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第三章  第一話 防衛戦準備のためにメリュジーナのことを知ります

 〜ウルク視点〜




「さて、それじゃあ作戦会議だな」


 災害級の魔物を倒すために残ったメンバーを見ながら、俺は会議を始める。


「まずは敵の情報だけど、メリュジーナが見えた映像だけが頼りだ。どんな感じだったのか教えてくれるか?」


 唯一残ってくれた冒険者の女の娘に視線を送り、情報を開示するように促す。


 すると、彼女はなぜか頬を赤くして、ボーとしていた。


 もしかしてこのタイミングで風邪か? それは困ったな。今は一人でも多くの戦力が必要なのに。


「顔が赤いけど風邪でも引いたか……いや、平熱だな」


ウルク(ピグレット)! それはアウトだ! 何で君は知り合ったばかりの、しかもこんなに綺麗な女の娘の額に手を置いて、熱を測ることができる!」


 メリュジーナの額に手を置いて高熱がないかを確かめていると、キルケーがいきなり大声を出して俺を引き離す。


「いやだって、万が一高熱があったら心配するじゃないか。これから災害級の魔物と戦わないといけないときに、体調を崩されても困るからな」


「だからって、いきなり手で熱を確認しないだろう。君はあれなのか! 天然ジゴロ系ラブコメ主人公の素質を持っているのか! 自覚なしに周りの女の娘の好感度を上げて、ハーレムを作ろうとしているのか! それは私が許さないからな」


 キルケーがまた、意味がわからないことを言ってくる。


 何だよ、天然ジゴロ系ラブコメ主人公って。


「キルケーさんの言葉の意味は殆ど理解できないが、ダ……ウルク君、ハーレムなんてものはわたしも許さないからね」


 どうしてメリュジーナも、怖い顔をして俺を咎める?


「キルケーが余計なことを言ったせいで、話が逸れているじゃないか」


「誰のせいだよ」


「えーと、ダ……ウルク君はわたしが見た映像の魔物を知りたいのだよね。ちょっと待って。今思い出すから」


 メリュジーナは目を瞑ると両手を頭の上に置く。


「えーとね。確か牛の頭、いや仮面かな? そんな感じの大男かな? ごめん、映像が一瞬すぎてあまり覚えていない」


「うーん、その特徴からしてミノタウロスかもしれないね。でも、ミノタウロスだったとしても、どうしてそれが災害級なんだろう」


 メリュジーナが教えてくれた特徴から、キルケーがミノタウロスではないかと言う。


 キルケーはその魔物を知っているのか?


「なぁ? キルケーは、ミノタウロスを見たことがあるのか?」


「この目で実物を見たことはないよ。言い伝えで特徴を知っているだけさ。ゲームや漫画なんかにも出てくるけれど、そこまで大騒ぎになるような魔物ではなかったと思うのだけどなぁ」


 またキルケーが、理解不能な言葉を言うな。だけどまぁ、ミノタウロスを見たことはないけど、言い伝えではそんなに強い魔物ではないことだけは伝わった。


「予想ではあるけれど、相手の正体が分かった。ギルドマスター、災害級の魔物はいつこの町に来ると予想している?」


「あくまでも予想だが、明日の早朝には来ると思う」


「明日の早朝!」


 マジかよ。もう残り時間が殆どないじゃないか。


「準備時間も殆ど残されていない。だけど、俺たちができることをしよう。メリュジーナ、君のことをもっと教えてくれないか」


「え! いきなりどうしてそんなことを聞くの? 今はわたしのことなんて話している場合じゃ」


「いや、君のことをもっと知りたい。そうしないと、ダメなんだ」


「分かった。ダ……ウルク君がそこまでわたしのことを知りたいのなら教えるよ。わたしはこの町の生まれで、父親はドラゴン、母親は妖精だ。二人の間に生まれたわたしはフェアリードラゴンと言う種族扱いされている。スリーサイズは恥ずかしくて言えない。でも子供は三人くらいは欲しい」


 あれ? メリュジーナはもしかして勘違いしているのか? 俺が知りたいのはそんなことじゃないのだけど。


「ごめん、俺が訊きたかったのは使っている武器とか、どんな闘い方が得意なのか何だけど」


 本当に求めている情報が何なのかを教える。すると、彼女はピタリと動きを止めて再び顔を真っ赤にした。


「それならそうと言ってよ! 勘違いして恥ずかしいじゃないか!」


 羞恥心で感情を抑えきれなかったようだ。メリュジーナは声を上げると、猛スピードでギルドから出て行った。


「あれはウルク(ピグレット)が悪いよ。それにしてもフェアリードラゴンか。まぐわったときはどうしたのだろう。体格に差がありすぎるじゃないか。いや待てよ、モルガンはマーリンの魔術でアーサー王の子を宿してモードレットを生んだ。そんな感じなら納得がいくな」


 俺の隣でキルケーが三度意味の分からないことを言い出す。


 独り言だから気にはしないけれど、最近は平気で異世界の言葉を使うから困ったものだ。


 まぁ、俺が理解できるように頑張ればいいだけなのかもしれないけれどな。


 しばらく待ってみるが、メリュジーナが戻ってきそうにもない。


「中々戻って来ないな。俺、ちょっと探してくる」


 ギルドから出ると、俺は町中を駆けてフェアリードラゴンの女の娘を探す。


 最後まで読んでいただきありがとうございます。


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