最終話 ~戦争~
ゲルマニア王国はフィレンシア国の共産化を止めるために、戦争を行った。フィレンシアは世界中を共産国にしようともくろんでいた。
「あいつらを駆逐しろ」
ユーナは司令官となり、戦地に赴く。戦場では銃撃と魔法が繰り広げられて、人がごみのように死んでいった。
「おい、まだか」
ユートは極秘資料を集め、ゲルマニア王国の情報収集を行っていた。どこから戦車がやってくるのか、それから戦闘機がやってくるのかをユートたち軍幹部は考慮しつつ、国民をどうやって共産主義者に変えて、戦争へと扇動するのか、様々なやることがあった。
一方ゲルマニア王国でも同じことを考えていた。戦争に反対するものをどうやって抑え込むのか考えて時に法律を作り、戦争反対者、特に共産主義者たちを排除した。
戦争は数か月続いた。
ユートもユーナも司令官として様々な大きな闘いの戦略を練り、そして勝利と敗北を拭繰り広げた。
もともとフィレンシアとゲルマニアは国境線でつながっていたので、そこが激戦地となった。
ユートとユーナはお互いのことを新聞で知っていた。そして互いに密約をする機会もあった。ユートはゲルマニアを共産化するために戦い、ユーナはフィレンシア国を亡ぼすという結論で終わった。
ユーナはただぼんやりと不思議な魔力を与えられた自身とユートのことも考えていた。負けた方が死ぬ。
それだけは確かだ。現にこうして戦場では幾千もの人が血を日々流している。
ユーナは激戦地に一度赴いて腕から炎を出し、フィレンシアの兵士を焼き尽くしたことがあった。
ユートはゲルマニアの空爆機を指から出した矢で爆発させて粉々にした。
戦争は徐々にゲルマニアが優勢となっていく。
ユーナはそうあるべきだと思っていた。理由はフィレンシアの反共産主義者が内側から情報を盗み出してゲルマニアに送っていたことだった。
ユートは彼らを見つけ次第に処刑した。
そして終戦の日は近づいていった。
フィレンシア国は崩壊した。ある晴れた日のことだった。
ユートはゲルマニアに降伏した。
戦犯としてユートは処刑されることに決まった。
ユーナとユートが密談を交わす。
それは処刑前のことだった。
「あなたのことを覚えている」
ユーナは言った。
「僕だって君のことをずいぶん前から知っていたよ」
「悲しい運命ね。処刑されるなんて」
「そういうものさ。人生なんて」
「でもね。もしかしたら死んだ後にもとの世界に戻れるかもしれない」
「そうなったら君はここに一人ぼっちだね」
ユートは笑った。
次の日、ユートは処刑された。ユートが元の世界に戻ることはなかった。
ユーナは戦争で勝利したが、様々な軋轢から失脚した。
そして数年後に自ら命を絶った。
その異世界の歴史の教科書に名前を残した二人は、もう跡形もなく消え去った。




