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女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
第二章
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皇帝からの依頼

続編ですよろしくー


 【神聖】とは、この世界では憲法を遵守するに当る?それ以上。


 要は、その言葉を使った以上、破ってはならない。

 それを、あっさり破った総督に、ロゼの怒りが遂に、爆裂?。

 

 戦争上等で屍累々、の惨劇を演出するかと思われたが、意外な人物の登場で回避された。自国の名誉を犯したと、逆に拘束され連行されていく総督とその取り巻き達。


 「さて、ゴミ掃除が終った処でローゼス皇女殿下、貴女にお話が有ります。少しお時間宜しいか?」


 この国の皇帝がわざわざ出向き、ムカつくゴミまで掃除してくれたのに、断れる道理が無い。ロゼにしては珍しく、皇女らしい丁寧な挨拶を返し快くその意に従った。


 「仰せのままに、ご一緒いたします。皇帝陛下」



 「うわ、マリネ観ろ、あのロゼが裾をチョイ挙げて、挨拶してる」

 『そ……そりゃ……、相手は此の国の皇帝陛下ですから……いくらロゼ様でも』

 

 決闘が終了して、相手の亡骸が運ばれて行く。憎しみがあって戦った訳じゃない、そうしなければ道が開けなかったから命掛けで戦った。最後の一閃の前に、【異界人か】と言われた事が思い出される、マリネが消え桜色の、この剣が表れた事でそう語った感じがした。


 召喚とその謎を知っている者が、まだ他にも居る証拠だ。

 右手のマリネの剣……、これが生きた人間が変身した物かと繁々眺めていたが、何か凄く後ろめたい想像をしてしまう。色々聞いてみたい事が有るけど、一つだけに聞いてみよう。


 「なぁ、マリネ……」

 『はい』

 「どうやって、元の姿に戻るんだ?」

 「! ………………」

 

 「おーい」

 「わかりません! 、ドウシマショ」

 元に戻り方を知らない?、そりゃあ……、誰かに教えて貰った変身じゃない。分かる方のがおかしいけど、剣の姿のままというのも……、良いかも知れない!」


 『いま……、剣のままで良いって想ったでしょ、ユキヒト様……』

 「いやね……、持ち運びに便利かなって……はは」

 『酷っ……〝でも……貴方とずっと一緒に居られる♪〟……』

 「マリネ……今……、俺とずっと一緒にっとか、考えた?」

 『え?、どうして……』


 〝やべぇ、マリネの思考が読める?、こっちのは分かるのか?、もしそうだったらさっき一瞬だけ、マリネの裸を想像したのも、バレたのか?〟

 『ユキヒト様……、今バレました……エッチ』


 「マリネの思考が?……」

 『貴方のも……』

 「読める?」

 『読めてしまった……』

 マリネが剣にヘンゲして手の中に在ると、互いの意識の一部を共有する様。

 この設定が、後に何かに役に立つのか……?。


 『いやああああああああっ』

 マリネが激しい羞恥の声を叫ぶと、刀身の桜色が色濃くなり桜の花弁が、舞う様に弾けて消えた。その直後に、俺の傍に人の姿に戻ったマリネが現れた。


 「あ……戻ってるし」

 「ほんとっ、良かった戻れました!」

 

 ヘンゲの鍵はどうやら、マリネの感情の起伏に由るらしい。

 互いに見詰て今、互いの思考が分かった処で、照れてしまった。


 「はいはい! 、何時までもいちゃいちゃしない、いやらしい……」

 何時の間にか、ロゼ達が闘技場へと降りて来ていた。


 「嫌らしいは……ないだろ」

 「ロゼ様、それはないです……」

 俺とマリネの反論に、ロゼは眉間にしわ寄せ、眼を細め。


 「はぁあ?、戦闘中ずっと貴方の剣を手にしてたのよ?」

 「そうですけど……、それが?」

 ロゼが何を言いたいか、予想がついた。やばい止めないと。


 「馬鹿……、ロゼ止めろ、言うなあ!」

 「つまり……その、貴方の裸体をずっと握り締めていたって事でしょ!」

 「わたしの……裸体をずっと握り締めていた……?」

 〝遅かった……〟

 

     いやあああああああああああ!

  

 桜が舞い……再び手の中に桜色の剣が。


 「あれ?、又……変わったの?」

 「だから、止めろと……、感情が昂ぶったら……こうなるぽい」

 マリネの剣をロゼの目の前に見せる。


 『………………』

 マリネは沈黙している。


 「あらあら……、ちょっと宜しいですか……」

 サラトが前に出てきて、マリネの刀身に指をちょんと触れた。


 『きゃっ!』

 桜が散り、人のマリネが戻る。


 「何をしたかは……内緒です♪」

 

 身体を縮め、もじもじしているマリネ……。

 〝何と無く……何したかわかるぞ……これ〟

 そう想っていたら、サラトが笑顔のまま、こちらを睨んでいる。口にするなと仰っているようだ、これ以上の詮索をしていたら、それでも怒られそうなので中断した!。


 「まあいいわ、皇帝陛下が、私たちに何か用が在るみたい、行きましょ」


 心痛な思いでこの闘技場へとやってきたが、それも全てが終了した。この国を司る、皇帝が姿を現すという、意外な展開になってきたのも厄災と、何かの絡みが有るのだろうか?。


 皇帝が、俺達に何の用が在るのか、行って見ないと分からない。そして黒衣の者、奴は俺達を罠にはめて如何したかったのか?、宰相を殺害したのにも何か意味有っての事?。そもそも、奴の狙いが分からない、一体俺達に何をさせようとしている?。


 何も掴めていない現状では、少しでも、手がかりと成るべき物が欲しい。


 皇帝を囲う形で騎士達は歩いている、その後ろを追従して歩いた先は、例の一件が起きた場所。マリネには想う所が有るだろうが、我慢してもうしか無い。屋敷の中を移動して、開けられた扉は……、宰相殺害の現場である。


 これには流石のロゼも、一言。

 「陛下……、この場所は……他に代えて頂けません?」

 「いやその件についても、有るのだ、罪を咎める心算はない」


 そう答えると、宰相が殺害された場所の椅子へと座った。殺害現場は俺達が居なくなった後に、綺麗さっぱりと掃除されてはいた。それでも気持ちの良いものでは無い、その筈なのに平然と死体の在った場所へと、座れる度胸は流石に皇帝というべきか。


 「ご心配でしょうから、明かすと。そこの女性は、宰相を殺害していない」

 「え?、偽者だった?」

 

 それには首を振って否定する。偽者じゃないなら?、何なのだ?。

 さっぱり意味不明だ、皇帝は何を言いたいのだ?。


 「まあ、ある意味偽者と言えるが、身体は本物で中身が偽者と言った処か、宰相は四日前に既に原因不明のまま死亡していた。極直近の者以外には、この事実は伏せていたのだが……。少し人の姿が消えていた時に、遺体は何処かへと無くなっていた。そこへ、この街の総督府から宰相が殺されたとの知らせだ、どうにも解せん、故に護衛を連れて乗り込んだ。そう言う事で、そこの従者は何も罪を犯してはいない」


 此処まで聞いて、それまで罪の意識が在ったマリネは、自分が殺していない事実に感極まっていた。やばい、又変化するか?っと、慌てたのだが今回は桜は舞わなかった。


 マリネの剣への変化は、何やら色々と条件が在るみたいだ。単純に感情の起伏のみでは、刀身へとは変化しない。元々が、感情が豊かな女性だけに、その条件は助かった気がした。


 「よかった……、マリネ、貴女は無実の人殺しをしていなかった」

 「はい……、やっと、心が晴れました」

 「真実を伝えて頂き、感謝致します、陛下」

 

 ロゼがまた、御丁寧な返礼をしている……、決して口に出来ない言葉。

 〝似合ってねぇ!〟


 軽く手を上げ、返礼に答える皇帝、更に言葉を続ける。

 「この街で、貴女に逢えたのは……、運命かもしれんな」


 「此度の一件は措いといて、貴女には逢いに行く心算だった」

 「陛下、どう言う事でしょう?」

 敵対国の皇女に逢いに来る、領土を侵さない事を条件に結婚でも要求?、大昔では良くあった事みたいだが、いや今でも在るのか、どちらにしろ、ロゼの顔付が変わったのが分かった。


 「あ、勘違を致すな、婚儀ではない。別の用件だ」

 「それは、どの様な?」

 「今抱えている問題を見事、解決してくれたなら、私が皇帝として存命中に限られてしまうが、貴国に対して一切の手出ししない事を誓約しよう。受けて貰えるだろうか?」

 

 「お話に成られる問題の内容に、寄りけりです。陛下」

 今聞いた話から想像したら、俺達に依頼、普通の政治絡みでは無い気がする。


 「では話を……

 「その前に、一つ確めたい事が…


 ロゼが刹那に水晶化し、それだけでなく紅蓮の姿を取った。

 〝まさか……撃つ気か!〟


 護衛の騎士達が瞬間に剣を抜き、構える。

 併せ此方も応戦に、剣を弓を向ける。


 「本物ですね……、御無礼を陳謝致します」

 皇帝が笑顔のまま、さっと手を挙げると騎士達は収めた。

 ロゼは本気で撃つ気を見せて、偽者か見分け様としたみたいだ。

 

 普通、こんな真似するだけで重罪じゃないのか?。

 怖いもの知らずのロゼらしいと言えば、その通りだが、それを傍から見ているこっちの身にもなって欲しいものだ。此れまでのマリネ達の気苦労が理解できる。


 「ははは、噂通りに怖い皇女だ、話を続けて良いかな」

 「どうぞ……、御聞きしますわ陛下」


 「我が妹を救って欲しい!」

 「はぁあ?」

 

 オスマニア帝国皇帝が、妹を救って欲しいと。

 又、面倒に巻き込まれそうな予感がする。


 「実は妹は別宅に住まわせている、宮殿に居ると何かと在って……、その姿を見るのは忍びない、已む得ず別に居を変えて居るのだが、最近魔物に襲われて難儀していた」

 前皇帝の腹違いの妹……、お家騒動かと想われたが違うようだ。

 

 「毎夜、やって来る、その魔物がやたら強力で騎士も歯が立たず、日々やつれて行く妹を助けてやれず。歯痒い思いをしている処へ、ロゼ皇女達の話が迷い込んできた。忍びで貴国へ訪れようとしていた時に、今回の一件だ。貴国へ行く前にとやってきたら、なんと此処に居るではないか、運命としか言えぬ」


 「その魔物を……、私達に倒せと?」

 「妹を救ってやって欲しい、この通りだ!」

 皇帝が俺達に頭を下げた、騎士達が慌てるがそれを手を上げ止めた。


 「ロゼ……、断る心算じゃないよな?」

 「当然でしょ」

 「やって……貰えるか感謝する」

  

 少し前に皇帝が約束した内容をもう一度確認した後、俺達は依頼を請けた。戦争を回避しにこの国へとやってきたが、何の因果なのか?、皇帝から直接その約束を、取り付ける事が出来そうになった。


 皇帝の妹を魔物から救えば、の話しだが。

 



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