはよう! ウルク(ピグレット)! 今日も元気……に」


 ノックをしないで部屋に入ってきたキルケーは、俺たちを見ると動きを止めた。


「待て! 誤解だ! お前が考えているようなことは決してやっていない!」


ウルク(ピグレット)! なに朝っぱらから寝起きイベントをやっているのさ! こうならないために、あれほど寝る前は鍵をかけろと言っていたじゃなか!」


 キルケーが声音を強めながらこちらに来る。


 彼女が怒っていることはすごくわかる。だけど、異世界の言葉を使って叱っているせいで、全然怒られた気がしない。


 寧ろ、この後の俺はどうすればいいんだ?


 とにかく謝ったほうがいいよな。


「ごめん」


「分かればよろしい。ハーレム系ならこんなラッキースケベは起きて当然だ。寧ろこのフラグを回避するほうが難しい。だけど、その役目は私だ。メリュジーナではない。フラグが成立しないように、寝る前にはちゃんと鍵をかけること。いいね」


「はい」


 うん、やっぱり殆ど理解ができないから怒られた気がしないな。だけど、寝る前の戸締りをしっかりすることだけは理解できた。


「ほら、メリュジーナは床に落としている自分の服を着なさい。そして早くこの部屋から出るよ」


 床に落ちている服を掴むと、キルケーはメリュジーナに服を着せる。


 まるで姉妹のようだな。


 数分が経ち、メリュジーナが着替え終わると、二人は部屋から出て行く。


「さてと、俺も着替えるとするかな」


 ベッドから降りて着替えを済ませると、部屋を出た。廊下には、先ほど部屋から出て行った彼女たちがいた。


「待っていてくれたのか」


「今更部屋に戻っても直ぐに出発しないといけないからね。それなら廊下で待っていたほうがいい」


「そうか。それじゃ行こうか」


 俺たちは宿屋を出るとギルドに向かう。


 まだ、報酬金をもらっていなかったからな。ギルドマスターに金を貰いに行かないと。


 しばらく歩き、ギルドに辿り着く。そして扉を開けて中に入った。


「ありがとう! この町を救ってくれて」


「本当に助かった! お前たちは俺らの英雄だ!」


「感謝している! この恩は一生忘れないからな!」


「本当にスゲーぜ! あの緊急クエストをクリアしてしまうなんて」


 ギルドに入った瞬間、俺たちは冒険者たちから称賛される。


 突然のことで、思わず呆けていると、おっさんが俺のところにやって来た。


「あのときはお前をバカにしてすまなかったな。お前はこの町の英雄だ。きっと、お前が勇者パーティーを支えていたのだろう。何も知らなかったとは言え、あの時は無礼なことをした。謝らせてくれ」


 男は俺に頭を下げる。


 そう言えば、そんなこともあったな。色々とありすぎて、すっかりそのことを忘れていた。


「あんたの腕は大丈夫か」


「ああ、お陰様で冒険者生活には支障がない。喧嘩をふっかけておきながら、自滅した俺の腕を直してくれてありがとう」


 俺はヘカトンケイルの討伐に向かう前に、この男をスキルで治療してやった。さすがにAランクの冒険者を失うのは、ギルドにとって大きな痛手だからな。


「ギルドマスターがお待ちだ」


 背中を軽く押され、俺はギルドマスターのところに向かう。


「待っていた。ウルク、君のお陰でこの町は救われた。ギルドマスターとして礼を言う」


 軽く頭を下げた後、彼はテーブルの上に札束を置く。


「これが今回の報酬だ。納めてくれ」


 札束を受け取ると、俺は枚数を数える。


 一、二、三……九十八、九十九、百。百万ギルか。当たり前だけど王様の依頼に比べれば少ないなぁ。もし、大勢で緊急クエストを受けていたら、金額の少なさに暴動が起きていたかもしれない。いや、実際にはちょっとした暴動は起きていたか。


「ウルク、この後はどうするんだ?」


 報酬金を仕舞うと、ギルドマスターが今後について訪ねてきた。


「もし、お前が良ければこのキルドの専属冒険者にならないか? 専属になれば報酬金額が割増しになるぞ」


 専属になれば報酬金が割増しになるのか。それはそれで魅力的だな。


 悩んでいると、空気を読んだのか読んでいないのか分からないタイミングで、俺の前に人生ダイスが現れた。


 回転を始めてテーブルの上に落ちると、出目には『塔のある町に行く』と表示されていた。


「すまん、ギルドマスター。その件は断らせてくれ。次の目的地が決まった」


 俺は彼に謝ると、キルケーとメリュジーナを引き連れてギルドを出て行く。


 最後まで読んでいただきありがとうございます。


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