第三章 第七話 メリュジーナの覚醒
〜メリュジーナ視点〜
すごい、すごい、すごい! さすがダーリンだ!
わたしことメリュジーナは、ミノタウロスを倒したダーリンを見て、心の中で彼を褒める。
『そんな! まさかミノタウロスの本体である。あの部屋を一気に吹き飛ばすなんて』
どうやらあの女は、ミノタウロスが倒されると思っていなかったみたいだね。だけど、これは決定事項だ。何せわたしの未来予知で、事前にわかっていたことだから。
「ミノタウロスの動きは滅茶苦茶のようで不自然だった。まるで部屋を壊さないように気を付けながら斧を振り回していた。メリュジーナが槍で心臓を貫いたとき、悲鳴すら上げなかったやつが、俺の魔法で床の一部を破壊した程度で悲鳴を上げた。それらを組み合わせて考えれば、あの部屋がミノタウロスの本体だったと言うことに気付くことができる」
さすがダーリンだ! あんな些細なことに気付くなんて!
「凄いよ! ダ……ウルク君。あんな些細なことに気付けるだなんて」
声に出して彼を褒めるも、わたしは心の中でため息を吐く。
はぁ、どうして心の中では彼のことをダーリンと言えるのに、実際に声に出して言うと、言葉に詰まってしまうのだろう。
でも、今はそんなことよりも目の前のことに集中しないと。
握っている槍を構え直し、いつでも飛び出せる状態にする。
『なるほど、中々の観察眼ね。ますます欲しくなってきたわ。絶対にあなたを私のものにしてみせる。何百年も岩の中に封印されていたのだもの。ようやく神に反撃する機会が訪れたのだから、一人でも手駒を多くしておかないと』
「なんだって! それじゃあ災害級の魔物はミノタウロスではなく君だったのか!」
衝撃的な告白に、わたしは驚く。
確かに私が見た未来では、ダーリンがミノタウロスを倒していた。だから、災害級の魔物はミノタウロスだと思い込んでしまっていた。
『どんな手を使ってでも、私の手駒にしてあげる。本当はこんな姿にはなりたくないのだけど、手段を選んではいられないわ』
人間離れの美しい女性が指を鳴らす。すると、彼女の髪が無数の蛇に変わった。背中からは黄金の翼が生え、手は青銅になる。
「髪が蛇になっただと!」
彼女の髪の変化に、キルケーが驚きの声を上げる。
「人間離れした美しい容姿、それに蛇の髪。この組み合わせから考えたら、君の正体はゴルゴーン三姉妹のメドゥーサだね!」
キルケーが女性の名前を言う。
メデューサの名前はわたしも聞いたことがある。石に変える力を持っているとか。
『へぇ、あなた知っているの? でも残念ね。私はメドューサではないわ。私は姉のエウリュアレ』
「エウリュアレだったか。確かに伝説では、三姉妹とも化け物になっていたね」
『私を化け物呼ばわりしないで!』
キルケーの言葉にエウリュアレは激昂する。だけど、その瞬間彼女は消えた。
うそ! いったいどこに行ったの!
『私を化け物と呼んだことを後悔させてあげる!』
女の声が聞こえ、私は声がしたほうに顔を向ける。
いつの間にキルケーの目の前に移動したんだ! 全然見えなかった。
エウリュアレの髪の蛇が、キルケーの首に巻きつく。
『どう? 苦しいでしょう? 痛いでしょう? だけど私の心が受けた痛みはこんなものではないわ!』
キルケーの顔色が悪くなっていく。このままでは、彼女が殺されてしまう。
早く助けないと! でもどうしよう。今から駆け寄っても間に合わないような気がする。
「ウエポンアロー!」
迷っていると、ダーリンが魔法を唱えて剣を飛ばす。彼の放った得物は、蛇の髪を切断した。
「ゴホッ、ゴホッ、助かったよ。ウルク」
「あいつ、一瞬でキルケーの前に来たな」
「彼女がエウリュアレなら当然だ。彼女の名は遠くに飛ぶ、広く彷徨うを意味する。だから名前の持つ言霊を力に変えていたのなら、できない芸当ではないよ」
『私の名前に気づいただけではなく、能力まで見破るなんて驚きだわ。あなた何者なの』
「私は大魔女キルケーだ! 大魔女だからある程度のことは知っているぞ! ゲームやアニメでファンタジーの知識を得ているからな」
『ゲーム? アニメ? まぁ、そんなことどうでもいいわ。今わかっていることは、あなたの存在が計画の邪魔になりそうだと言うこと。だから、真っ先に始末してあげる』
再びエウリュアレが消えた。またキルケーが狙われる。
「そうはさせない!」
わたしは握っている槍をキルケーの前に投げる。投擲は得意なほう。彼女が現れた瞬間に槍が突き刺さるはず。
『あはは、やっぱり引っかかってくれたわね! 今の言葉は大魔女とか言う女に注目させるためのフェイク。本当の狙いはこっち』
エウリュアレの声が聞こえた方に顔を向ける。彼女はダーリンの背後にいた。
このままではダーリンが捕まってしまう。
「ダーリン!」
このままでは彼が危ない。どうにかして助けないと。
そう思った瞬間、身体が一気に熱くなる。あまりの熱さに耐えきれず、思わず両の瞼を閉じた。
しばらくして熱が治まり、わたしは閉じていた瞼を開ける。すると、ダーリンたちが小さくなっていた。
これはもしかして。
わたしは自分の手を見ると、人のものではなかった。
「わたし、ドラゴンになっている!」
『ウソ! あの娘ドラゴンだったの!』
わたしを見て、エウリュアレは驚く。
「そう、私は竜と妖精を親に持つフェアリードラゴン! ダーリンは渡さない!」
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