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プロローグ ~戦争の始まり~

 太陽が輝く。平和だった国はもう終わった。ゲルマニア王国の最高司令官であり王女のユーナは演説をしている。百万の国民が会場を埋め尽くした。巨大な印のついた旗が風に揺れていた。


「これから戦争が始まります。太陽が輝く心地のいい日ですね。私たちの国ゲルマニア王国はフィレンシアに対して宣戦布告を行いました。すべてはこの国を取り戻すためなのです」

 ゲルマニア王国の王女ユーナはそう言って演説を続けた。観衆数万がじっと彼女の演説を聴いている。

「我がゲルマニア民族は不屈です。誰にも負けることはないでしょう。フィレンシアの犬どもをぶちのめしてしまいましょう。私たちは神に選ばれし民族です。あの下劣なフィレンシアの汚い肌と顔つきを見てください。神は芸術と美しさを愛するのです。あのような小汚い犬どもには屈辱を与えてやりましょう。彼らには存在価値はないのです。崇高なゲルマニア民族に比べればね。私は国のために血を流す覚悟だ。平和と自由は戦いの中に存在し未来は自らの手でつかみ取るのだ」

 ユーナはそう言って聴衆を眺めた。

「力こそがすべてを支配するのは自然の摂理です。人間は常に上に上がることしかできない。つまり戦いこそが私たちの存在証明である。人間はそこから逃れることはできない」

 ユーナは怒声を上げた。

「屈辱の虐げられた歴史を決しては私は忘れることはないでしょう。私たちはね様々なものを手に入れてはすべて失ってしまいます! わかりますか? この意味が?」

「閣下それはいったい?」 

 突然陸軍将校が叫ぶ。

「だまらっしゃい」

 ユーナは首でもはねてやろうかと思った。数百万の群衆が今のやりとりを見て、ユーナの残虐性と彼女の持つ陶酔性を知ったのだ。


 観客の中には残念なことにユーナの陶酔を理解できないものがいた。彼らは決まって自己の平和主義におぼれる楽観主義者だった。

 彼らはきまって家庭でユーナに対する不満を口にしようとする。そう言ったものには国民軍への強制入隊が強いられ、徹底的にいわゆる数千年にわたった人類の哲学が教えられる。概念を理解したものは決まって目の色が変わり闘志の火を胸に燃やすのだ。

 ユーナ率いる軍隊は近代の科学技術を完全に動員していた。まず戦車に関しては敵の目に驚異が与えられるようにまで設計されていた。

 戦争では人間は目の前に相手が立った時にまず恐怖から銃を持つ手が震える。いわゆるそうした恐怖心は絶え間ない訓練によって慣れさせる。

 常に命をかけた戦争を制するのは絶え間ない闘争の火とそして綿密な戦略にかかっている。

 ユーナは演説によって国民の支持を獲得し常に議会を掌握していた。時にいわゆる共産主義者どもを捕まえては牢屋に監禁することもあった。


 共産主義者どもは常に赤い旗をふる。奴らは非常に手の込んだ方法で人を攻撃するのだ。

 ユーナはフィレンシアとの戦争において常にこの国民の中に混ざった共産主義者どもをどうにか無力化しておかなければならなかった。

 一方フィレンシア国では共産主義者たちによる一党独裁が続いていた。とある作家はまずフィレンシアが共産主義に陥ることはないと踏んでいた。しかしフィレンシアの国民性は共産主義だったのだ。彼らは共産主義の赤い旗を振った。党名は革命党。フィレンシアは熱狂と攻撃性を好む。

 史上最強の陸軍は隣国を三か月で滅ぼして併合させた。共産主義者たちはもちろんユーナもゲルマニアも許さない。

「さぁともども。赤い血を持つ私たちよ。あの下劣なユーナを殺して犬の餌にでもしてしまえ」

 共産主義者は熱狂を愛するのだ。いったん頭に血が上ると陶酔を求めて牛を殺してしまうことがある。

 


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