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女難危行・拉致した皇女と六人の嫁  作者: 雛人形
第一章
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女難

異世界の話創ってみました。

 「それでは、捉まえに行って来ます!」


 大きな魔法陣の前、捉まえる宣告をした。

 私は、フォア・ローゼス・ハインデリア。


 これから異世界へ発つ処だ。

 

 厄災の訪れる前に発動する魔法陣が、ある日私に反応してしまう。

 厄災は、この世界の力だけでは防ぎ切れない、異世界人が必要になる。

 

 私の役目は、急遽(きゅうきょ)、異世界へと行き、共に立ち向かう者を、連れて来なければ成らない。



 「ロゼ……捉まえるでは……」

 「似たような物でしょお母様」


 「頼むぞ……ロゼ」

 「はい! 、任せて! お父様、ではいってきます!」


 ロゼは魔法陣へと脚を踏み入れる。

 光が増し彼女を包み、一瞬激しく輝き彼女と共に消えた。


 

 「大丈夫……かしら?、七日で……」

 「分らんが……任せるしかなかろう」


 期限は七日━━━━。




 


 ━━━━ 異世界日本 ━━━━


 勇んで来ては見たものの、期限の七日まで残り一日。


 「何よ! 、この国の人間は━━━━ぁ」


 この世界の男が問題在り過ぎ?

 それとも、私のせいか?、失敗続きで見付からない。

 

 召喚出来るのは異性のみ。

 

 男なら楽勝……、っとはいかなかった。

 この世界の服装を真似て、街角で立ってみればシツコイ男が群がってきた。

 しつこく追ってくる男を殴りつけ、怪我を負わせたのが大失敗……。


 やたら五月蝿い笛を鳴らされ、追い掛け回された!。


 占いなら、私の世界でも人気が有る、人集めに良いかもとやってみる。

 やたら当たると、女性が詰めかけ男と話せない。

 

 この世界のお金だけは貯まったが……。

 しかし占いだとそれに託け、話が出来ると分る。


 「人が多すぎるから駄目なのね」


 今度は、人気の無い裏路地で店を開くと、人生相談の酔っ払いばかりと。

 西へ東へ移動して、遂に残りは今夜が最期。


 「もうこうなったら、誰でもいいわ!」


 期限最期の夜の事であった。








 

 【俺は、異世界へと拉致されたらしい…………】

 

 しかも…………放置された━━━━━。


 




        

 神の戯れなのか、悪魔の仕掛けた悪戯なのか?。

 女が絡むと碌な眼に遭わない……。

 

 女性に人気が有る?、それだとこんなに愚痴達者になってる筈がない。

 

 多いだけマシだとよく言われるが、まぁ確かに出会う機会ない奴から見ればそう見えるのかもしれないが、自分に置き換えてみるといい、出逢いがみな生保勧誘だったら?、みな宗教の勧誘だったら?。足代わり、財布代わり、金融(返さない)、各種客引きに、口実用の代理。

 

 最初はそんな感じに見えない。今度こそはまともな接近遭遇かと思っていても、何時の間にかそういう場に行き着く始末、そんな結論ばかりで嬉しい奴がいるのか?。近付く異性(おんな)はみな、何がしか目的を抱いて寄って来る。そこに【好き】と関連する事柄と、結び付く結果と成った事は無い。そういう話がちらつくと大体連絡取れなくなる。


 俺に関するその手の感情は、一切脳内辞書に載っていないらしい。

 全てを女性が悪いとは言わないが。


 もう嫌気が刺した。


 だが、そんな物は本当の女難では無い事を思い知る。 

 今夜は、いや、今夜もミスを犯した、それも最大クラスの奴を!、

 

 この道を通った事が間違いの元だった。

 本当の災難に遭遇するとは夢に思わなかった。


 

 

 「ちょっとそこ逝くお兄さん、占いは如何?」

 

 悪魔(おんな)の囁く声がする!。

 声のする方を一瞬だけチラリ、全身黒衣に顔を深々と隠す女性が居た。


 客引?占いか、黒の衣装にフードで顔を隠し、ベタな服装でちょっとお兄さんていう奴まだ居たのか、相手にせず帰り道を急ぐに限る。女性占い師?、答えは脳内信号待たずに確定してる。眼を見ない、声聞かない、相手にしない、無視して通り過ぎる以外に道はない。

 

 普通の客引きならばこれで終了。であるのだが、この女占い師は一味違った。全身黒一色の女性は、俺が無視して通り過ぎたのにも関わらず、後ろからパタパタと追い駆けてくる、遂には真横に並んできた。

 

 「ねぇ、逃げないで! 、少しだけお話しましょ」

 

 おいおい、お話って……、占い如何と言ってた筈だが?。

 しまった、声を聞いてしまった、眼を見るのだけは避けねば。

 

 更に、この台詞がヤバイ、【お話しましょ】は最悪パターンの筆頭じゃないか、ささっと逃げ去らないと、碌な眼に遭わないのは良く分かっている。歩く速度を上げにかかる、方角が悪いとか言って占いにかこつけて、怪しげな物を売り付けるに決まってる。

 

 何度、そういうのに騙され生きて来たか、まあ騙されまくる方にも問題あるのだが。


 「あっ! 、そっちダメー! 、そっち行ったら━━━あ。」


 ほぉらほらほら来たぞっ! 、もう本当に勘弁して下さい、許してください。此方(わたし)が、何か悪い事でもやったでしょうか?、心中穏やか成らざる声で、そう叫びながら逃げ去ろうとしていた処。

 

 ドカ━━━━!


 黒い塊に突然、壁に押し付けられた。


 「ちょ━、いきなり何を………


   ヒュ━━━━ッン  ザグッ!


 黒衣姿の女性の向こう側。たった今俺が刹那の時間歩いていた位置に、【槍】が突き刺さった。否、正確には槍に見えた鉄芯の棒だった。見上げるとマンションの手摺、その一部が無くなっている。手摺が老朽化により錆びて腐り折れて、急転直下に急降下した?。

 

 「ほらあ、だからこっちはダメって言ってあげたのに」


 得意げにしゃべる声に反応して彼女を見てしまった。


 フードから僅かに見える髪は、ふわっと流れとても美しい。ぶるぶるぶる、ヤバイ! 頭冷やせ、こういう光景で何度泣かされる結果を…、何回も嫌な場数を踏んで来たんだ、騙されるな。と、ここは【逃げる】が正解だが、黙って去るのは良くないか、救ってくれた事は間違い無い。


 ここで、御礼を言うのは仕方ない。


 「助かりました、ありがとう、ではっ、此れにて失礼します!」

 

 丁寧にお礼はしたし、これにて一件落着っと、先を急ぎながら額を拭う…。

 あれ?何かに引っ張られる感じで左腕が動きにくい?。

 

 ん?っと左腕を眺めると、白くて細い物が撒きついて居る。幽霊だぁ! 、ゾッゾッゾッと悪寒が走る、が、おかしい暖かさに重さを感じる?。改めて腕を見ると、そう突き飛ばして鉄芯(ヤリ)から救ってくれた自称、女占い師だ。追従しながら左腕を掴んでる。

 

 ここで第一の失敗をしていた。占いなんか興味無いからと、腕を振り払い立去ってしまえば良かった物を、ちょっと迷うだけで一応命の恩人だしと、やむなく足を止めてしまたったのだ。


 「あ! 、お願い、少しお話聞いて!」


 少しと宣言してる事でも有るし、適当に答えて追い返そうと返事をした。


 「ふぅ━━っ、で何を話すの?」


 「えっとね、そのぉ~、助けて下さい」

 

 いきなりかよっこっちは助けて貰ったが……理由も言わずにか、無理。

 

 『お断りします、さようなら』


 「嫌っ! 、間違えたあぁ、いや間違いでもないけど……、あ、待ってえ」

 

  

 やっぱりだ、人を助けた後は次に自分を助けろ?、何に捲き込まれてしまうか分かった物ではない、前回この言葉(たすけて)を吐き出した女は自分の付き合った男がヤクザと知り、真相を隠して嘘をつき、ストーカーに困ってるから追い払って欲しいと、その後どんな修羅場になった事か……。

 

 あれの二の舞はもう御免だ。

 即、急転換して立去り………さり、去れなかった━━━━━。

 黒衣の女占い師に、地面に倒れながらも、俺の脚に縋り付かれてた。

 

 「聞いて! 、お願い! 、お願いだから!」


 この得体の知れない女性から哀願されて、改めて気が付き思い知らされた事がある。

 自分は底なしの【馬鹿なのだ】と、怪しいのは確定してる。

 さっさと腕振り切って去ればいい物を、第二の失敗をやらかした。

 

 「最初の話では、占い如何じゃ無かった?」


 「ああ、あれは……さっきの落ちてきたヤツで」


 振り返って、もしかしてアレか?っと指差して聞くとコクコクと頷いた。

 占いで落ちてくる【槍】を言い当てて、信用(おん)を勝ち取る予定だったか。

 不覚にも、自称占い師女性の罠に乗ってしまう、まぁもう何時もの事。

 最上級に不審人物極まりないが、話だけでも聞けば諦めてくれるだろう。

 だが本当の不覚は、罠に乗った事で無く、もっと別の事だった。

 

 「えっと助けて欲しいとは、何を助けるの?」


 「わあ、助けてくれるのね、良かった━━━━━ぁ」


 その女性は今度は丁寧にお辞儀をして礼を述べた。

 深々と下げた頭を戻す時、フードがずれて素顔を晒した。

  

 その髪がふわっと流れる。

 月下の薄明かりの下で、金色の光を放っているかの様に、

 夜風で揺れてたなびいていた。


 ここで遂に、第三の失敗を重ねてしまった。

 あまりの美しさに言葉を詰まらせ、思わず吐き出した、一言。


 「うん」

 

 「やった! 、良い人捉まえ、君、優しいね、それではしゅっぱーつ」


 「えっ捉まった?、何?出発て?」


 両手を前に突き出し、

 女占い師が呪文の様に言葉を唱え始める。

   

   我と、われを守りし者を………

     ………遠き…わが故郷へと帰せ!


 彼女、女占い師の足下に円陣が現れ輝き始めた。

 

 《ま、ま魔法陣?て……、嘘だろぉ…何で?》

 

 本能が緊急避難警報を発令した。逃げろ! これはヤバイ! 急ぎ猛ダッシュだ!と。

 たがそれは無駄に終わる、身体が動かない、声も出せない、何が起きてる?。

 

 何で、あの時に気が付かなかったのか?

 占いする事で分かるものが、やってもいないのに何故分かったのか?

 しかも、何処で何が起きるかを! 、思えばあの建物って新築で手摺が腐り落ちる?。

 そんな事は有り得ない。


 全部彼女が魔法で仕掛けてた…。

 《なぜ、気付けなかった!》 

 気付ける筈が無い、魔法なんて存在する事を、

 この世界に現存していたなんて、この世界の人類が知ってる筈が無いのだから。

 

 

 「では! いざ行かん」


 占い師の両腕が、真横へと振られた! 、刹那、円陣の輝きは飽和して弾けた。

 

 その場から二人の姿は消えた。

      

        

 



 眩い閃光で眼が眩み……そして眼を開けると。

 俺は、雲の上に居たっ!。


 これは夢かと抓ってみる。

 「痛い……」


 夢では無いらしい、雲を 突き破り落下もしない。

 一体、何が起きていると言うのか?。


 呆然と立ち尽くす俺の前に、再び閃光が現れ、俺に語り掛けてきた。



   これから向かう先で、貴方は数多くの女性と逢うでしょう。

   その内、七名が貴方を愛します。


 

 声の主も女性だが……七名が俺を愛する?。


   あなたも彼女達を愛し、共に戦ってください……。



 「ちょっと待ってくれ……、何をいってるんだか」


   この言葉を貴方は、覚えてはいないでしょう

   でも、深層には刻まれます……


 「ちゃんと説明してくれ! 、意味が分からないぞ!」


 俺の質問に、その声は答える事はなかった━━。

 再び、激しい閃光が俺を包み意識が遠退いて行った。







 意識が戻り眼を開けると、見慣れた街並は無い。

 しかも、昼に成っていた━━!。



 まあ良いそれは理解出来る、意識が無いままに連れて来られたのだから、知らない場所でも不思議ではない。が、物には限度があるだろ?意識は遠退きかけたが失ってはいない。経過した時間は十分いや、五分も経過していない筈だ。


 こんな馬鹿な、アルプス山中みたいな場所に運ばれた………?。


 おいおい冗談だろ、スイスまで運ばれた?。

 外国まで短時間で運ばれたとの思いは、直ぐに否定される事になる。

 

 「誰か歩いて来る…、話を…って言葉通じないか、参ったな」

 

 物は試しと歩いて来る老人に近付いてみると、先に老人から声を掛けられる。


 「ふーむ随分見慣れん服装じゃが、遠くから来なさったか?

 

 《え! うそ言葉通じる?》


 「すいません、ここはスイスですか?」


 「はぁ・?何言っとる?、ハインデリア皇国じゃよ」


 「!! はハインデリア?」

 《そんな国が在ったか??》


 聞き慣れない国名を耳にして、思い浮かぶ事が有るが、(にわか)かに信じられる事ではない、そんな事は、おとぎ話。フィクション、現実世界に在る筈が無い、しかしだ、聞いて確かめねばならない。


 「あのーつかぬ事をお聞きしますが、この国は地球にあるんですよね?」


 「わははは、地球?、気は確かかお若いのフォーチュンに決まっとるだろ」


 「フォ……チュン?」


 「長旅で疲れきって、頭が混乱しとるんじゃな、この道を戻って森を抜ければズーイという街がある。そこで休憩することじゃな」


 それだけ話すと老人は去っていった。

 フォーチュンという世界に在る、ハインデリアという国に居るということは。

 信じられないが、これはもうアレの事だと無理にでも思うしか無い………。

 

 それにだ、肝心な事がもうひとつ有る。

    

  

 【俺は、異世界へと拉致されたらしい………】

 

 しかも………放置された。


 「あの女占い師!、俺を放置して、何処言ったぁ━━━━━!。」


  



 ━━━ ハインデリア皇国首都


 ハイデ宮殿……………星見の部屋


 

  あ━━━━━! やばぁ!、落としたぁ!

 

 

 閃光が薄れ、黒衣の女性が現れ大声で叫びあげた

 侍女達が集ってくる。


 「お、落としたって皇女様………

       まさかと思いますが…………。」  


 侍女にも階級があるらしく、服装も態度も他とは違う。

 一人の女性が近付いてくるとさっとみなが身をひいた。


 「皇女ローゼス様、

     お連れの殿方は何処に?」


 「ご、御免なさい!、

    落とし……ちゃっい…………まし…た。」







読んでいただきありがとうございました。

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