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第二章 第九話 見つけた!私のダーリン!

 〜メリュジーナ視点〜




 わたしことメリュジーナは、次々とギルドを出て行く冒険者たちを見てため息を吐く。


 はぁー、皆んな相手が正体不明の魔物だからと言って逃げ出さないでくれよ。私だって本当は逃げたいさ。だけど、この町は小さいころからの思い出がたくさんあるんだ。そう簡単には見捨てることができない。


 わたしは弱い。ドラゴンのお父さんと、妖精のお母さんの間に生まれたフェアリードラゴン。竜と妖精の力を授かっておきながら、ドラゴンに変身することもできないし、魔力も小さくて魔法もろくには使えない落ちこぼれだ。


 ノアとか言う、おっさんエセ勇者を煽るだけ煽って勝負で負けるほどのザコだ。


 それでも、この町と共に生きたいという思いは強い。どうせこの町と共に滅びるのなら、町のために戦って死ぬ方がいい。


「取り敢えず、私だけでもギルドマスターに声をかけようかな」


 顔を上げてギルドマスターを見た。すると、若い男女が彼に近づく。


 年齢からして十六、七歳くらいかな?


 わたしは聞き耳を立てると、どうやら緊急クエストに参加してくれるらしい。


 よかった。私一人で戦わずに済む。


 見た目は普通だね。別に身体が鍛えられているわけでもなさそうだ。魔法使い系かな? わたしの武器は槍だ。前衛と後衛に別れて戦うことができそうだな。


「え! うそ!」


 わたしは驚く。黒髪の男の子を見ていると、脳内に映像が浮かび上がった。


 これは私のユニークスキル【未来予知】だ。時々しか発動しないが、未来を見通すことができる。


 見えた映像は男の子が災害級と思われる魔物と戦い、やつを倒すシーンだ。


 彼が魔物を倒して、この町を救ってくれる。


 希望が見えたと同時に私の鼓動は高鳴っていた。


 やった! 彼がこの町を救ってくれる!


「う……そ……そんな……ことってあるの?」


 私の鼓動は更に激しさを増した。


 窓に映る自分を見ると、顔が真っ赤になっていた。


「あの人がわたしのダーリン?」


 こんなこと一度もなかった。短時間で二度も未来予知が発動するなんて。


 見えた映像には、私がウエディングドレスを着て、彼はタキシード姿で教会の前にいるのだ。


 遠くない未来で、わたしはあの人と結婚する。


 ど、どうしよう! なんて声をかければいいんだよ!


 驚きと恥ずかしさで頭の中が混乱していると、ギルドマスターが弱気になっているのが見えた。そして緊急クエストに参加するのは止めろとまで言い出す。


 あんたが緊急クエストを止めることを止めろ!


 このままではあの未来が実現できなくなる! そうなったら結婚どころじゃないよ!


「そこの彼が言っていることは本当だよ。わたしには見えた。彼が封印された魔物を倒す光景が」


 気が付くと、わたしはギルドマスターに声をかけていた。


 やっちゃった! とにかく、ここは冷静を装って普段どおりのわたしを演じないと。


「えーと、君は?」


 男性がわたしの名を訊ねる。


「わたしの名はメリュジーナ。ここの町で育った冒険者だよ。よろしく」


「俺の名はウルク・アビス。こいつは連れのキルケーだ」


「ちょっとウルク(ピグレット)! 私をこいつ扱いしないでくれるかい?」


 愛豚(ピグレット)! この娘、わたしのダーリンになんて言い方をしているんだよ! どこが豚なんだ! 全然ほっそりとしているじゃないか!


「えーと、俺が封印された魔物を倒すってどういうことだ? 見えたって?」


「あ、ああ。わたしのユニークスキルなんだ。殆ど発動しない気まぐれなスキルなんだけど、未来を見ることができる」


「何だって! そんなすごいスキルがあるんだ! ウルク(ピグレット)! 私と君の未来を見てもらおうよ」


 この娘、確かダーリンがキルケーとか言っていたよね。わたしの話を聞いていなかったのかい? 殆ど発動しないって今説明したばかりじゃないか。


 そんなことよりも、あなたはダーリンとの明るい未来はない! 彼の隣にいるのはわたしなんだ。


「うーん、君は隣の人とは将来上手く行かなくって、離れる未来が見えた」


 わたしは咄嗟に嘘を付く。


 いや、正確には嘘ではないよね。本当の未来予知では、私がダーリンと結婚しているのは事実なんだから。


「そんな! 一体何がどうしたらそんな未来が起きる!」


「それを聞かれても分からないよ。わたしの未来予知は万能ではないのだから」


「えーと、取り敢えずはメリュジーナが見えた未来では、災害級の魔物を倒している。だから緊急クエストを受けても問題ないと」


 ダーリンがわたしの名前を呼んでくれた! こんなに早くわたしの名前を覚えてくれるなんて! やっぱり運命の赤い糸で繋がれているんだね!


「そう言うことだ。ダ……ウルク君」


 わたしのチキンやろう! どうしてダーリンと言おうとして、ウルク君なんて言ってしまうんだ! そのままダーリンと言えばインパクトがあって、わたしを印象付かせることができるじゃないか! わたしのバカ、バカ、バカ!


「わかった。メリュジーナの言うことを信じよう。ギルドマスター。緊急クエスト、俺たちだけでも受けていいよな?」


「分かった。メリュジーナのスキルは俺が保証する。彼女が勝利するのが見えたと言うのなら、俺もギルドマスターとして戦いに参加しよう」


 やった! これで災害級の魔物を倒して、わたしとダーリンが結婚する未来がやってくる!


「頑張ろうね! ウルク君」


 ああ、どうしてわたしはダーリンと言う四文字の言葉が言えないんだよ。


「ああ、頑張ってこの町を守ろう」


 心の中で嘆く中、ダーリンがわたしに手を差し伸ばす。そんな彼の手を、わたしは両手で包み込むように握った。


 絶対にダーリンとの結婚を実現するために頑張るぞ!



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