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女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
悲しき破壊の女神 一
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助っ人

続きです、よろしくお願いします

 

 次元の扉に入った瞬間に、激しい衝撃で俺達は気を失った。


 俺が気が付いた時に、アネスとハルも丁度目覚めて倒れた状態から腕を着き、上体を起こそうとしていた。二人が無事なのが確認出来た為、俺は上体を大きく動かし周囲を見渡して見た。近くにはアネスとハルしか居ない事に愕然とした。

 

 傍に居る二人以外は、森の木々が視界に入ってくるだけだ。

 ロゼ達五人は何処に?、そして……此処は何処なんだろうか?。

 

 だがそれより先に、二人の身体は異常が無いか確める必要が有る。この様な得体の知れない場所で、妙な怪我でも負っていたら、致命に成りかねない。

 

 「二人とも怪我はしてないか?」

 

 二人とも、俺から言われずとも身体中を触り確めていた。


 「私は……、何処もなんともない、無事だ」

 「うん、私も無事、どこも怪我してない!」


 二人に怪我が無かったので、取敢えずはほっとした。


 改めて何が起きたか振り返ってみる。次元の扉にはいった処で、激しい衝撃を受けて気絶したのは間違いない。原因が何かは今は措いておくとして、ロゼ達は何処に居るのか捜す方が先決だけど、少なくても周囲には彼女達の姿は見えない。

 

 要するに、俺達はロゼ達と逸れてしまい、一番避けたかった状況に陥っているという事だ。

 

 「あの事故は、黒衣の連中の仕業か?」

 「その可能性は高いと想うが……」

 

 俺達は警戒心を高め、周辺を窺い襲撃に備えた。

 ここで奴等が襲ってきたら、ハルを守り切るのは難しいかも知れない。

 

 しかし……、黒衣の連中が襲ってくる気配は感じられなかった……。

 

 連中が襲ってこないと分かると、今度はこの場所が注目されてくる。

 森林地帯に居るのだけは、見た目で分かるのだが……。

 

 「ここは……、どこなんだろ……」

 「この場所だけでは、特定はし難いな……」

 森林に詳しいアネスだが、流石に自国でない事以外は分からない様だ。

 

 現在地が分からない以上、俺達は遭難しているのと同じで迂闊に動くのは危険なのだが、動かないとみちが開けないのも事実で、危険を承知で探索を始める事にした。


 今回は運が良かった、それが見事に正解と成った。

 探索を始めてから間も無く、小高い丘が森を抜けた先に見えた。その場所で眼下を望んで見たら、街並みが広がっているのが確認出来た。


 「街だ……あはは、街の傍に居たのか」

 「どこの街が知らんが、助かったなこれで……」

 「私達、帰れますねえ!」

 

 一番不安な表情をしていたハルに、何時もの笑顔が戻った。

 どこの街か知れる事で、帰る算段も立つと言う物だ。俺達が現れたのがもっと深い森の奥に位置していたら、四方を海に囲まれた絶海の孤島に放り出されてら、完全にお手上げ状態に成っていた筈。


 とに角、本当に運が良かった……。

 発見した街へと、俺達は急ぎ丘を下って行った。




 ━━━ ラケニスの塔。


 「ユキヒト達の居場所、辿る事は出来ないの?」

 「大よその位置が掴めれば……、今は無理じゃな、済まぬ」

 「我が最初の主よ、貴女でも捜せぬのか……」

 「領内であれば……、小僧達は領内には居ないとしか……」


 ラケニスならばあるいは、ユキヒト達を捜せるかもと期待したけど、彼女の力でも直ぐに彼らを見つけ出す事は、現状では不可能な事らしい……。


 ユキヒトが自力で戻って来るのを、私は……只、じっと待つしかないの?。

 私達の心配は無くなったけど、ユキヒト達の方が心配で堪らない。

 

 心配性のマリネも、その表情を見れば悪い事を想像して居る事が分かってしまう。良い方に考えたいけど……、私達が孤島に放り出された様に、彼等も又、孤島に流されてるのを想像してしまうと。


 最悪の事しか、頭に浮かんで来ない……。

 もしも……、死んでしまったら私は一人で……。


 駄目……良い方向に無理でも考えよう、絶対に彼は無事に帰ってくると。

 三人が無事帰って来るまで、私達は今出来る事をしよう。


 でも……、何をすれば?

 ちょっと情けないけど、ラケニスに相談してみよう。


 「あのねラケニス、私達は……

 「絶対にアデルの森に近寄っては為らんぞっ! 、主ら黙って居たら行きそうだからのぉ」

 「うっ……」


 私達だけでも、森を探った方が良いかと聞く前に、釘刺された……。


 「でもラケニス様、私……じっとしていたら……」

 

 マリネは何かに没頭する事で、悪い事を考えなくて良い様にしたい、その気持ちは私にも良く分かる。別の事に集中していたら、その間だけでも嫌な事は忘れられる。


 私だって同じよ━━。

 何かで忘れたい……。 


 「せめて……大公様の書庫で手掛かりを捜すだけでも……」

 「アデル領内が危険なのが分からぬか、戯けが……!」


 けんもほろろに一蹴された。


 全員が揃っていない今は、アデル領内に入る事すら危険と言っている。ユキヒトが傍に居ない以上、確かに私達だけでは黒衣が襲って来た時に、その通りかも……。


 けど……、ユキヒトも捜す事が叶わない、その上に手掛かりも追えないのでは、私やマリネ、イリスもラミカにズグロだってきっと、頭が変に成ってしまいそうなのに……。


 この塔に居る全員が、行き場の無い気持ちに沈んだ顔をしている。

 その私達の姿を見ていたラケニスが、大きく息を吐いて話しをした。


 「はあぁぁ……、何じゃそのその情けない顔わぁ、仕方ない……。助っ人を呼んでやろう、その者が到着したら一緒に大公の屋敷へ行くが良い」


 私達が、余りに凹んでいるのを見かねたラケニスは、助っ人を呼んで呉れるらしい。危険だと自分で行った場所に同行させるくらいだし、期待して助っ人を待つ事にする。


 「小僧が、此処まで想われるとは……、冗談が本当に成りそうじゃの」

 

 彼女が後から言った言葉は、小さくて私等には聞こえなかった。

 それにしても、一体誰を呼んだのかしら?。


 「ロゼ様……、助っ人って誰の事ですか?」

 ラミカが、耳元で囁くように訪ねてきたが、私も知ってる筈がない。


 「私も知ら……

 「わ・た・し……よっ!」

 

 顔を寄せ合って囁き返している、直ぐ後ろから声が聞こえたっ!

 

 「うわあああ」

 「きゃっ!」

 

 直前まで一切誰の気配の無い所から、行き成り返事が来た。

 私もラミカも驚きあまり、前方へ逃げた……。


 壁の突き当たり振り返ると、一人の女性が腰に手を当て立っている。

 黒のセミロングから見える雰囲気は、私達と変わらない……。身体のラインを鮮やかに魅せる黒の上着。タイトミニから伸びる脚は黒のストッキングだ。


 アネスと良く似た衣服、黒一色の女が居た……。


 「姉さま久しぶり━!」

 「随分と、早かったのぉ……」


 ラケニスを姉さまと呼んだ女は、椅子の傍に歩み寄り後ろに立った。

 五千歳の婆さんを、姉さまとは……、この女も何歳なんだか……。


 「紹介して措こうか、主らの助っ人をして貰う第三の魔女、ラクテルじゃ」

 「ええええ! 、第三の魔女お?」

 「そうよぉ━、よろしくね小娘ちゃん達」


 うーむ、ラケニスはモロ大人の女性の雰囲気だけど、いくら第三の魔女とは言え、私とタメにしか見えない雰囲気の女に、小娘ちゃん呼ばわり……?。


 微妙に嫌だ……が、此処は我慢だっ!。

 私が堪えてる横へマリネが擦り寄ってきた。


 「ロゼ様、何か凄い事に成ってませんか?」

 「そうよねぇ……、三番目の魔女まで姿を現しちゃった……」


 普通に伝説の三魔女なんて、その内の一人ですら滅多な事で会える者じゃない。それなのに……、私等は短期間で三魔女全員と顔を突き合わせている。第一の魔女は死亡したけど、二番目の魔女ラケニスの塔には何回も足を運んでいる。今回は第三の魔女が自ら出向き、私等に同行して一緒に戦うと言う……。


 前代未聞もいいとこよ……。

 三魔女の一人と一緒に戦うなんて、歴史上でも稀な筈。

 宮殿に帰ってた時に、とんでもない土産話が出来てしまった……。


 「ラクテルには事情は説明してある、主達の都合で屋敷へ行くが良い」

 「うん……、では早速向かいしましょ!」


 「ラクテル頼むぞ……、主が頼りじゃ」

 「任せてよっ、では姉さま、小娘ちゃん達と行って来るわ」


 イリスが扉を開き、伯母様の屋敷へと繋いだ。

 ラクテルはラケニスに手を振り、一番最後に屋敷へと現れた。


 「でっ! 、私の敵は何処?」

 

 屋敷に到着するなり、戦闘モードに入っている……。

 ひょっとして、第一の魔女と同類?。


  

有難うございました

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