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女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
第一章
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責任取ります (一)

二話目です、どうでしょ?

「この度は……、真に私の不徳の……」

 私は、ひたすら平身低頭で謝罪の報告をするしかなかった。


 それは……、一度しか使え無い召喚の儀、異世界から移動中に成功の嬉しさからはしゃぎ過ぎた。招致者を魔法の有効範囲から、突き落としてしまった……。


 異世界人は連れて来れたが大失態もいい処……。

 こちら側のゲートを超えた後の失態が、不幸中の幸いだった。

 

 九死に一生とは、まさにこの事。

 

 取敢えず招致者はこの世界に無事?、召喚されている筈。

 この事だけは、間違いと思う……。

 

 はぁ……、大臣達の私への小言はまだ続くの?、いい加減に針の筵を堪能するのにも限界がきそう。


 「だいたい姫様はわしらの忠告を全く聞かないのが………いかんのです」

 うっ! 、子供では無い一々言われるのは鬱陶しいに決っている。


 「聞かなくても、何の問題も起こさないなら良いのですが、途中で落とすとは………なんというか」

 確かに、大きなミスだけど、一応は連れて来のには成功した筈よ。


 「念にはねんをと、慎重さが足りませんな、捕縛の魔法を重ねるのが本来の手法ですぞ」

 彼は、犯罪者じゃないのよ、捕縛するとか出来る訳が無い。


 「19にも成られて、こうもオテンバが過ぎるのがそもそも…」

 む! 、それ関係無いってか、私の勝手ででしょ!。


 こんな感じに既に30分は言いたい放題!言われまくっている。

 たがそれもこれも仕方が無い、召喚魔法陣の使用は一生に一度限り。

 しかも召喚能力の継承者は、皇族でも稀な事。

 

 今回の召喚も異例の急事だったのである。ローゼスは今までも何度か、魔法陣の描かれてある星読みの部屋へ訪れることがあり、陣上に足を踏み入れた事も幾度と有ったが、一度も陣が反応する事が無かった。


 それが急に召喚能力が発現し陣が反応した。この発現は良い事とは限らない、歴代の発現も、ほぼ厄災絡みの事ばかりでそれの対処に異界の者の力を借りるにあった。


 要するに、ローゼスの力は国の窮地を脱する為に発現したかもしれない。

 その大事な召喚能力の遂行中に、大ポカやらかしたっ!と言う事になる。

 一般人なら処刑されても不思議は無い、何等かの処罰は下る事だろうが…。


 此れまでじっと成り行きを見守っていた、ハインデリア皇王が言葉を挟む。


 「ローゼスに非が有るのは事実であるが、それを今責め立てても、事態の解決に成らないのも事実であろう、問題は招致した者の所在ではないのか?」


  《流石お父様、》

       《良く分かってらっしゃる》


 大臣達も皇王に正論を口にされては、異を唱える事も出来ず皇女に対する、

 折檻(イジメ)を中断せざる得なかった。

 娘への折檻(イジメ)を中断させ、皇王ハインデリアは言葉を続ける。

 その内容とは。


 「しかし、皇女ローゼスに何の処罰も

    無いと成ると他の者に示しが付かない……か」


 《げっ!、まあ仕方ない》

    《やっちゃったしなぁ》

  《とりま、百叩き?あは子供じゃないしっ》


 お気楽な考えを頭でぶっこいてるローゼスを、じっと見ているもう一つの眼。

 

 皇后フォーネリア、こちらは娘と全く性格が異なる。

 国内貴族の長女で若い時からその美貌以上に穏か、その上慈愛に満ち聖女の様に国民からも、絶大な信頼と支持を受けている女性であった。その皇后フォーネリアが自分の意見を皇王に具申している。


 「陛下、ローゼスの処遇ですが、

     彼女自身に決めさせては如何でしょうか?」

    《それは……、》

 

 「彼女も19に成ります、

      自身の立場も十分に承知していましょう」

    《分かるけど…分かるんですけどぉ》

        《分かりたく有りません!》

 

 「なれば、自ら犯した失態は…

 皇后の眼が何かをローゼスに語りかけている…気がする…。

     《ひぃっ、眼が怖いお母様……》

 

 「━━━…自ら犯した罪は!、

      自ら償う!のが、筋というものでありましょう!」

    

   《ぐぅっ!……自分の〇は、自分で拭け!》

      《て、ことですかお母様っ!》

 

 「おお!!」

 

 この皇后の一言は、皇王の言よりある意味威厳があり、満場一致の決を見た。

 それにつき、明日迄に今回の失態に対する、自らに課す責任の取り方を決めてくる様に、皇女ローゼスに言い渡し一応の決着を付ける。大臣達が部屋を退出すると皇后フォーネリアは、皇女ローゼスに後で自分の部屋に来るように伝えて退出させた。


 自室に戻ったローゼスは、駆けつけた侍女(メイド)長に諫められるまで、

 大臣達から受けた折檻(イジメ)への憂晴(かんしゃく)を撒き散らしたのは、

 侍女(メイド)達の内緒事として留められた。

 




 

 ━━━━ ズーイ周辺森林地域 ━━━


「あ━━本当っ腹が立つ!」

 

いきなり魔法陣なんかで連れて来られ、気が付いたら当の本人が居ないときた。確かに美貌に見惚れて【うん】とは言ったのは認めるが、何を助けるのかの理由も言わずにいきなりやるか?、勝手に優しいねとか言って自分だけ納得して…、呪文唱えたか思ったら魔法陣に巻き込まれて、ボン。

 

 実際にはさせなかったけど、自ら罠を仕掛けといて占い如何ですか?。

 災いを予言しといて、その場を告知でもして回避させて信用させる。

 

 「完全に詐欺じゃないか」

  

 人の脚にしがみついて、必死で助けて欲しいと哀願しといて、いざ連れて来たら自分は姿を消してほったらかし、ふざけんな!全くっ! 、最悪の女に引っ掛かった。あれだけ女に関わると、碌な事に成らないと分かってたのに。


 「又、騙された! 、自分自身で腹が立つ!」

 

 金色の長い髪が風に流れて…………

 うお! 、あの女の姿が浮かんで……ぼーっと歩いて木に激突直前やった……。

  

 「危なっ、頭打ち掛けた!」


 詐欺には引っ掛からなかったのに、月下で綺麗な姿に一瞬、心奪われた。

 ぼけて無けりゃ気が付いた筈なのに……。

  

 《ほんっと俺って………


  ドッン!

 

 「たけて━━ぇ、お願い━」

 《またかよっ!》


 怒りのやり場が無くて、イラついている処に又、【たけて━━ぇ、お願い】っときたか! 。


 「何か俺に……、え、こ子供?……」


 がぁ、これは━━、女の子かよ、しがみ付いて震えてるし……。


 《幾らなんでも、子供に怒鳴るのはなぁ……》


 頭を搔きながら、如何したものかと悩んでると。


 「た…たすけて~」

 「助けてって?どうした?」


 「あいつ、イヌ……助けてお兄ちゃん」


 犬から追い駆けられたか、犬ならまあ何とか成るだろう。


 「よし、わん公なら俺にま…かせ……ろぉ?……!!


 ザザッザザッザザザ


 《 マジかぁ ━━━━これ、わん公か!! 》


 森の中からこの子を追って来たわん公て、2Mは優にある……じゃないか。俺も動物には慣れているが、流石にこのサイズはあしらえる範囲外だぞ。抱えて逃げるが吉だ、土地勘なんて有るわけも無い、が、逃走決め込むしか無い! 。

 

 子供一人脇に抱えての逃走劇では……、そんなに早く遠くへ行けやしない、闇雲に森の中を走り回って等々、池の近くの木にもたれてへたばってしまった。

 

 《はあはあ、ちくしょー、もう走れない……》

 

 ザザザザッ ザザッ ザッ ザッザッ

    ガルルルッ フゥッフッフッ


 遂に至近距離に詰められた……。異界に拉致られ放置されて、子供とはいえ【女】。騙されてはいないが、またも女でトラブルへ突かあ、しかも命の危機だぞ。わん公は前足で地面をしっかりと押さえる体勢……、を取ったという事は。これは、飛び掛る直前と相成ってきたか。ああぁ、こりゃダメだな、死んだら次は、女が居ない世界で生きたい……ぞ。


 わん公が地面を駆けた!。

 俺は、左腕で少女を抱き横向きに庇う体勢になる。

 迫り来るキバを防ごうと反射で突き出した右手。

 木の根元にうずくまる形の俺達にわん公のキバが迫る。


 グヲォギャブッ! ………………… ドザッ


 噛まれたと思った。刹那に孤を描き地面に落ち、口が裂け顔が潰れた……。

 おい、これはどういうことだ?。子供を抱えながら死体を眺めていたが。

 ん?っと、もたれている木を見上げた。


 ははあ、この馬鹿イヌ、勢い余って、木に顔ぶつけやがった?。だが、木にぶつかったにしてはこんなに潰れる物か?、防ごうと腕を突き出した時……何か、一瞬手が熱くなった気がするが……。そんな夢みたいな事は無いだろうが……。池の水面に視点を移し、同じ様に手を向けてみた。


 バシャ━━━!


 水面が凹み、弾けた。


 「へ?何今の水飛沫……、俺がやった?」


 池の中の魚が跳ねたか、もっかい試してみるか。


 バシャ━━━━━バシャン!!


 《うそっ、さっきより水飛沫が大きい……》


 あの女に異世界へ連れて来られた事で、妙な力が付与された?。

 としか……、考え付かないが。成程、これで何かを?から?、良く分からんがこっちの世界へと移動する事で、妙な能力が身に付くからその力で助けてくれ……か。


 日本でこの力が持てたなら、ちょっと人生変わるかもしれないが、屍骸となった犬を見るとぞっとする。冗談じゃない、犬がこれなら他は……想像しただけで震えが来るというものだ。妙な力で、多少は強くなってる設定かもしれないが。


 《帰る方法…見つけないと(いず)れ死んでしまう》


 女の子を見たが気が付いていない、それならそっちのが都合が良い。余計な事に巻き込まれるのはもう御免だし、立ち上がり土をパッパッと払い、バカ犬で助かったねと顔見合わせ告げると、少女は涙を見せながらも丁寧なお辞儀をして礼を言ってきた。


 「うん、ありがとお兄ちゃん」


 「おぅ」


 幼い子供をこんな恐ろしげな場所で放置など…、家を聞くと手を繋ぎ、

 ユキヒトを引っ張っていく。


 巨大な影が二人に架かった。



ありがとうございます!お願いがひとつ、何でも受けます感想ください!! ブックマークとかも死ぬほど感激します。

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